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  • 2019/02/04

内閣府の目指す「AI-Readyな社会」を解説、人間側に必要な“心得”とは

AI(人工知能)を有効かつ安全に利用できる社会を構築する「AI-Readyな社会」。そこでは人間に期待される能力や役割が大きく変化していく可能性がある。政府は「人間中心のAI社会原則検討会議」で、来たるべきAI-Readyな社会の策定を進めている。AIやロボットが“隣人”になる時代。人間のあるべき姿とはどのようなものなのか……。

国際大学GLOCOM 客員研究員 林雅之

国際大学GLOCOM 客員研究員 林雅之

国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。現在、クラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。総務省 AIネットワーク社会推進会議(影響評価分科会)構成員 一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。

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「AIと共生」するのに、どんな心構えが必要だろうか
(© zapp2photo - Fotolia)

「AI-Readyな社会」とは

 内閣府の「人間中心のAI社会原則検討会議」は2018年12月に、AIをより良い形で社会実装し共有するための基本原則となる「人間中心のAI社会原則(案)」を策定した。本原則(案)は、国内外から広く意見を募った上で2019年3月に策定する予定だ。

 グローバルに見ると、地球環境問題、格差の拡大、資源枯渇など、人類の存続に関わる課題が国を超えたレベルで山積している。AIはこれらの問題の解を導き、SDGs(Sustainable Development Goals)で掲げられている17目標を解決し、持続可能な世界の構築するための鍵となる技術と考えられている。

 日本は少子高齢化、人手不足、過疎化、財政支出増大などに直面する社会課題の先進国となっており、AIの活用による経済発展と社会課題を解決が期待されている。

 ただし、AIの活用は、社会に大きなメリットをもたらす一方で、ネガティブな部分もクローズアップされている。AIの活用はインパクトと影響力が大きいために、適切な開発と社会実装が求められている。

 こういった背景を踏まえ、政府では、人や社会システム、産業構造、イノベーションシステム、ガバナンスなど、あらゆる面で社会をリデザインし、AIを有効かつ安全に利用できる社会を構築する、「AI-Readyな社会」への変革を推進する必要性を示している。

 「AI-Readyな社会」では、AIを人類の公共財として活用する視点に立脚している。これによって、社会のあり方の質的変化や真のイノベーションを通じて、SDGsなどで指摘される地球規模の課題解説と持続可能な社会を実現する重要性を指摘している。

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AI-Readyな社会は、Society5.0に至るまでの道程にある
(出典:内閣府 人間中心のAI社会原則検討会議 第2回 2018.6 )

「AI-Readyな社会」を構築していくための3つの価値

 「AI-Readyな社会」な社会を構築していくにあたり政府は、理念として尊重する3つの価値「(人間の尊厳が尊重される社会(Dignity)、多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会(Diversity & Inclusion)、 持続性ある社会(Sustainability)を挙げている。以下、「人間中心のAI 社会原則(案)」から抜粋して紹介しよう。

(1) 人間の尊厳が尊重される社会(Dignity)
我々は、AIを利活用して効率性や利便性を追求するあまり、人間がAIに過度に依存したり、人間の行動をコントロールすることにAIが利用される社会を構築人間がAIを道具として使いこなすことによって、人間の様々な能力をさらに発揮することを可能とし、より大きな創造性を発揮したり、やりがいのある仕事に従事したりすることで、物質的にも精神的にも豊かな生活を送ることができるような、人間の尊厳が尊重される社会を構築する必要がある。

(2) 多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会(Diversity & Inclusion)
多様な背景と価値観、考え方を持つ人々が多様な幸せを追求し、それらを柔軟に包摂した上で新たな価値を創造できる社会は、現代における一つの理想であり、大きなチャレンジである。AIという強力な技術は、この理想に我々を近づける一つの有力な道具となりえる。我々はAIの適切な開発と展開によって、このように社会のあり方を変革していく必要がある。

(3) 持続性ある社会(Sustainability)
我々は、AIの活用によりビジネスやソリューションを次々と生み、社会の格差を解消し、地球規模の環境問題や気候変動などにも対応が可能な持続性のある社会を構築する方向へ展開させる必要がある。科学・技術立国としての我が国は、その科学的・技術的蓄積をAIによって強化し、そのような社会を作ることに貢献する責務がある。

 AIが社会の隅々に浸透してくる環境下において、人間がAIに過度に依存することなく、AIを道具として使いこなすこと。そして、AIを道具として活用することで、人間性の創造性を発揮し、持続性のある幸せを追求できる社会、「AI-Readyな社会」への対応が求められているのだ。

何のためにAIを活用するのか

 本原則では「AI-Readyな社会」において、「何のためにAIを用いるのか」に答えられるような「人」「社会システム」「産業構造」「イノベーションシステム」「ガバナンス」のあり方を整理している。以下、そのポイントを紹介しよう。

■人
 「AI-Readyな社会」では、人間がどのように対応していくかが、AIを十分に活用できる社会の実現の鍵となる。

 人間に期待される能力や役割には、「AIの長所・短所をよく理解していること」と「AIの利用によって、多くの人々が創造性や生産性の高い労働に従事できる環境が実現できること」。そして「AIを活用できる人材が十分に存在すること」が挙げられる。

■社会システム
 「AI-Readyな社会」では、医療、金融、保険、交通、エネルギーなどの社会システム全体が、AIの進化に応じて柔軟に変化し、対応できるようなものになっている必要がある。これには、AIによってもたらされる効率化などのメリットだけでなく、新たな価値の実現や、AIの進化によってもたらされる可能性のある不平等や格差の拡大などへの負の側面(不への対応)が含まれている。

■産業構造
 「AI-Readyな社会」では、多様な人々が多様な夢やアイデアを実現できるよう、労働、雇用環境や創業環境が柔軟で国際的に開かれたものになっていることが必要となっている。

■イノベーションシステム
 「AI-Readyな社会」では、大学・研究機関・企業、一般の人々にいたるまで、分野や立場を超えてAIの研究開発、利活用及び評価に参加し、互いに刺激し合いながら、イノベーションが次々に生まれる環境ができていることが必要となっている。

■ガバナンス
 社会情勢の変化や技術の進展に伴い、上記に挙げた「人」「社会システム」「産業構造」「イノベーションシステム」で議論されるべき内容や目的設定は、常に更新し続ける必要がある。

 「AI-Readyな社会」を推進するにあたっては人の能力や役割を再定義が必要だ。同時に社会システムや産業構造を変え、イノベーションを創造しつつ、ガバナンスへの対応など、社会的枠組みの持続的な更新が重要となっている。

【次ページ】ビジネスパーソンは「AI社会」をどう考えている?

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