三井物産がブロックチェーンを活用したポイント事業を開始
興味深い適用事例というのは、三井物産が100%出資子会社のグルーヴァースを通じて始めた、健康に日々の生活を送る「ウェルネス」の推進を目的とした共通ポイント事業「ウェルネス貯金(ウェルちょ)」のことだ。2月15日から3カ月間、広島市内で実証実験を行い、年内にも全国展開したい考えだ。
高齢化社会の進展とともに医療費低減が喫緊の課題となっている今、社会全体で健康に対する意識が高まっている。三井物産は、「ウェルちょ」と名付けた新しい事業で、消費者のウェルネスを応援する企業で構成される「ウェルネス応援隊」と、健やかな毎日を過ごしたいと思う消費者とを結ぶことを目指す。ウェルネス応援隊と消費者の架け橋となるポイントシステムとして、そうした社会ニーズに応えるという。
ウェルネス応援隊は自社が提供する商品やサービスに「エール」というポイントを付与する。ウェルちょのモバイルアプリを通じてエールを受け取った消費者は、健康診断やマッサージなど消費者のウェルネスをケアする「ウェルネスステーション」で、そのポイントを活用することができる。
この取り組みの仕掛け人は、三井物産 流通事業本部マーチャンダイジング第二部食品営業室所属でグルーヴァースの社長に就いた福島大地氏だ。
福島氏は発表会見で、「ウェルちょはポイント事業だが、他のポイントとは違い、かつてのベルマークに近い。ベルマークが小中学校の環境改善をテーマとしていたように、ウェルちょは消費者の健康をテーマとしている」と説明した。
ベルマークは一定の年齢層以上でないとなじみがないかもしれないが、小学生のころ、懸命に集めた覚えのある筆者には、この説明でウェルちょの仕組みがのみ込めた。
ウェルちょの詳細な内容については
特設サイトを参照いただくとして、このウェルちょの開発には、次の2社も重要な役割を果たしている。モバイルアプリを開発したFintech企業のフィノバレーと、ITインフラとなるクラウド基盤とブロックチェーンの技術を提供した日本IBMである。
そこで、ここからは日本IBMインダストリー・ソリューションズ事業開発ブロックチェーン・ソリューションズ事業部長の高田充康氏が会見で語ったブロックチェーンの図解入りの説明を記していこう。
先進技術を提供したIBMが語るブロックチェーンの実情
高田氏はまず、ブロックチェーンとは何かについて、図1を示しながら説明した。図の左側が従来のシステムで、右側がブロックチェーンを適用したシステムのイメージである。
図中の説明内容はここで重ねて記さないが、全体としてのポイントはさまざまな取り引きを成立させるうえで、ブロックチェーンがいかに効率的で透明性および安全性が高いかということである。
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