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- 2019/04/03 掲載
OSS最新動向:「ミッションクリティカル化」は進展するか? ドイツが鍵を握るワケ
松岡功「ITキーワードの核心」:第12回
ミッションクリティカルな業務に広く使われるLinux
「SUSEは独立したソフトベンダーとして、今後一層OSS事業に注力し、お客さまにこれまで以上に高品質なサービスを提供していきたい」――。こう語るのは、SUSEのアジアパシフィック・日本地域担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーで、同社の日本法人SUSEソフトウエアソリューションズジャパンの代表取締役も務めるアンディ・ジャン(Andy Jiang)氏だ。同氏と日本法人のカントリーマネージャーを務める川崎哲郎氏に取材する機会を得た際のひとコマである。
この動きは、サーバ用OSであるLinuxをはじめとしたOSSでSUSEと競合する米Red Hatが2018年10月、米IBMに買収されることになった発表とは正反対とも見て取れる。
ただ、2019年後半にIBMの傘下に入るRed Hatもそのままの形態で事業を継続すると見られているので、SUSEとの市場争いは引き続き繰り広げられることになりそうだ。
SUSEが独立したソフトベンダーになったことについては同社日本法人の発表資料をご覧いただくとして、ここからはSUSEの事業戦略を通じてOSSの最新動向を探ってみたい。
1992年にドイツで創業したSUSEは、日本では「SUSE Linux」というオープンソースのOSの名称で知られるようになっていった。同社の主力製品である商用Linuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise Server(SLES)」は、メインフレームやインメモリデータプラットフォーム「SAP HANA」、ハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)向けなど、まさしくミッションクリティカルな処理が求められる各市場で、5割から8割の高いシェアを獲得しているという。(図1)
また、Linuxと同じオープンソースのクラウド基盤(IaaS)構築ソフトウェア「OpenStack」の展開にも注力。同社はOpenStackの推進プロジェクト「OpenStack Foundation」のプラチナメンバーとして積極的に活動しているほか、オープンソース技術の推進企業として多くの開発コミュニティに貢献している。
オープンソースベースで幅広い製品ポートフォリオを用意
SUSEの製品ポートフォリオは現在、図2のように広がっている。この製品ポートフォリオは2つに大別できる。
OSのSLESやIaaS向けの「SUSE OpenStack Cloud」、ストレージ向けの「SUSE Enterprise Storage」などからなる「Software-Defined Infrastructure(SDI)」領域と、コンテナ管理向けの「SUSE CaaS Platform」やPaaS向けの「SUSE Cloud Application Platform」からなる「Application Delivery」領域だ。
つまり、SDIとApplication DeliveryがSUSEの事業領域である。
図3に示したのは、図2の各領域で推進されているオープンソースベースのプロジェクトおよびその製品名称である。
ジャン氏によると、「SUSEは各領域で進められているプロジェクトとも密接に連携している」とのこと。オープンソースと共にあるSUSEを如実に表した図といえる。
【次ページ】SUSEの製品群が存在感を増してきている背景
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