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本連載では、ITトレンドから毎回ホットなキーワードを取り上げ、その最新動向とともに筆者なりのインサイト(洞察)や見解を述べたい。第16回に取り上げるキーワードは「クラウド基盤サービス」。
第13回でその市場動向と日本のベンダーの行方について記したが、今回はこの分野をリードするグローバルベンダー3社のバトルに焦点を当てる。特にグーグルがこの勢いのまま「進撃」し、アマゾンウェブサービスやマイクロソフトのシェアを奪うか、という視点で考察したい。
グーグルクラウドの新CEOが日本で初会見し新施策を発表
「デジタル技術があらゆる産業や企業の構造を変えつつある。それこそがデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。グーグルクラウドはDXに取り組む産業や企業を強力に支援したい」──。
グーグルクラウドのCEOを務めるトーマス・キュリアン氏は、グーグルジャパンが先頃開催したクラウドサービスの新施策についての記者会見でこう切り出した。
2019年から現職に就いたキュリアン氏が来日して会見を開いたのは、これが初めてだ。
会見で発表したのは、クラウド基盤サービス「Google Cloud Platform(GCP)」における日本のデータセンター拠点を、2016年に稼働した東京に続いて大阪にも開設したというものだ。GCPのグローバルでのデータセンター拠点は、図1に示すようにこれで20カ所目となる。
その詳細については
グーグルの発表ブログをご覧いただくとして、本稿ではグーグルクラウドの新しいトップが日本に初登場したこの会見を機に、グーグルがクラウド基盤サービスで先行するアマゾンウェブサービスとマイクロソフトを追撃できるか、という視点で考察したい。
アマゾンウェブサービス、マイクロソフト、グーグルによる“三つ巴”の現状
果たして、キュリアン氏は競合2社に対してどのように戦おうとしているのか。今回の会見で同氏が語ったその戦略を紹介する前に、アマゾンウェブサービス、マイクロソフト、グーグルによる“三つ巴合戦”の状況を示した興味深い図がいくつかあるので取り上げておこう。
まず、図2は、技術系の市場調査会社であるカナリスが先頃発表した「グローバルな有力クラウド基盤サービスベンダーの2018年 売上規模と市場シェア」を示したものである。
グローバルでの市場シェアは、AWSが31.7%、Microsoft Azureが13.5%、Google Cloudが8.5%と、アマゾンウェブサービスの独走が続いている。ただ、2017年からの伸び率を見ると、マイクロソフトとグーグルが追い上げているのが分かる。
また、図3は、同じくカナリスが先頃発表した「3社における2019年第1四半期(1~3月)の売上規模と前年同期比の伸び率」である。
伸び率ではアマゾンウェブサービスの41%に対し、マイクロソフトは75%、グーグルに至っては83%と非常に高い数値となっている。しかもこの傾向は図2の結果と併せて2018年から継続しており、この先、3社による“団子レース”になる可能性もありそうだ。
【次ページ】競合他社を追撃するグーグルの3つの戦略とは
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