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- 2019/04/19 掲載
外資が寡占するクラウド基盤市場、「日の丸クラウド」が取り組むべき新施策とは
松岡功「ITキーワードの核心」:第13回
国内のクラウド基盤サービス市場は2019年で4200億円に
まずはクラウド基盤サービス市場の規模や伸長状況から見ていこう。矢野経済研究所が先頃発表した調査結果によると、2018年の国内のIaaS/PaaSを対象とした同市場規模(事業者売上高ベース)は、前年比33.3%増の3200億円。「既存システムのクラウドへの移行がけん引する形で堅調に推移した」という。(図1)クラウド基盤サービスの利用は、年商数百億円以下の中堅・中小企業においても一般的となり、ユーザー企業がパブリッククラウドやプライベートクラウド、オンプレミスなどのシステム環境を組み合わせて使い分けるハイブリッドクラウドの利用も増加基調にあるとしている。
しかし、2018年下期以降、デジタル変革に関する取り組みがビジネスに実装される芽が出始めており、デジタル変革はPaaSの拡充とともに、2019年にはクラウド基盤サービス市場を成長させる大きな要因の1つになると予測。
そうしたことから、2019年の同市場は、前年比31.3%増の4200億円となり、2022年には8400億円の市場規模になると予測している。
今後については、ユーザー企業の基幹系システムのクラウドへの移行による利用拡大も期待される。基幹系システムは未だオンプレミスの割合が高く、クラウド移行に伴う商談規模も大きい。そのため、クラウドベンダーにとっても市場開拓のポテンシャルが高いと、同社では見ている。
AWS、マイクロソフト、グーグル、IBMが上位4サービス
では、クラウド基盤サービスの競合ベンダーによる勢力争いの状況はどうか。米調査会社のSynergy Research Groupが先頃発表した2018年第4四半期(10-12月)時点でのIaaS/PaaS/ホステッドプライベートクラウドを対象としたグローバルでの市場シェアを見てみよう。図2に示すように、1位はAmazon Web Services(AWS)で約35%、2位はMicrosoft Azureで約15%、3位はGoogle Cloud Platform(GCP)で約7%となり、この上位3つのサービスはいずれも前年同期に比べても伸長した。
一方、4位にIBM Cloudがランクインしているが、前年同期からシェアを下げた。しかもIBMはホステッドプライベートクラウドが主軸で、他社とは単純に比べられないとしている。また、5位に中国のAlibaba Cloudがランクインしたことも注目されるところだ。
【次ページ】国内市場の動向は?
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