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  • 2019/04/16

「ESG」「SDGs」「RE100」「SBT」…環境経営の“必修用語”をまとめて解説

新連載:令和時代の「環境経営」トレンドに向けて

近ごろ、「ESG投資」、「SDGs」、「RE100」などの言葉を見聞きする機会が増えてきた。「“環境の取り組み”“持続可能な社会をつくる取り組み”ということくらいはわかるものの、いずれも横文字で定義され、それらの関係性や自社への影響が分かりにくい」と言った声をよく耳にする。これらの用語の定義や、なぜこれから重要か、改めて丁寧に整理する。

ビジネスデザイン研究所 代表 久保欣也

ビジネスデザイン研究所 代表 久保欣也

東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻修了後、東京電力に入社。東電では事業開発部にて新規事業の事業化やM&Aに従事した。その後、ドリームインキュベータにて、全社的な事業拡大戦略の策定支援、技術分野での新事業開発の立案や実行支援を行った。2015年11月にビジネスデザイン研究所を設立。電力分野では新規事業の立ち上げや新電力の経営支援を手がけている。そのほか日本省電、レジンも経営。

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なぜいま「環境」への取り組みが重視されているのか。その背景とともに説明する
(©peshkov - Fotolia)


「ESG」「SDGs」、その他環境用語をまとめて解説

 「ESG」「SBT」「RE100」「SDGs」「CDP」……これらはすべて今後企業が留意すべき環境にまつわる用語である。まずはこれらの用語が何を意味するのか簡潔に説明する。以下の表を見てほしい。

ESG
【社会規範】
・持続可能な社会の形成へ寄与するために企業が配慮すべき要素とされるEnvironment (環境)、Social(社会)、Governance (企業統治)の頭文字をとった呼称。

・大気汚染や資源枯渇といった環境問題の対応をはじめ、ビジネス上の人権問題やダイバーシティなどの労働環境への対応、贈収賄・腐敗防止等の対策を指す。

・企業を評価する際に、これらESGへの取り組みが適切に行われているかどうかを重視するという投資方法を「ESG投資」と言い、投資銘柄が用意され、格付けされている。
SBT
【環境目標】
・パリ協定(2015年にパリで開かれた、温室効果ガス削減に関する国際的取り決めを話し合う「国連気候変動枠組条約締約国会議」通称COP21)にて、世界における気温の上昇を産業革命前と比べ、2℃未満へ抑制することを目的としたイニシアチブ。Science Based Targets の頭文字をとって「SBT」と呼称。

・「企業版2℃目標」として、科学的根拠に基づいた知見に整合する温室効果ガスの削減目標を指す。
RE100
【環境イニシアチブ(企業連合)】
・企業活動に必要な電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟するイニシアチブで、「Renewable Energy 100%」の頭文字をとって「RE100」と命名。

・2014年に発足した企業連合で、ネスレ、イケア、NIKEなど先進的な取り組みをPRしたい企業が加盟している。2019年2月時点で、世界全体で164社が加盟。
SDGs
【環境目標】
・2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193カ国が2016年~2030年の15年間で達成するために掲げた目標(拘束力はない)であり、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で「SDGs」と呼称。

・貧困、飢餓、環境など今後の社会的課題に関する「17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」で構成されている。
CDP
【格付け指標】
・2000年に英国にて設立された国際NGOであり、世界の主要企業に対し、環境戦略や温室効果ガスの排出量の開示を求めるプロジェクトを実施。Carbon disclosure projectの頭文字をとって「CDP」と呼称。

・二酸化炭素排出量や気候変動への取り組みに関する質問状を選定企業へ送り、回答を分析・評価して、投資家に開示することで、企業の株価や企業価値に影響を与えている。


 これらが企業活動に与える影響は何だろうか。以下にその関連図を示してみる。

画像
企業活動との関連

(1)まず、企業が「持続可能な社会を創る」ために自社が目標設定して、実行していくことを投資家や消費者など社会に対して広く宣言することから始まる。その際、SDGs、SBT、RE100などのイニシアチブ、削減目標に沿うことで、効果的な対外公表となる。

(2)次に、企業が実際に年間など一定期間で実行した結果について情報公開することとなる。CDPの場合には、各企業に質問票が送られてくるためにそれに回答する。それらの結果として、CDPやESG投資などでの評価、格付けがなされる。

(3)その情報を目にした投資家や消費者は、その企業を信用し、支持するようになる。

(4)最終的な結果として、投資家や消費者をはじめとする社会からその企業が認められることで、今後、事業を推進する機会や投資を受ける機会を得ることとなる。

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ESG、SDGsが“本物”のトレンドであるこれだけの理由

 ではここからはより具体的に、上記の中でも特に盛り上がりを見せている「ESG」「SDGs」のトレンドの背景を解説していく。

 現在、ESG、SDGsのマクロトレンドが企業の戦略イシューとなっている。これまでの排出権などの議論との一番の違いは、環境経営指標が企業価値に直結する時代になったという点である。

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 もちろん。これまでも京都議定書やCSRなどの環境ネタは、企業活動の観点ではあったものの、環境対策コストというような義務的かつネガティブなワードとして取り扱われており、企業からすると先送りしたいようなものであった。

 ただ、昨今のESG、SDGsの盛り上がりはバズワードではなく、次のような要因に起因する、本物のトレンドではないかと思う。

 一番大きいのは、20世紀を主導してきた薄利のビジネスである製造業から、GAFAに例えられるような厚利、小規模分散でビジネスを行うIT企業に覇権が移ったことである。これにより、社会規範がニューノーマル化され、デファクトスタンダードが変わった点が挙げられる。

 GAFAと呼ばれる企業は、事業収入を売り上げて課税逃れをしているといったような報道もあることから、マイナスイメージを抱かれがちである。そういった取り組みにより企業イメージが浄化されるのであれば、対応コストという点では安く、むしろ自分たちの事業を強くするという前提で取り組んでいる点が、過去これまで主導権を握ってきた製造業と一番違う点であろう。

 2つ目に、20世紀を主導してきた製造業自身に、資本主義の限界が来ている。モノを大量生産するところに始まり、環境をないがしろにしてきたことにより、サステイナブルな経営ができない環境になりつつある。これにより、方針を変えていかなければいけないというインセンティブがあるのではないだろうか。

 たとえば、異常気象により物流が滞ってしまうとか、保険会社も保険という商品が成り立たなくなるなど、既存の事業が具体的にできなくなるといったダメージが顕在化してくる。これは決して軽視できない事象であるため、事業を続けるために当然必要なコストとして認識されているという点が、この取り組みに前向きな要因であろう。

【次ページ】第3・第4の理由、そしてなぜ今担当者が焦って取り組み始めているのか

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