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- 2019/06/05 掲載
メルカリら議論、伸びる企業がいま一番重視しているのは「働き手」のエクスペリエンス
あえてルールを作らず、社員が自分で考えて自由に働くメルカリ
メルカリ 唐澤 俊輔氏(以下、唐澤氏)国はあまり関係ないと思います。マクドナルドは世界120カ国でハンバーガーを販売している多国籍企業ですが、当社も約30カ国の外国籍社員が在籍しており、社内はとても多国籍です。
それよりも大きいのは事業モデル、カルチャーの違いで、日本マクドナルドの場合、全国3,000店舗で同じ味を同じように提供しなければなりません。
一方、ITやソフトウェア分野は創発的なアイデアがたくさん現場から生まれてくることが重要です。メルカリではあえてルールやマニュアルを作らず、自分で考えて自由に働くということを大事にしています。
また、日本の企業だから日本的というわけではありません。当社はGAFAを目指していて、テクノロジーで世界を変えていきたいと思っているので、現場の一人ひとりが考えて自由の中で責任感を持って判断する企業風土をよしとしています。
当社は「Go Bold(大胆にやれ)」というバリューを掲げています。価値観がそろえば、ルールやマニュアルがなくても同じ方向を向いてずれない意思決定ができるはずですし、権限委譲もしやすくなります。
唐澤氏:はい、性善説はとても大事にしていて、「常に人はいいことをしようとする」という前提に立ちます。失敗するかも、悪いことするかも、と思うからルールを作る。ルールがあると安心はできますが、みんながそれに頼り出す。自分で考えずに会社に聞く習慣がついてしまうのです。
自律的に行動できる組織なら性善説を取れる
田中氏:リーダーシップvsマネジメントという構図があります。「リーダーシップ」は部下を信じ切ることが重要で性善説、「マネジメント」は人は約束を破りうそをつくものという性悪説に立脚しているところがあります。斉藤さんの会社ではどうですか。当グループで一番大事にしているテーマは「自律自責」で、マネジメントの場でもよく言っています。何となく自分がよかれと思った行動を取るというのではなく、「組織が今こういう状態だから、こういう目的を持つべき。だから私はこう行動するんだ」と動いてくれれば、まちがった方向に進むことはないと思っています。
また当グループには「Do、Dive、Deep」というバリューがあります。Doは自律的に行動する、Diveは挑戦する、Deepが深く洞察するというものです。このDoを“取りあえず行動する”ではなく、“プロフェッショナルとして自律的に行動する”と捉えてもらえれば、性善説を取ることができます。
そのため、企業のバリューをベースに採用することが非常に大事だと思います。
菅原氏:メルカリさんのバリュー「Go Bold」は、人材のいいスクリーニングになっているように感じます。
唐澤氏:やはり採用の際に重要なのはカルチャーフィットだと思っています。どんなにスキルの高い人でも、「Go Bold」ではないと判断したら採るのを我慢します。結局、人を縛るルールがないので、自分で考えて自分で行動する人でないと組織が回っていかないのです。
斉藤氏:一番大事なのは組織で価値観を統一することだと思います。埼玉大学の宇田川元一先生がナラティヴアプローチというのを提唱されていて、人にはそれぞれが持っている物語がある、と。まずはお互いが何を大事にしたいと思っているのか、聞く、対話するということが大事なのではないかなと思います。
【次ページ】メルカリに「働き方改革」がないワケ
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