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  • 2019/08/22

“街コン仕掛け人”大木隆太郎氏「少子化対策はエスコート文化から」

少子高齢化が止まらない。平成30年版高齢社会白書によると、2017年の65歳以上の人口は3515万人と、総人口に占める割合は27.7%となっている。出生数は減少を続け、2065年には0~14歳までの年少人口が898万人と現在の半分程度になると推計されている。少子化の要因の1つに挙げられるのが、未婚化だ。2015年の国勢調査によると、30~34歳では男性の2人に1人、女性は3人に1人が未婚となっている。少子化を止めるにはどうすればいいのか。恋愛・結婚をサポートする事業への投資を展開するMYALL代表取締役会長 大木隆太郎氏に話を聞いた。

聞き手:編集部 佐藤友理 執筆:中村仁美 撮影:濱谷幸江

聞き手:編集部 佐藤友理 執筆:中村仁美 撮影:濱谷幸江

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MYALL代表取締役会長 大木隆太郎氏。「街コン」の仕掛け人として活躍。現在は「恋愛・恋活・婚活」事業に投資を行うMYALL代表取締役会長として、「愛カツ」「愛カツ電話相談」「ハワ婚」などの事業を手掛けるTOBEを経営


マッチングビジネスのこれまで

──これまでの恋愛・結婚にかかわるビジネスはどのように変化してきたのでしょうか。

大木氏:大正以前の結婚は、家同士の決めごとでした。ですので、恋愛結婚などは御法度。しかも明治はまだ一夫多妻が認められており、民法で一夫一婦制が確立したのは明治31年(1898年)です。

 大正天皇からは側室制度が廃止され、一夫一婦制の結婚観が定着しました。昭和に入り、恋愛結婚も増えました。それと同時に、恋愛ができない人が相手を探しに行く場所として結婚相談所が増えました。合コン文化はその1つの象徴です。

 たとえば僕は1977年生まれですが、大学時代はパーティーサークルに入っていたこともあり、週に数回合コンを開催していました。私の世代ではそれぐらい合コンが盛んでした。


 ですが、ゆとり世代が成人するようになると、合コンは廃れます。というのも合コンは「モテ」の競争だからです。ですがゆとり世代はそういう感覚を持っていません。そこで「みんなで一緒に街を盛り上げる中で出会いを探しましょう」ということで、登場したのが街コンです。街コンは地域活性化に貢献しながら、リアルな出会いもできます。今から6年程前には、街コンイベントが全国で開催されていました。

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──街コンという言葉もあまり聞かれなくなりました。

大木氏:当初街コンは参加者1000人などの大きな規模での開催でしたが、やがて進化し、寺で行う寺コンやエヴァンゲリオン好きな人たちが集まるエヴァコンなどへと発展していきました。こういったものを「趣味コン」といいます。

 街コンからの派生したもう一つの形が店コンです。店コンは店舗ごとに開催される合コンです。それが進化したのが相席系居酒屋や恋活居酒屋です。そして街コンが廃れて行く中で、生まれてきたのがマッチングアプリです。マッチングアプリは今も進化していますが、最近、増えているのがSNSナンパです。というのも今、路上でリアルにナンパをすると痴漢や不審者として捕まるリスクがあるからです。

アプリで恋愛・結婚の相手を探す問題点

──マッチングアプリが進化しているとのことです。

大木氏:リアルなナンパや合コンが一般的ではなくなってきたので、恋愛をするならインターネット、SNS、マッチングアプリに流れるしかありません。特にマッチングアプリは今後も伸びていくはずです。

 とはいえ、マッチングアプリで簡単に恋人ができるかというと「No」です。マッチングアプリだと勝ち組が決まっているのです。アプリでは見た目、年齢、年収というセグメントで人間をフィルタリングできます。だからたとえアプリの登録者が1000万人いても、見た目、年齢、年収なの条件をクリアしていない限り、ユーザーの選択肢にも上がってこないのです。「出会いの場」は広がっていますが、勝ち組以外の実際の恋愛成就率はどんどん下がっていくのです。

 マッチングアプリを使って相手を探すことの問題はそれだけではありません。相手に求めるハードルばかり高くなって、勘違いが起きやすくなっているのです。

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──勘違い、とはどんなことを指すのでしょうか。

大木氏:たとえばマッチングアプリであれば、若くて顔が良くて高年収の男性や美しく若い女性にも簡単に出会うことができますよね。でもこれは「出会い」ではない。「出会っている」という錯覚が起こっているだけです。

 もう少しかみ砕きましょう。アプリの中には「相手候補」として魅力的な人がたくさん出てきます。そうした人の写真や経歴などを見て「アリ」「ナシ」と一人のユーザーが候補を絞っていく。一方で、他のユーザーも同じようにスマホで候補者の仕分けを進めていきます。そうすると、年齢、顔、収入などの条件が有利な人に人気が極端に集中します。

 各ユーザーは「自分が相手をジャッジしている」気分になりますが、実際には自分もジャッジされていて、「ナシ」あるいは「人気者より下」に仕分けされている。結果、多数の候補者がほんの一握りの「人気者」に奪われています。この見えない人気の非対称性に気づいていないことが「勘違い」なのです。

 こんな状況では、人気者ではないユーザーが人気者にアタックするケースが多発します。これでは恋はなかなか成就しません。しかも、ユーザー同士はアプリの中でコミュニケーションをとっているだけなので、本当の意味では「出会って」いないのです。なので、仮にユーザーが他のユーザーにアタックして振られても、面と向かって拒絶されるわけではありません。

 このように、マッチングアプリでのやりとりは、双方が傷つくことなく終わってしまいます。でも、人間は恋愛で傷ついたり、喧嘩したり、別れを経験することで人間関係の構築方法や修復方法を学びます。

 「対面しないこと」による損失はそれだけではありません。見た目は好みじゃないけど、話してみたら面白い人だった、趣味が合う、なんとなく一緒にいて居心地がいい、といったことは実際に相手に会って話してみないとわからないのです。

 こうしたプロセスなしにアプリで相手探しをしても、恋愛リテラシーは上がらない。アプリで出会いの回数を増やしたり、良い出会いの確率を上げていくという「恋愛のための補助ツール」としてアプリを活用するなら話は変わってきますが、恋愛経験が無いまま「マッチングアプリだけ」で出会いから交際につなげようとすると、結局「本当の人間関係」「本当の恋愛」にたどり着く前にすべてが終わってしまうのです。こうした要因もあり、30代で一度も付き合ったことのない人が増えています。

──そういう人たちはどうすればよいのでしょうか。

大木氏:恋愛経験がゼロのまま30代になると恋愛することはかなり難しくなります。そういう人が出会いを求めて訪ねるのが結婚相談所です。たとえば結婚相談所の運営をはじめ成婚にこだわった婚活サービスを提供しているIBJの時価総額は約420億円(2019年8月14日時点)と急成長しています。

 恋愛リテラシーの低い人が増えていく限り、恋愛・結婚ビジネス市場は更に伸びていくでしょう。だからといって未婚者の恋愛リテラシーが養われない限り、恋愛成就率や婚姻率が上がるわけではありません。

少子化は婚姻率向上だけでは解決できない

──婚姻率を上げても少子化問題が解決できるとは限りませんが、子どもを増やすための方策について、考えていらっしゃることがあれば教えてください。

大木氏:現在、20代の彼氏彼女いない歴は過去最高な上に、彼氏彼女がいても結婚しない人が増えています。その要因は、結婚しても子育てができないからなのです。

 東京都区内に住もうとすると、最低でも世帯年収1000万円は欲しいところです。ですが、そんな世帯年収の人口は10%以下です。その上、子どもを私立の小中高大に通わせるとすると、1人当たり2400万円~3000万円程度かかります。子ども2人なら5000万円です。それだけのお金を出せる家庭がどれぐらいあるのでしょうか。経済的な理由から結婚しない人が増えているのです。ではどうすれば子どもを増やすことができるか。

【次ページ】結婚はいわゆる「男と女」の問題ではなくなっている

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