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  • 2020/06/10

リモートワークの課題、間接部門の問題解決こそが「近道」と断言できるワケ

沢渡あまね氏が解説

緊急事態宣言が終了しておよそ2週間が経過した。日々の国内感染者数は全体としては減少傾向にあり、コロナ禍での生活様式が少しずつ定着しているように見える。一方で、働き方はどうだろうか? ここ1か月間に発表されたコロナ禍でのテレワークやリモートワークに関する調査レポートでは、業務効率の面を中心に課題ばかりが浮き彫りになっているようだ。なぜこのような課題が残ってしまったのか。またその脱却方法とは? ワークフロー総研のフェローを務める沢渡あまね氏が解説してくれた。

ワークフロー総研 フェロー 沢渡あまね

ワークフロー総研 フェロー 沢渡あまね

ワークフロー総研 フェロー
業務プロセス/オフィスコミュニケーション改善士。
企業・自治体・官公庁などこれまで300を超える組織のワークスタイル変革、組織風土改革、マネジメント変革を支援。著書『職場の問題地図』『職場の問題かるた』『仕事ごっこ』『業務デザインの発想法』『チームの生産性をあげる。』など多数。

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リモートワークの生産性向上には経理や法務など「間接部門の改革」が重要になる
(Photo/Getty Images)

コロナ禍を古い文化からの脱却のきっかけに

 本題に入る前に、まず拙著『仕事ごっこ』第3章にて「兵士不足に悩む王国」の物語を皆さんにご紹介したい。

 ある国が兵士を募集していました。年々若い人の人口が減り、兵士の高齢化が進んでいるからです。

「このままでは、お城を守る人がいなくなってしまう」

 あわてたお城の偉い人たち、若い人に兵士になってもらおうと、あれこれと手をうちました。かっこいいポスターもつくった。テレビCMも流した。ソルジャー系アイドルのイベントもやった。

 ところが、待てど暮らせど、なかなか応募してくる人がいません。たまに応募があったかと思えば、お年を召した人ばかり。それもそのはず。この国の兵士に応募するためには、大きなネックがあったのです。

・手書きの履歴書と職務経歴書をととのえ、事前に送る必要がある
・面接には、鎧兜を着ていかなければならない

(出典:『仕事ごっこ』第3章「兵士不足に悩む王国」,沢渡あまね著,技術評論社)


 皆さんに振り返ってみてほしい。採用以外にも社内外のあらゆる場面で、この王国のような指示をしていたり、はたまた明言はされていないものの全員が空気を読んでそのように行動している組織はないだろうか。

 今回私がメスを入れていきたいのは、まさにこの働き方の根底にある考え方、こうあるべきと無意識に思い込んでしまっている固定概念についてだ。



 結論から申し上げると、冒頭でも触れた通り、単に働き方のルールを新しいものに変えたからといって本質的な働き方は何も変わらない。新しい働き方には新しい働き方のマインドが必要となる。

 コロナ禍で強制的に働き方改革を実行している今の状況は、新しい働き方と古い働き方を形作ってきた文化や考え方とが混在してしまい、かみ合っていない状態だと言える。だからこそ新しい働き方の運用で課題が噴出してしまっている。

 それでは、この古い文化はどのように変えていけばよいのか。今回は人事をはじめとした「バックオフィス」に焦点を当て、お伝えしていきたい。

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古い文化はどう変えていけばよいのだろうか
(Photo/Getty Images)

バックオフィスが抱える4つの問題

 まずはじめに、バックオフィスは営業やエンジニア、マーケティングなどビジネス領域以外の社内業務全部、おまけの仕事、単なる事務仕事という考えを捨てていただいて、以降読み進めていただきたい。

 私がなぜバックオフィスに焦点を当てたかというと2つの理由がある。1つ目は、バックオフィスは社内横断的に会社運営に関わっているということ。2つ目は、バックオフィスの仕事の仕方が営業や技術職、マーケティングなどいわゆるビジネスサイドの運用に少なからぬ影響力を持っている、または直接的に決定権を持っているからだ。

 このような重要な立場にいながら、その影響力が、残念ながら今は裏目に出てしまっているように思う。「申請はどうしても紙じゃないとだめなんです」「原本は紙で運用するのが決まりなんです」など、業種業界、企業の規模を問わず、社内運用業務がテレワーク移行ができない業務の大きな要因として、バックオフィスが絡む業務が挙げられている。

 なぜバックオフィスは変われないのか。原因は次の4つに分解できると考えている。詳しく見ていこう。

1.カルチャーの問題

 たとえば社外の勉強会など、外との交流が他の職種に比べて少ない。他部署の仕事の内容を知らない/経験したことがないなど、井の中の蛙(かわず)になりがち。また社内でもコミュニケーションは他部署から依頼される仕事をさばくという受け身の仕事の仕方になっている。

2.評価制度の問題

 ミスをしないこと、また働いた時間でしか評価されない。よって、勤務時間をいかに消化するかに意識が向きやすい。無駄な仕事を減らす=自分の仕事がなくなるという恐れから、結果、無駄な仕事を減らさないままでいるか、無駄な仕事を増やしてしまうこともある。

3.人材の問題

 文系卒が多く、エンジニアマインドを持った人がアサインされにくい。よって、仕組み化による改善や改革が起こりにくい。人材交流や異動が少なく、仕事が属人化しがち。XXさんが在宅勤務なのでこの業務はできません、というケースも。多職種を支えるバックオフィスがバックオフィスの仕事しか知らない、また前段の評価制度の中で昇進した人にトップを任せるのも問題。改善活動や他部署への提案活動ができない人が増え続けていってしまう。

4.コンプライアンス(法令遵守)の問題

 書類の保管義務などが該当する。法令遵守は当然のことながら、保管のために業務を行うのではなく、運用と保管は分けて考えるべきだろう。2020年10月にはこれまでよりさらに要件が緩和される電子帳簿保存法が施行される。その法律で許される限りのペーパーレス化を推進するなどの対策はできる。

 しかし、前段述べた通りITに強い人材が配置されにくいので社内で推進する立場をとれない。また、1、3で述べた通りビジネスサイドの仕事の経験に乏しいので、推進するメリットを他の部署の立場に立って説明、説得することができない。

 ここまで挙げた4つの問題は、だからバックオフィスが悪いということではなく、本来活躍できるバックオフィスが、バックオフィスへの固定概念や採用方法など古い慣習の結果生じてしまっていると考えている。

【次ページ】バックオフィスを変える3つの方向性

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