- 2020/09/07 掲載
ダイバーシティ戦略の必須ポイント「評価の目」、各国の評価基準は何か(2/2)
英国での「評価の目」:SWEI(職場における平等指標)とは
CEIが米国の確固たるベンチマークとすれば、たとえば英国ではStonewall Workplace Equality Index(SWEI:職場における平等指標)が存在します。SWEIを取りまとめているのは、STONEWALLという1989年に英国で設立された任意団体であり、現在では英国のみならず、ヨーロッパ全域での最大のLGBT人権団体です。SWEIは2005年から毎年作成されており、参加している官民団体・企業は400社以上、最終評価の5%を占めるアンケートの回答に参加する従業員は9万人以上です。その中から毎年、TOP 100社の順位が発表されています。企業側が自ら応募し、下記の10項目において、自社の人事ポリシーと実態につき申告します。なお、参加費は無料です。
- 従業員ポリシー(Employee Policy)
- 研修(Training)
- 従業員が参加するネットワークやグループ(Employee network group)
- すべての従業員の参加の度合い(All-staff engagement)
- キャリア形成・発展(Career development)
- ライン・マネージャー(Line managers)
- モニタリング(Monitoring)
- 自社へのサービスと商品のサプライヤ(Procurement)
- 地元・地域社会との関わり(Community engagement)
- さらなる活動(Additional work)
SWEIの調査では、従業員に無記名のアンケートを実施し、職場におけるダイバーシティとインクルージョンの経験も調べています。アンケートは10個の簡単な質問で構成されており、その中には下記のような質問が含まれています。
- ・職場においてレズビアン、ゲイ、バイの方々は自身の性的指向をオープンにすることに違和感を抱きますか?
- ・自身の企業にオープンにレズビアン、ゲイ、バイとトランスのロールモデルの方はいますか?
- ・レズビアン、ゲイ、バイとトランスの従業員は彼らのマネジャーやシニア・マネージャーからサポートを得ていますか?
- ・従業員は職場における性的指向や性的自認に対するいじめの存在を申告することにためらいはありますか?
また最近では、英国ベースのSWEIのみならず、Stonewallはグローバルな視点での指標も発表しています。
香港での「評価の目」:LGBT+INCLUSION指標とは
続いて、アジアの状況を見ていきましょう。アジア初として香港では、任意団体のCOMMUNITY BUSINESSのLGBT+INCLUSION AWARDSが2014年より開始され、LGBT+INCLUSION指標は2015年から公表されています。評価は、下記の9項目をもとに隔年で行われます。
- 戦略およびリーダーシップの説明義務(Strategy and Leadership accountability)
- 企業内のポリシーおよびガイドライン(Policies and Guidelines)
- 研修(Training)
- ダイバーシティの土俵(Diversity structure)
- 従業員への福利厚生(Benefits)
- 企業内の風土・カルチャー(Corporate culture)
- 広義の市場での立ち位置(Market positioning)
- 測定可能な数値(Measurement)
- 地元・地域社会との関わり、および政策提言への取り組み(Community and Advocacy)
2019年に公表された指標では、金賞に17社、銀賞に11社、銅賞に12社、中小規模組織賞には5社が選出、発表されました。
今後、グローバル社会での評価指標はどうなる?
ここで紹介した3カ国の例をとってみても、さまざまな国や地域に企業のLGBT+問題に対する姿勢と施策を評価する指標が増加することが予測されます。日本でもすでにWork with Prideという任意団体が2016年に、日本初の職場におけるLGBTなどのセクシュアル・マイノリティーへの取り組みの評価指標「PRIDE指標」を策定しました。
次回以降では、日本での取り組みについて掘り下げてご紹介したいと思います。
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