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- 2020/12/26 掲載
ここまで苦しいスキー業界の現状、「GoToいつ再開?」と漏らす声も
厳しい状況がすでに予想されるスキー場業界
2020年、あらゆる業界を襲ったコロナショック。一部製造業など徐々に回復傾向を見せる業界や、「ウィズコロナ」や「巣ごもり需要」により好調な食品業、ゲーム業のように営業利益を大きく伸ばした業界もある。その一方、航空会社などの空運、鉄道などの陸運のように需要が大きく落ち込んだまま戻らない業界も数多い。中国ではじめて新型コロナウイルスの感染が確認されから約1年。国内産業の二極化は、時間が進むごとに鮮明になっている。
2020年に大きく落ち込んだ業界のひとつに、観光業がある。帝国データバンクによると、新型コロナウイルスの影響で倒産したホテル・旅館は70件に上る。この集計には休業や廃業は含まれない。そのため、日本全国で一体どれくらいのホテルや旅館が新型コロナウイルスによって営業を諦めたのか、全貌はまだ見えない。
また、観光業とひと口に言っても、業態や業種によって落ち込み方、回復度合いはさまざまだ。夏から始まった「Go Toトラベル」の恩恵を受けて春先からの損失をカバーできた宿泊施設もあれば、依然として宿泊客がまったく戻らない施設もある。中には、具体的な損失はまだ受けてはいないが、すでに非常に厳しい状況が予想されている業種もある。そのひとつが、スキー場だ。
暖冬少雪で相次いで経営破綻したスキー場
2019年冬から2020年春までの先シーズンは、記録的な暖冬少雪のシーズンだった。新型コロナウイルスによって隔世の感があるが、覚えている人も多いのではないだろうか。昨年の暖冬少雪は特に本州で顕著で、新潟県では県内57施設のスキー場のうち、1月末時点で営業できたスキー場は32施設にとどまった。長野県も同様で、スキー客が最も増える2月になっても十分な雪が確保できないスキー場は少なくなかった。北陸では1月初旬の段階で、全ゲレンデに対する滑走可能なゲレンデの割合はわずか10%だった。
さらに、シーズン終盤に入ってからの新型コロナウイルスの感染拡大。3月には西日本最大級のスキーリゾート・瑞穂ハイランド(島根県邑智郡邑南町)や、雁が原スキー場(福井県勝山市)、アサヒテングストンスノーパーク(島根県浜田市)など、いずれも歴史あるスキー場の運営会社が相次いで経営破綻している。
減少が止まらないスキー人口と、いびつな業界構造
ただ、これらのスキー場が破綻した理由は少雪だけではない。というよりは、最後のきっかけに過ぎないと言った方が適切だろう。以下の表は、国内のスキー・スノーボード人口の推移を示したものだ。1987年に800万人だったスキー人口はバブル景気の中、急増。1998年にはスキー・スノーボードを合わせた参加人口は1800万人まで増えた。しかしこの年をピークに減少に転じ、2003年には1190万人、2008年は1130万人に減少している。近年は減少のペースに拍車がかかり、2013年は770万人、2018年は580万人と、ピーク時の3割程度にまで落ち込んでいる。
【次ページ】オープンした矢先のGoToトラベル一時停止、事業者の声は
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