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  • 2020/08/21 掲載

実録「GoToトラベル」 キャンペーン不参加の宿の本音、都内代理店には怒りの電話も

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2020年の上半期だけで、実に72もの事業者が倒産した宿泊業界。ここ数年、宿泊事業者の倒産件数は年間70~80件で推移しており、宿泊業界への新型コロナウイルスの影響の深刻さを見てとれる。こうした状況を打開するために、約1.35兆円もの巨費を投じて行われている「GoToトラベルキャンペーン」。しかし内情は、宿泊業者も旅行事業者も大混乱だという。現場で一体何が起こっているのか。関係者に詳しく話を聞いた。

ライター 箕輪 健伸

ライター 箕輪 健伸

ライター・編集者。新聞記者、雑誌編集記者を経て、現職。これまで延べ300社以上の製造業の取材経験がある。ほかにも、飲食業界、宿泊業界、大学病院をはじめとした医療機関など、業界や業種を問わず幅広い取材・執筆経験がある。

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7月22日より施行された「Go To トラベル」キャンペーン。直前での運用見直しもあり、現場は大混乱に陥った
(Photo/Kyodo News/Getty Images)


上半期だけで昨年の倒産件数に追いついた

 東京商工リサーチの調べで、2020年上半期(2020年1月~6月)の宿泊業の倒産件数が72件であったことがわかった。2017年~2019年の年間を通しての宿泊業の倒産件数は、78件(2017年)→78件(2018年)→75件(2019年)と推移している。2020年は上半期だけで、ここ数年の年間倒産件数と肩を並べるほどに逼迫(ひっぱく)してしまっている宿泊業界。

倒産件数
2017年 78
2018年 78
2019年 75
2020年
(1月~6月)
72
(出典:東京商工リサーチの発表資料より作成)

 負債総額に目を移してみると、2019年の約1,206億円に対して2020年は約430億円だ。倒産件数に対して負債総額が昨年に比べて極端に少ないことがわかる。このことは、もともと体力がない小規模な宿泊事業者の倒産が特に多いことを示している。

 東京商工リサーチの担当者は、宿泊業界の今後の見通しについて「新型コロナウイルス感染症の影響が長引けば、小規模事業者の倒産件数が増えることはもちろん、中規模以上の事業者の倒産も増えてくるだろう」と分析している。


政府の肝いり「GoToキャンペーン」、しかし現場は……

 苦境にあえぐ宿泊業界を守るために、政府が打ち出した政策が「Go To トラベルキャンペーン」だ。旅行業者等を経由しての旅行に対して、旅行代金の2分の1相当のクーポンなどが付与されるというものだ。総額1.35兆円もの税金を投入した政府の肝いり事業「Go To トラベルキャンペーン」。

 しかし、東京都民と東京を目的地とした旅行を除外する、いわゆる「東京除外」やキャンセル料の取り扱い、若者や高齢者の団体旅行を除外することなど、朝令暮改のために現場は混乱を極めている。

「GoToトラベルキャンペーンは、当初8月中旬からと聞いていましたので、なんとかそれまでは持ちこたえようと頑張っていました。それが前倒しになるということで、当初は単純に“早くなって良かった”と。ところが、7月22日に開始するとニュースで知ってはいましたが、1週間前になっても何の説明もありませんでした。受け入れる側の私たちですらキャンペーンの詳細を知らされていないのですから、お客さまが混乱するのも仕方ないことだと思います」

 こう話すのは、日本三景のひとつ、宮城県・松島で民宿を営む店主だ。海水浴場からほど近いこの民宿にとって、夏は年間を通して一番の書き入れ時だ。しかし──。

【次ページ】疲弊しきる旅行代理店、「詐欺ではないか」とまで言われ

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