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- 2021/11/10 掲載
回せ「内製BizDevOps」、アプリ内製&DXを成功させる開発体制とは?
いま国内企業の内製化は、どれだけ進んでいるのか?
ITRによる2022年のIT投資速報値を見ると、「全社的なデジタルビジネス戦略(DX)の策定」が、重要度指数・実施率・実施率予想において最も高くなっているという。一方で今回のテーマである企業の内製化に関しては「システム開発の内製化の推進」(20%)、「アジャイル開発/DevOpsの推進」(17%)と、その重要度指数は低くなっている。しかしその一方で、ITRの調査によれば、DXに対して成果を出している企業では「完全内製」(26%)と「完全アジャイル」(48%)を採用しているケースが多いことが、統計上でも分かるという。
「いまのところ内製化やアジャイル/DevOpsについて、IT部門の重要テーマと捉えている企業は少ないのですが、これらの結果からDXやイノベーションの実現に重要な鍵を握るのは、アプリケーション設計/開発を自社主導で実施することです。この価値を理解すべきでしょう」(甲元氏)
内製の価値はどこにある?クラウド時代に下がったハードル
とはいえ、専門性や人的リソースの観点から、外部委託するメリットも少なくない。企業において内製化の価値は一体どこにあるのだろうか? 甲元氏は外製化と内製化の違いについて比較した。「開発スピード、先進テクノロジーの取り組み、専門性、コストという点で内製化のほうが圧倒的に有利だと考えています。ただしシステム開発のリスクや完成については、内製化は自社で完全に責任を持たなければなりません。そのためリスク面や完成性を考慮して、これまではIT部門が外部に開発を委託することも多かったようです」(甲元氏)
日本と海外のソフトウェア技術者の「専門性」「組織人力」「マネジメント力」の調査(2018年IPA調べ)では、ドイツ・フランス・アメリカなど、他国と比べて日本はすべての面で自己評価が低いという結果が出ている。そういう背景もあり、現在はIT部門でのソフトウェア内製化率は高くないのかもしれない。しかし以前は内製中心の時代もあったのだ。たとえば、メインフレーム時代はアプリケーションの内製化が当たり前だった、と同氏は話す。
「それがオープン化時代になって、サーバ/クライアントがマルチベンダー化され、外製化にかじを切るようになりました。次のインターネット時代は、セキュリティ対策やマルチデバイスの対応が必要になり、IT部門の仕事が増え、さらに外製化が進みました。いまはDX推進やクラウド活用で外製化に頼る一方で、内製化も重要な時代になっています。将来的にはクラウドネイティブ・アプリケーションの作成が容易に行えるようになり、開発の負荷が減るでしょう」(甲元氏)
実際にアプリケーション開発のハードルは、以前よりも格段に下がっている。クラウドが登場する前は、システムもオンプレで、ハードウェアやソフトウェアの保守だけで精一杯だった。しかしクラウドでインフラ構築が容易になり、PaaS(Platform as a Service)やFaaS(Function as a Service)などを活用し、ビジネスに求められるコードさえ書ければ、アプリケーションができる時代になった。
また以前は、開発言語もJavaやC#といった言語が主流だったが、いまはWebやクラウドを中心にJavaScript系の言語が流行り、生産性も向上している。ITアーキテクチャも昔は巨大な一枚岩のモノリシック構造で、構築から保守・運用まで大変だったところがクラウドになり、マイクロサービスというアーキテクチャで、小さな単位で俊敏に構築して手軽に運用できるようになっている。
加えて、クラウド以前はサーバ技術も多種多様なコンポーネントを管理しなければならなかったが、現在はコンテナ技術や、IaC(Infrastructure as Code)といった自動化の手法も登場している。アプリケーションの開発プロセスも、かつてのウォーターフォール型から、アジャイル/DevOpsにシフトしてきている。
甲元氏は「クラウド、マイクロサービス、コンテナ、IaCなどの先進技術は、アプリケーションの運用・保守の工数を大幅に削減し、開発スピードを飛躍的に向上します。内製化の壁はなくなったと考えるべきでしょう」と強調する。
【次ページ】DXやイノベーションを実現する「内製BizDevOps」とは?
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