開閉ボタン
ユーザーメニュー
ユーザーメニューコンテンツ
ログイン

  • 2022/03/04

SDGsがLGBTQに明確に言及しない、知られざる理由。失望と希望が入り混じる実状とは (3/3)

SDGsとLGBTQインクルージョンとの関係

 では、具体的にSDGsにおいてLGBTQの権利の保護はどのように読み取れるのでしょうか。

 ストーンウォール・インターナショナルは2015年に、SDGsがLGBTQにどのように適用されるかを詳しく説明した報告書を発表しました。SDGsは、2030アジェンダの前文にも記されている通り、「誰も置き去りにしない(No one left behind)」という基本理念に基づいています。

 この理念は、貧困を撲滅し、持続的に発展する世界を実現するためには、社会的に疎外されたグループや社会的弱者を含む、社会のあらゆる層が169のターゲットを達成する必要があることを示しています。 そして、SDGsで使われている文言は、LGBTQを含むすべての人に適用できるよう、包括的なものとなっています。

  • 目標1:あらゆる場所であらゆる形態の貧困に終止符を打つ
  • 目標3:あらゆる年齢層のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
  • 目標4:すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
  • 目標5:ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
  • 目標10:国内および国家間の格差を是正する
  • 目標11:都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする
  • 目標16:持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する

 上記の例から明らかなとおり、SDGsは「暗黙の了解」としてLGBTQの人々にも適用されているのです。そのため、近年多く企業や国は、LGBTQの権利をSDGsの文脈に含めて、さまざまな施策を推進しています。

SDGsとともに広がる、企業のLGBTQインクルージョンへの試み

 現在、多くの企業が具体的にLGBTQの権利の保護をSDGsの一内容として具体的に明示して、達成に向けて取り組んでいます。これらの企業は、LGBTQの従業員が働きやすい環境を作ることで、SDGsの達成に役立つと同時に、さまざまな面で自社のビジネスに利益をもたらすこということを知っているからです。

 最近の研究によれば、業績の高い企業ほどLGBTQに配慮しているという研究結果が出ています。

 たとえば、フォーチュン500に選出された企業の89%が性的指向に基づく差別を禁止し、66%が性自認に基づく差別を禁止しています。LGBTQのビジネスへの影響を調査した結果、LGBTQの従業員をサポートしている組織は、より生産性が高く、仕事に情熱をもった労働力を獲得しており、さらに職場の人間関係や健康面も向上していることがわかりました。

 また、新興市場に本社を置く急成長中の企業96社を分析した調査では、LGBTQのインクルージョンを提唱している企業は、優秀な人材を惹きつけ、そうした人材が留まる傾向があることがわかっています。

 LLAN(LGBTとアライのための法律家ネットワーク)とOpen For Businessは、国内外で企業がこのようなアプローチを推進するためのプラットフォームを提供してきました。LLANは、在日米国商工会議所と緊密に連携し、日本政府に同性婚を認めるよう提言する「婚姻の平等に関する提言」への支持を拡大してきました。

 特にビジネスの側面からは、同性婚を認めることにより、多様な従業員によりインクルーシブな生活・職場環境を整備することができ、国際的なレベルの人材を獲得し、日本企業の生産性を最大化することに資すると考えているからです。

 この記事の執筆時点で、国内外の163を超える企業・団体がこの提言に賛同しており、今後もその数は増加していくと思われます(婚姻の平等に関する提言に関してまとめた過去の記事はこちら)。


 また、Open for Businessは2020年に、企業幹部向けにSDGsとLGBTQインクルージョンの関連性を詳しく説明し、SDGs関連施策とLGBT+インクルージョンへの取り組みをどのように結びつけるか解説するビジネス指南書を発行しています。

 多種多様な歴史、宗教、信条を持った国家間で、LGBTQの問題に関するコンセンサスを得ることは確かに難しい課題です。しかし、私たちは、民間企業や団体がイニシアチブを取って、SDGsの枠組みを通してLGBTQインクルージョンの取り組みを行うことが、世論を変え、ひいては国や国際社会を変える力になると確信しています。

 本記事を読んでいる読者の皆様も、SDGsへの取り組みの一環として、会社でLGBTQの権利の保護に関する施策を検討してみてはいかがでしょうか。

ダイバーシティ ジャンルのトピックス

ダイバーシティ ジャンルのIT導入支援情報

PR

ビジネス+IT 会員登録で、会員限定コンテンツやメルマガを購読可能、スペシャルセミナーにもご招待!