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- 2022/05/23 06:10 掲載
製造業のマッチングプラットフォームとは?「ビジネスモデル」「成功事例3選」を解説
連載:デジタル産業構造論
法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 / d-strategy,inc / Third Ecosystem,inc / Inclusive AI,inc 代表取締役CEO
野村総合研究所、産業革新投資機構JIC-VGIなどを経て現職。法政大学 デザイン工学部 システムデザイン学科 准教授として、産業価値デザイン研究室にて生成AI・AIエージェントや、フィジカルAI・AIロボット、データスペースなどデジタル技術・先端技術をビジネスや社会の価値へ転換するための手法論の教育・研究を実施。
戦略・DX支援企業のd-strategy,inc(企業のAI変革、DX戦略、デジタルソリューション戦略)を創業し代表取締役として、フィジカルAI、AIエージェントをはじめとするデジタル化・自動化・技術変化の中での企業やスタートアップのDX/ソリューション・イノベーション戦略を支援。
また、グローバルでのスタートアップエコシステム連携プラットフォームのThird Ecosystem,incの代表取締役CEOとして海外・国内のスタートアップエコシステム(VC/CVC/企業/大学/政府機関/スタートアップ)の連携・活性化、スタートアップ企業やエコシステム企業の海外展開支援や、海外スタートアップの日本展開に取り組む。
Inclusive AI,incにおいて盲ろう者(目が見えない・見えづらく、耳が聞こえない・聞こえづらい)、視覚障害者、高齢者等向けのAIエージェントなどのAIサービス開発を実施。「制約のある方を含めすべての方が前向きに活き活きと暮らし、学び、挑戦できる世の中」をAIエージェントやフィジカルAIを通じて実現していくことを目指す。
最新刊として『フィジカルAI進化論~自律するロボットとともに作る産業の未来~』(SBクリエイティブ)を26年10月1日に出版予定。
その他、近著に『生成DX~生成AIが生んだ新たなビジネスモデル~』(SBクリエイティブ)、『メタ産業革命~メタバース×デジタルツインでビジネスが変わる~』(日経BP)、
『製造業プラットフォーム戦略』(日経BP)、『日本型プラットフォームビジネス』(日本経済新聞出版社)があり、ビジネス+IT連載『デジタル産業構造論』、MONOist等にてWebメディア連載。
youtubeチャンネル『フィジカルAI時代の産業論 (d-strategy / Third Ecosystem 小宮昌人)』 @dstrategyinc にて生成AIをはじめ産業のデジタル化を解説
マッチングプラットフォームとは
マッチングプラットフォームとは、商品やサービスを提供したい「供給者」と、商品・サービスを求める「需要者」をつなぐ「仲介者」の役割を果たすプラットフォームを指す。このプラットフォームや仕組み・ネットワークを提供するのが、マッチングプラットフォーマーと呼ばれる存在だ。マッチングプラットフォーマーのビジネスモデルの特徴は、サービスを提供するために必要なアセットやリソースを自社で持っているわけでない点にある。実際に、需要者に対してサービスを提供する際は、マッチングプラットフォーマ―のパートナー企業やステークホルダーのアセットやリソースを活用してサービスを提供する形をとる。
たとえば、需要者に「移動」というサービスを提供するタクシー会社は、自社でタクシーという資産を保有しこれを活用してサービスを提供している。一方、マッチングプラットフォーマーの場合は、自社でタクシーを保有することはない。移動手段となる自動車の保有者や、タクシーを保有しているタクシー会社といったパートナー企業の力を借りて、需要者に「移動」というサービスを提供する形をとっている。
あくまでマッチングプラットフォーマーの役割は、サービスの供給者と需要者を「つなぐ」ことにあり、実際にサービスを提供しているわけではないのだ。
マッチングプラットフォーマーは、このようにエコシステム(生態系)を構成するパートナー企業やステークホルダーを活用しながら効率的にビジネスを展開するため、加速度的にビジネスを拡大できるのも特徴だ。
ものづくり版マッチングプラットフォームとは
そうしたマッチングプラットフォーマーの“ものづくり版”が、「生産シェアリングプラットフォーム」である。生産シェアリングプラットフォームは、生産を依頼したい企業と、生産キャパシティや能力を持つ企業をマッチングさせる仕組みだ。世界中で幅広い領域のマッチングプラットフォームが展開されている中で、生産シェアリングプラットフォームは他領域と比較してあまり目立った存在となっていない。いくつかのプラットフォーマーは出てきているものの、3Dプリンタや工作機械など、単一設備による加工をサービスとして提供する域を出ないものが主流となっており、複数工程を組み合わせた包括的なものづくりをサービスとして提供できる領域までは踏み込めていないケースが多い。
これにはいくつかの理由がある。たとえば、3Dプリンタや工作機械などの設備加工では、ある程度の3D設計図があれば、アウトプットの品質はズレが少なく生産が行えるため、マッチングの事業が成り立つ。しかし、複数工程を組み合わせたものづくりとなると、顧客の要望に基づいた品質の担保や、それを提供できる技術・生産能力を有する企業の見極めが難しく、マッチング事業が成り立ちにくいのだ。
また、フードデリバリーサービスの配達員の配送品質に対して誰が責任を持つのか、という点がマッチングビジネスのプラットフォームの論点として話題となっているが、これと同様に、品質が特に重要となる製造業において、実際の「製造サービス」の提供者にあたる生産企業の品質管理は、プラットフォーム展開において重要な問題となる。
これらの理由から、ITメガプレイヤーが、ものづくりニーズを持つ「需要者」と生産技術を有する「供給者」をつなぐ「仲介者」として新規参入しづらい領域なのである。その観点でも常にサプライヤー・ケイレツの製造能力・品質を見極め、指導を行うことで競争力を構築してきた日本企業が強みを発揮できる領域と言える。
【次ページ】ものづくり版マッチングプラットフォームの主要企業一覧、ものづくり版マッチングプラットフォーム「3つの成功条件」まとめて解説
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