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  • 2022/05/03 掲載

オラクル創業者ラリー・エリソンが成功できたワケ、「人生で最も重要」と語る瞬間とは

連載:企業立志伝

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企業や公的機関を対象とするデータベース管理システムを中心としたソフトウェアの開発、販売を行うオラクルは、マイクロソフトに次ぐ世界第2位のソフトウェア企業です。マイクロソフトやアップルなどのちの巨大企業が誕生した1970年代に、オラクルも誕生しました。創業者のラリー・エリソン氏は、医者を目指すも大学を中退、職を転々とするなど、一般的なエリートコースを歩んできたわけではありません。今回は、ビル・ゲイツ氏やスティーブ・ジョブズ氏にもひけをとらないほどの個性の持ち主であるエリソン氏の半生をたどり、成功の理由を探ります。同氏の潔い言葉の数々に、そのヒントがありました。

経済・経営ジャーナリスト 桑原 晃弥

経済・経営ジャーナリスト 桑原 晃弥

1956年広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者を経てフリージャーナリストとして独立。トヨタからアップル、グーグルまで、業界を問わず幅広い取材経験を持ち、企業風土や働き方、人材育成から投資まで、鋭い論旨を展開することで定評がある。主な著書に『難局に打ち勝った100人に学ぶ 乗り越えた人の言葉』(KADOKAWA)『ウォーレン・バフェット 巨富を生み出す7つの法則』(朝日新聞出版)『「ものづくりの現場」の名語録』(PHP文庫)『大企業立志伝 トヨタ・キヤノン・日立などの創業者に学べ』(ビジネス+IT BOOKS)などがある。

大企業立志伝 トヨタ・キヤノン・日立などの創業者に学べ (ビジネス+IT BOOKS)
・著者:桑原 晃弥
・定価:800円 (税抜)
・出版社: SBクリエイティブ
・ASIN:B07F62BVH9
・発売日:2018年7月2日

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オラクル創業者ラリー・エリソン氏の半生をたどる
(Photo/Bloomberg/Getty Images)


自らの出自に悩み続けた子ども時代

 ラリー・エリソン氏は1944年、当時未婚の19歳であったフローレンス・スペルマン氏の子として生まれ、生後9カ月の時にシカゴに住むスペルマン氏の叔母リリアン・エリソン氏と、その夫である義理の叔父ルイス・エリソン氏の養子として引き取られています。

 ロシア系ユダヤ人だった養父のルイス・エリソン氏は1905年、クリミアを脱出して米国に入国しますが、その際、米国の移民局が置かれていたニューヨークのエリス島にちなんで名字を「エリソン」と改めています。一時期、不動産で成功を収めますが、大恐慌ですべてを失い、エリソン氏が養子となった頃にはシカゴ南部に暮らす「中の下クラス」の家庭だったといいます。

 12歳の時に養子であることを知ったエリソン氏は「これはなかなか難しい問題だった」と、こう振り返っています。

「自分は家族と血のつながりがないのじゃないかとあれこれ考えるのは、厄介きわまりないものだよ」(『カリスマ』上p33)

 自らの出自に対する悩みを克服する1つの方法として、エリソン氏が考えたのが「成功すること」でしたが、成績もスポーツも人並みで、時に問題も起こすエリソン氏に対して父親は「お前はつまらない人間として一生を終わるのだ」と辛辣(しんらつ)な言葉を投げつけています。

 父親は「励ますどころか、やる気をくじいてばかり」だったものの、「私は炎で焼き尽くされるかわりに、かえって強くなったんだからね。親父、様様だね」(『カリスマ』上p41)とエリソン氏は振り返っています。

「がんばるのを辞めよう」と決心した大学時代

 高校を卒業したエリソン氏は1962年、イリノイ大学のアーバナ・シャンペーン校に入学します。当時、エリソン氏は医者になろうと考えていました。

 当時のエリソン氏のような一般家庭にとって、医者は高潔で人間味がある最高峰の職業であり、周囲の「医者になってほしい」という期待に応えようとエリソン氏自身も「自分は医者になるべきだ」と考えてたようです。

 しかし、やがて自分が学んでいる内容が好きではないと気づいたエリソン氏は「がんばるのを辞めよう」と決心。母親ががんで亡くなったこともあり、1964年に大学を中退しています。半年後、エリソン氏は再び医者になろうとシカゴ大学に入学しますが、3カ月で退学。ジーンズ、Tシャツ、革のジャケット、ギターを車に詰め込み、シカゴからカリフォルニアのバークレーに向かったのです。


職を転々、「お金を稼ぐより人生を楽しみたい」

 当時のバークレーは「60年代のムーブメントの文化的核心」(『カリスマ』上p56)でした。当時のエリソン氏は心のどこかで医者になる夢もまだあったといいますが、アダ・クイン氏と結婚(のち離婚。エリソン氏は4度結婚して4度離婚している)したこともあり、探検ガイドやロッククライミングのインストラクターをしながら、週2、3日はプログラマーとして働き始めています。

 この時期のエリソン氏はプログラマーとしてそれなりの収入を得ていたものの、転職を繰り返し、金遣いも派手なものでした。当時の妻は、エリソン氏のことを「手元にはビールを飲むお金しかないのに、シャンパンを飲むような贅沢」(『カリスマ』上p61)を好み、お金を稼ぐよりも人生を楽しみたいという人物だったと振り返っています。

【次ページ】訪れた転機、オラクル誕生。「納得のいかないことは、頼まれてもやる気になれなかった」

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