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- 2023/03/23 掲載
伸び悩むネットフリックスが「韓国発」にこだわるワケ、ブームだけでない切実な裏事情
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。
大ヒット連発、でも製作費は全体の5%弱
ネットフリックスにおける韓国作品は断トツで強い。たとえば、2021年9月配信開始のサバイバルドラマ「イカゲーム」は94カ国でランキング1位となり、配信開始以来の合計視聴時間が16億5045万時間を超えて、同社史上最大のヒットとなった。最近では、韓国トップ女優のソン・ヘギョが主役を務める復讐劇「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」が2022年12月30日に配信開始されると、即座にネットフリックス公式グローバルトップ10にランクイン。配信開始2週目の1月2日の週には8248万視聴時間を記録し、英語以外の言語の番組で最も視聴されたことが話題となった。
この「ザ・グローリー」に限らず、ネットフリックスで配信される韓国作品は、グローバル市場を意識して製作されるものが多い。それだけに、世界的な韓流ブームという追い風も受けて、次々と大ヒット作を生み出している。
2022年は、全サブスク会員の60%が何らかの韓国作品を視聴したという。これに合わせるかのように、ネットフリックスが韓国作品に投じる製作費もうなぎ上りだ。
2016年からの5年間で7億ドル(約954億円)を使ったとされるが、2021年には1年間だけで5億ドル(約681億円)、2022年はそれ以上に費やしたという。製作本数が増える2023年は、さらに増額されるだろう。だが、これだけ製作費を強化しているにもかかわらず、製作費全体に占める韓国作品の割合は低い(表1)。
表1:ネットフリックスの製作費の推移
年度 | 全体の製作費 | 韓国コンテンツの製作費 |
2016 | 69億ドル | 累計7億ドル |
2017 | 89億ドル | |
2018 | 120億ドル | |
2019 | 139億ドル | |
2020 | 118億ドル | |
2021 | 177億ドル | 5億ドル |
2022 | 168億ドル | 5億ドル超 |
2021年時点でも、韓国作品の製作費は全体の5%未満にとどまっている。こうした状況は、韓国で製作されるコンテンツのコストが低いことによって作り出されている。
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