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- 2023/12/12 掲載
郡山市が「王道DX」でこれだけの成果を出せている“超本質的”な「4つの理由」
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ローコードツール「kintone」で市民向けアプリを内製化
郡山市役所は現在、「DX郡山推進計画」のもと、DXの推進や複雑化する行政課題に対して迅速かつ的確に対応するために、デジタルツールを活用した市民サービス、市役所内の業務効率化に取り組んでいる。2022年度には新たに4種のデジタルツールを導入した。2022年度から2027年度の間、60月の長期継続契約によって各種ツールを運用していく計画だ。ワークショップや研修会を開催して各種ツールの利用を促進している。
まず、人的・財政的に限られたリソースの中で対応するために着目したのが「ローコードツール」だ。プログラミングの知識がなくてもアプリを作成できるため、郡山市ではkintone(キントーン)を活用したシステムの内製化に着手している。
郡山市のDX施策を推進している同市 政策開発部 DX戦略課 課長 二瓶浩之氏は、「2023年から本格的に動き出したところで、実際に開発したいくつかのアプリを運用中です」と語る。
kintoneで作成したアプリの一例が、混雑状況を可視化する「行政センター案内アプリ」だ。実際の来訪者数をカウントするのではなく、職員の感覚などの情報を踏まえて各行政センターの混雑状況を色分けして分かりやすく表示する。Googleマップと連動しているため、行政センターへの道順も確認可能だ。
二瓶氏によると、「現在は、図書館や公民館における自習スペースの混雑状況の可視化にも応用している段階」とのことで、さらに活用の幅が広がることが期待される。
「感覚による仮説」から「データに基づく仮説」へ
2つ目のツールは人流分析ツール「KDDI Location Analyzer」だ。「感覚でしかなかった人の流れをしっかりと分析して施策に落としこむ」ことを目的に取り入れたという。KDDI Location Analyzerは、KDDIのGPSデータを活用した位置情報から施設・エリアの人流データを取得できる分析ツール。Web上のダッシュボードによって任意の範囲・期間における人流分析が可能だ。
郡山市役所では、イベント時の人流・滞在時間の把握や、交通量の傾向などを分析・可視化などに活用している。2023年3月のバスケットボールBリーグ福島ファイヤーボンズの公式戦開催時には、会場がある開成山地区への影響を分析して世代別、居住地別などを分析。その分析結果を踏まえて、今後の事業展開に活用することを見据えている。
「品川萬里 郡山市長は就任当初から『EBPM(証拠に基づく政策立案)』を重要視しています。人の動きをしっかりと可視化し、分析することで、現状を踏まえた事業展開・施策の検討に役立てられるのではないかと私たちも考えています」(二瓶氏) 【次ページ】Tableauでデータ分析、メタバース・生成AIは行政課題にどう活用?
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