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- 2023/12/26 掲載
『ゴジラ』の売上構成を大解剖、なぜ儲かる?米国ファンを取り込む“ある手法”が凄い
連載:キャラクター経済圏~永続するコンテンツはどう誕生するのか(第18回)
東京大学大学院修了(社会学専攻)。カナダのMcGill大学MBA修了。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトトーマツコンサルティングを経て、バンダイナムコスタジオでカナダ、マレーシアにてゲーム開発会社・アート会社を新規設立。2016年からブシロードインターナショナル社長としてシンガポールに駐在し、日本コンテンツ(カードゲーム、アニメ、ゲーム、プロレス、音楽、イベント)の海外展開を担当する。早稲田大学ビジネススクール非常勤講師、シンガポール南洋工科大学非常勤講師も歴任。2021年7月にエンタメの経済圏創出と再現性を追求する株式会社Re entertainmentを設立し、大学での研究と経営コンサルティングを行っている。『推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』(日経BP)、『オタク経済圏創世記』(日経BP)、『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHPビジネス新書)など著書多数。
存続ギリギリだったゴジラ映画シリーズ
日本最古のIP(知的財産として価値を持つもの)と言えば『鉄腕アトム』(1952年)がよく語られるが、そのアニメ化が1963年だったことを思えば、本来的には1954年の『ゴジラ』こそが日本最古のIPと言えるかもしれない。そんなゴジラは、本来これほど長く続くはずのなかった作品であり、何度も流行が廃れ、再び偶然に復活する、という流れを繰り返してきた“奇跡の映画IP”でもあるのだ。

その後、1955年の2作目公開後に終了したかと思われたところに、特撮映画『キングコング』(1933年)の権利を持っていた米映画配給会社RKOが『キングコングvsフランケンシュタイン』のコラボ企画に失敗し、その話が東宝に流れてきたことがキッカケで作品が続くことになる。東宝も設立30周年の節目であったため、第3作目として『キングコング 対 ゴジラ』(1962年)が創られ、シリーズ連作が始まる(出典:長山靖生〈2016〉.ゴジラとエヴァンゲリオン 新潮新書)。
米国からの輸入ものであるアニメやマンガとは異なり、「特撮」だけは日本独自のお家芸。そうした特撮への誇りが作品作りのエネルギーとなった(その後、「特撮」は1960年代に『ウルトラQ』(1966年)からはじまった第一次怪獣ブーム、そして仮面ライダーや戦隊シリーズへと受け継がれていく)。
そうは言っても1968~1970年代前半は日本映画業界が絶不調であり、リストラの嵐だった時代。東宝から独立した円谷プロダクションも多分に漏れず、150人ほど在籍していたチームを1/3にまで減らし、技術力はどんどん衰退していった(出典:浅尾典彦〈2006〉.アニメ・特撮・SF・映画メディア読本―ジャンルムービーへの招待 青心社)。
息も絶え絶えに作り続けたゴジラシリーズも第15作『メカゴジラの逆襲』(1975年)の興収3.3億円で惨敗すると、ゴジラブームの第二波も終了する(ウルトラマンシリーズも仮面ライダーも1970年代後半は途絶えている)。もう特撮はここで無くなる、と言われていたのだ。それでは、なぜその後もゴジラシリーズは続いたのだろうか。そこには度重なる奇跡の連続があった。

ブーム第2波を生んだ「米国市場の攻略」
第16作目となった『ゴジラ』(1984年)は9年ぶりにゴジラ30周年記念作として作られた。これは『日本沈没』(1973年)での大成功を見たことで、大人向けの災害パニックモノとして初めて描かれた作品だ。現在まで続くトレンドはこの転換によって実現している。
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