- 2025/09/16 掲載
いつエクセルのスキルは「役立たず」になる? AIで変わる「スキル管理」の実態(2/2)
評価基準が異なると昇進昇格スピードに不公平が生じる
2.スキル標準化への試み~スキルはプロトコルになる~プロトコルという言葉があります。外交儀礼とかインターネットの世界では、通信接続手順、データを送受信するためのルールを意味します。異なる世界同士がコミュニケーションを取るための共通の基準のようなものです。同様にスキルについても、スキルに対する異なる認識を擦り合わせ、スキルの標準化が求められるのです。しかしこれは言うは易しで、世界中で賛否両論の議論が起きています。
上記の図で示したように、たとえば「営業推進力」といった用語があるとします。スキルを社内の共通言語にしよう、という試みの最初の段階では、「あれ、○○さんの言ってるスキルと、△△さんの言ってるスキル、意味が違うんじゃない?」といった意見の違いが頻繁に出てきます。しかし、徐々にスキルに対する認識が平準化してくることで、社内での会話が成立するようになってきます。人事部の皆さまとの会話の中で、「互いのスキルの認識が噛み合わないからスキル管理は意味がない」と、この時点で思考停止してしまっている方も多く散見します。しかし、スキルテックを活用してまず共通言語を作り、相互認識を確認し、徐々にレベル感が統一されてくるのです。
たとえば、A部門のマネージャーの評価基準と、B部門のマネージャーの評価基準が異なるので、部下の評価や昇進昇格のスピードに不公平が生じることはままあります。そのため、何度も何度も丁寧に管理者の評価者研修を定期的に実施し、組織内での目線合わせを行っていきます。管理職の評価者研修同様に、社内のスキル標準化、認識のすり合わせを行う議論が必要なのです。そのために、スキルテックは一旦標準形を作る上で大きな役割を果たします。
エクセルで管理するアナログ手法では答えが得られない
スキルテックの進化により、スキルマネジメントの手法は大きく変化を続けています。まず従来のエクセルで管理をするアナログな手法からタレントマネジメントシステムを活用するデジタルデータとしてスキルを活用できるレベルに進化をしました。ところが多くのシステムの場合、スキルをデータベースのテーブルに格納された単純なテキストラベルとして扱っているのです。たとえば、従業員はPythonのプログラミングスキルを持っているか、持っていないか、のどちらかになるわけです。この二元的なアプローチでは、組織内でスキルが実際に機能する方法を捉え切れていません。現実の世界では、たとえばスキルレベルの情報が重要であり、初心者、中級者、上級者といったかたちで分類が必要です。
伝統的なシステムにおけるスキル管理では、これらの質問に答えることができないのです。それは、スキルとスキルの関係性を捉えていないからなのです。外部環境の変化に伴い、スキルは毎日進化し続けており、「スキルを生きているベクトルとして捉えることが重要である」とSkyHive by Cornerstoneのチーフサイエンティストであるモハン・レディ氏は述べています。
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