• 2025/11/02 掲載

「また売り込みか…」情報の洪水に疲れた人が、なぜかUSJには足を運んでしまうワケ(3/3)

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「売っていないのに、売れる」マーケティングの真髄

 その答えは、「感情」にあります。

 その核心をより深く掘り下げると、「葛藤の解放」という、非常に巧みな感情設計の技術が隠されているのです。

 「葛藤の解放とはいったい何だ?」と思ったかもしれません。

 まず、「葛藤」について。

 人は誰しも日々、心の中でさまざまな感情の狭間で揺れ動きながら生きています。

 たとえば、子育てに奮闘する親御さんであれば、次のような葛藤を常に抱えていると思います。

 「子どもと過ごす時間をもっともっと大切にしたい。たくさんの思い出を作ってあげたい」という素直な想い。

 その一方にある、「でも、現実は仕事や家事に追われて、私自身が肉体的にも精神的にも疲れてしまっていて、もう逃げ出してしまいたい」という想い。

 このように相反する2つの想いが心の中に同時に存在することで生まれ、時には自分を責めてしまうようなモヤモヤと苦しい感情。

 これが、私たちが葛藤している状態なのです。

 USJのCMは、親が心の奥底で抱えているこういった葛藤に優しく寄り添ってくれます。

 そして、「子どもとの今しかないこの瞬間を、どうか大切にしてください」と、映像を通して語りかけることで、見る人の心の奥底にある感情を解放しているのです。

 子どもと過ごす時間がいかに尊いものかを改めて気づかせ、そして、そのかけがえのない思い出を作る最高の場所、さらに、仕事や家事など辛い現実を忘れられるひとときの時間として、USJを自然に強く連想させる。

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売らずして売る: 「欲しい」が生まれると、人は自然に動いてしまう』をクリックすると購入ページに移動します
 これが、何も売り込むことなく、むしろ自然と人の心が「行きたい!」と動き出してしまう、そんな状態をつくる鍵なのです。

 そして、これこそが「葛藤の解放」が果たす、強力な役割にほかなりません。

 「売っていないのに、売れる」マーケティングの真髄、お分かりいただけたでしょうか。

 消費者の心の奥底にある、まだ言葉にさえなっていない葛藤を深く理解し、その解決策や解放への道をそっと示すこと。

 それによって、商品は無理に「売られる」ものではなく、自然と「選ばれる」存在へと変わっていくというわけです。

※本記事は『売らずして売る: 「欲しい」が生まれると、人は自然に動いてしまう』を再構成したものです。

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