【Salesforce新機能】Agentforce360のスゴい実力、めんどい定型作業を激減させる方法(2/3)

【新機能】salesforce「Agentforce 360」のスゴい実力

　まずは、Dreamforce 2025で発表された内容を整理しておきましょう。

■Agentforce 360の発表
　Agentforceは、ユーザーからの問いかけ（クエリ）に応答する従来のAIの枠を超え、ビジネスの目標に基づいて自律的なアクションを実行できるインテリジェントなシステムとして定義されています。Dreamforceのハイライトは、Sales, Service, Marketing, Commerce, Slack, Tableau, MuleSoftといったSalesforceの全クラウドサービスを統合する「Agentforce 360」の発表でした。


　この統合により、エージェントは部門やシステムを横断して統合されたデータから情報を取得し、業務を遂行することが可能となります。

　Dreamforce基調講演でのデモンストレーションでは、Dell社がAgentforce Supply Chainを使用し、サプライヤーのオンボーディング期間（新しい取引先や社員などが業務をスムーズスタートさせるための期間）を従来の60日からわずか20日に短縮した事例が示され、Agentforceがもたらす大規模な業務効率化の可能性が実証されました。

■Data 360（旧Data Cloud）の戦略的役割
　エージェントの自律的な行動を支える基盤として、「Data 360」と呼ばれる仕組みが「Agentforceプラットフォームの根幹」として機能することが強調されました。Data 360とは、Salesforceが提供するデータ統合・管理基盤で、以前は「Data Cloud」と呼ばれていたものです。企業内外のさまざまなシステムから収集されたデータをリアルタイムで統合・整理し、Salesforceの各機能（Sales, Service, Marketingなど）で活用できるようにするための仕組みです。

　エージェントが良い回答を提供し、信頼性の高いアクションを実行するためには、「クリーンなデータ、ポリシー、共通言語」が不可欠であり、Data 360はその信頼性を担保するためにガバナンス機能を組み込んでいます。


　Salesforce管理者は、従来のCRMセキュリティモデルに加えて、部門横断的なデータプライバシー、アクセス制御、およびエージェントの自律的なアクションにおける承認プロセスの設計・監査を担う必要があります。

　これにより、Salesforce管理者の業務は、エコシステム全体のセキュリティアーキテクチャーを設計するという、より高度で戦略的な領域へと拡大していることが明らかになりました。

「めんどい定型作業」から解放してくれる新機能とは

■Setup Powered by Agentforce：定型業務の自然言語による自動化
　「Setup Powered by Agentforce」は、Salesforce管理者が設定画面で行う煩雑なクリック作業を、自然言語での指示に置き換えることを目的として導入されました。この機能は、管理者の定型業務を大幅に削減し、Salesforce管理者の生産性を劇的に改善します。

　Setup Agentforceの主要な機能は以下の通りです。


　このような定型作業の削減は、Salesforce管理者が技術的な設定作業から解放され、ビジネス要件をAIに正確に伝える戦略的な役割に特化することを可能にします。 【次ページ】自動化ツール作成は「秒で完了」の時代に