- 2026/01/16 掲載
【単独】メルカリ・ハヤカワ五味氏に聞いた「AI利用率95%の裏側」、失敗しない3条件(2/3)
成否を分ける、生成AI担当「3つの選任条件」
メルカリに限らず、生成AIの導入・活用で成果を出している企業は複数ある。一方で表に出ないものの失敗する企業もあり、生成AI導入推進担当者が退職する事例も見受けられる。成功と失敗を分ける要因は何だろうか? ハヤカワ氏は以下の3つのポイントを挙げた。- 社歴の浅い人をアサインしない
- 担当者1人でやらせない
- 他業務との兼務にしない
「まず生成AI推進担当の選任段階における失敗で多いのが、経営層が他社の動向を見て急きょ部署を立ち上げたものの、担当者は何をやるべきかわからないという状況です。ありがちなのが、入社から間もない新人や中途入社など社歴の浅い担当者が配属されてしまう状況です。社歴の浅い社員は社内のつてが少なく、生成AI活用に必要な業務の深掘りもできません。こうしたケースは1年ほどで立ち消えになるケースが多く、非常に問題です」
「逆に言えば社歴が4~5年以上ある方は生成AI導入推進担当に最適だと考えています。生成AI導入推進担当には、技術力よりも業務理解や社内の暗黙知といった、力関係や社内政治を理解しているかが明暗を分けるからです」
一方、生成AI担当を選任する際、多くの企業でよくやりがちなのが、担当者1人のケースや、他の業務と兼務させるケースだ。
「生成AI導入推進担当を1人で務めるのは難しいです。仮に成功しても特殊な事例でしょう。そもそも担当者は孤立しやすいので、複数メンバーでの運用が前提となります」
続けて担当の兼務についてもこう強調する。
「担当の兼務はやめましょう。新規事業の立ち上げなどでも同様ですが、既存業務は優先度が高く、短期的な利益も得られるので、そちらの業務で手一杯になってしまうことがあります。そのため、生成AI活用の場合は明確に専任担当にしなければ、前進できません。私自身も兼務だったら難しかったでしょうし、メルカリでは専任担当として入社できたのが良かったと思います」
メルカリは従業員数が2100人でITに関わる人材も多い。一方で多くの企業にとっては、生成AI推進担当を任せられる人材がいなかったり、外部に委託している場合もある。専任担当を設けることが難しく、やむを得ず兼務になるといった事情はよくあることだ。こうした難しさを抱える企業へのアドバイスを聞いてみた。
「会社として、必要な投資と割り切るしかないと思います。担当者1人が突然休んでも、会社は回るものです。メルカリでも100人規模の異動などがありますが、会社は回っています。個人的に大事だと思うのは、経営層が覚悟を持つことでしょうか。メルカリでもトップメッセージとして、一時的な減速を許容することを強く打ち出しています」
退職者が続出? 担当者は「孤立」しがち…
生成AI導入推進担当者において、社内での味方づくりや立ちふるまいが求められるのは、他社でも同じ意見が挙がっている。こうした中で、特に重要なのが経営層による担当者への支援だ。ハヤカワ氏はまず、「評価」への重要性についてこう語った。「重要なのは担当者を正しく評価することです。たとえば会社から生成AIの導入効果としてROI(投資に対する利益)の説明を強く求められれば、明確な数字を出さなければ評価されません。その場合、コミュニケーション能力や社内調整などの作業も求められて、数字を見ながら本音と建前を作らなければいけなくなります」
「つまり、本質的な数字の改善より、評価につながる数字を作ることが目的となってしまいます。これでは意味がありません。そこで経営層は何を実現すべきかを明確にして、目的に向かっていることを評価すべきであり、短期的なROIで評価すべきではありません」
さらに、ハヤカワ氏は「担当者を孤立させないことも重要」と助言する。生成AI導入が進む一方で、社員からの不平不満が担当者に集中するケースがよく見られる。それでは社内で生成AI担当が孤立してしまう。実際に、担当者の退職といった問題はよく起きているのだ。
「経営層の指示で生成AI導入推進を行っていると、明確に示すことが重要です。生成AIにおける変化のストレスが、そのまま担当者への批判や攻撃にすり替わることがあります。前述の『担当者を複数人にする』理由でもありますが、担当者が1人では不平不満が集中し、退職などにつながってしまう事例が見られます」
「そこに経営層の指示という建前があれば、不満も緩和されるでしょう。そもそも担当者は業務命令で行っているので、嫌われるリスクを社員個人に押し付けず、経営層が受け止めるべきです。この点は私もメルカリで支援してもらい、助けられた部分です」 【次ページ】生成AI担当が今すぐやるべき「2つのこと」
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