- 2026/05/07 掲載
【IBMも決断】学歴フィルターが逸材を全員追い返していた…人材獲得の“新常識”(2/3)
世界的に急速な広がりを見せる「スキルベース採用」とは
これは、採用の基準を、何ができるかが曖昧な「経験年数」や「学歴」というラベルから、具体的で客観的な「スキル」へとシフトするアプローチです。料理の世界にたとえるなら、これまでは「有名な料理学校を出ているか」「三ツ星レストランで働いたことがあるか」でシェフを選んでいたのを、「実際にこの食材を使って、どんな料理を作れるか」「味付けのセンスはあるか」を確かめて選ぶように変えるのです。候補者がどのような経緯でそのスキルを習得したか(学位があるか、前職が同業種かなど)よりも、そのポジションで成果を出すために必要なスキルを「持っているかどうか」、あるいは「習得できる素養があるか」を重視します。
このアプローチは、世界的に急速な広がりを見せています。ベンダー調査(TestGorilla, 2023)では、スキルベース採用を導入した企業の89%が「定着率が向上した」と回答しています(注1)。
ここでは、このスキルベースのアプローチが、「採用(外部からの獲得)」において具体的にどのような変化を現場に与えるのかを解説していきます。
応募者が集まらない原因は、人材市場の問題ではなく…
多くの企業が直面している最初の壁は、「そもそも応募者が集まらない」という母集団形成の問題です。求人を出しても反応がない、エージェントからも紹介がない。しかし、その原因は、人材市場の問題ではなく、企業自身が設定している「無意識のフィルター」にあるかもしれません。
・学歴・経験年数という「思い込み」を捨てる
皆さんの会社の求人票を、今一度見直してみてください。そこには、過去のコピー&ペーストで残った、以下のような記述がないでしょうか。
「○○業界での実務経験5年以上」
「マネジメント経験必須」
これらの条件は、採用担当者にとっては「安心材料」です。大卒なら基礎学力はあるだろう、5年やっていれば即戦力だろう、という推論が成り立つからです。
たとえば、「実務経験5年以上」という条件。5年間、変化のない環境で同じルーチンワークを繰り返してきたAさんと、急成長するスタートアップで1年間、修羅場をくぐり抜けながら集中的に学び実践してきたBさん。どちらが、変化の激しい新規プロジェクトで役に立つでしょうか? 経験年数は、滞在時間を表すだけで、密度の濃さやスキルの習熟度を保証するものではありません。
スキルベース採用は、こうした学歴や経験年数といった「ラベル」によるフィルターを外し、純粋に「スキル」に着目することで、これまで見過ごされてきた多様な人材、すなわち「隠れた才能(Hidden Talent)」にアクセスすることを可能にします。 【次ページ】【事例】深刻な人材不足のIBMが下した“大胆な決断”
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