- 2026/05/07 掲載
【IBMも決断】学歴フィルターが逸材を全員追い返していた…人材獲得の“新常識”(3/3)
【実践】採用要件を「スキル」で再定義するおすすめ手法
では、具体的にどのように求人票を書き換えればよいのか。現場のマネージャーに「どんな人が欲しい?」と聞くと、「即戦力で、コミュニケーション能力が高くて、地頭の良い人」といった漠然とした答えや、「今の○○さんみたいな人」という属人的な答えが返ってきます。ここを掘り下げ、「成果を出すために必要な具体的な行動とスキル」に翻訳するのが人事の役割です。
ここでおすすめしたい実践的な手法が、「ハイパフォーマーへの行動インタビュー」です。現場で実際に活躍している社員に、こう聞いてみてください。
「あなたがその仕事で成果を出すために、昨日の1日の中で『具体的に』どんな頭の使い方や行動をしましたか?」たとえば「営業マネージャー」の採用で考えてみましょう。従来型の思考では、「マネジメント経験3年以上」という条件を設定します。しかし、ハイパフォーマーに聞くと、こんな答えが返ってくるかもしれません。
「昨日は、売上が停滞しているメンバーの商談ログを分析して、提案のボトルネックがどこにあるかを特定しました(分析スキル)。その後、1on1で彼が自分で気づけるように問いかけを行いました(コーチングスキル)。午後は、他部署と揉めていた納期調整について、先方の部長と交渉して解決しました(利害調整・交渉スキル)」これらを要素分解すると、本当に必要な要件が見えてきます。
■必須条件:営業経験10年以上、マネジメント経験3年以上
(これでは、ただ長く席に座っていただけの人も通過してしまい、逆に優秀な若手を弾いてしまう)
■必須スキル:
- データに基づく課題特定と改善立案スキル(レベル4:複雑なデータを統合し戦略へ落とし込める)
- 多様なステークホルダーとの交渉・調整スキル(レベル4:利害対立を調整し合意形成できる)
- メンバーの行動変容を促すコーチングスキル(レベル3:1on1等で自律的行動を促せる)
このように定義すれば、たとえマネジメントという役職に就いたことがなくても、「プロジェクトリーダーとして、データを用いてチームの方針を修正し、メンバーを動かした経験」がある若手のエース級社員が、候補として浮上します。
スキルの定義とレベル分けを用いることで、採用要件は「誰にとってもわかる共通言語」になります。これにより、異業種からの転職者や、経験年数は短いが実績のある若手など、ターゲット層を一気に広げることができます。
【事例】深刻な人材不足のIBMが下した“大胆な決断”
このスキルベース採用の潮流は、すでに世界で加速しており、従来のキャリアパスの常識を覆すような事例が生まれています。その象徴が、IBMが提唱した 「ニューカラー(New Collar)」 です。「ニューカラー」とは、ホワイトカラーでもブルーカラーでもなく、サイバーセキュリティやAI開発など、現代のテクノロジー分野で必要とされる高度なスキルを持った人材を指します。重要なのは、彼らが必ずしも「大学でそれを学んだわけではない」という点です。
IBMは、深刻なIT人材不足に直面した際、大胆な決断を下しました。「学位」という応募要件を必須条件から外したのです。
その結果、何が起きたのでしょうか。たとえば、元バリスタの男性が採用されました。彼は独学でコーディングを学びアプレンティスシップ(働きながら学ぶ制度)に参加し、修了後にIBMのフルタイム職へ移行しました。IBMは彼のこれらのソフトスキルと、独学で学んでいたプログラミングへの適性を評価し、ソフトウェア系のエンジニアとして採用しました。
Fortune, As of Jan. 2021, less than half of IBM openings require a degree BizTech, Companies Call on Community Colleges
これは極端な例に聞こえるかもしれません。しかし、グーグルやアップルでも学位を必須としない(同等の実務経験で可とする)職種が増え、スキル重視の採用が進んでいます。
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