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  • 2026/06/05 06:40 掲載

カルビー・LIXILが悲鳴…ナフサ不足は「騒ぎすぎ」なのか、裏に潜む“構造的問題”(2/3)

連載:小倉健一の最新ビジネストレンド

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在庫アリでも「現場が止まる」知られざる理由

 第一に、統計自体の問題だ。

 「4カ月分の在庫」には、固体の樹脂ペレット(ポリエチレンなど)が含まれている。統計上は石油化学原料の在庫として計上できる。しかし一度固体になったペレットを、塗装業者が今日の仕事で使うシンナーや溶剤に逆変換することは、化学的に不可能だ。

 ナフサ自体も揮発性が高く、タンクに長期貯蔵できない。精製したらすぐに次の製品へと加工して届けなければならない性質の物だ。政府が言う「確保できている」の中身は、現場が必要とする「液体の現物」とは根本から別物である。

 神戸国際大学の中村智彦教授がいくつかのメディアで指摘しているように、ナフサは備蓄という概念が本質的に馴染まない原料だ。川上の原油が確保できても、川下のシンナーや溶剤の現物が足りなければ、塗装業者の仕事は止まる。集計された数字の合計が、現場の現実を映していない。ペレットを数えた統計と、液体が欲しい現場の間には、「化学反応」では埋まらない溝がある。

 物流にも落とし穴がある。中東からのタンカーなら約20日で届くところを、米国からパナマ運河経由では約35日を要し、積載量も制限される。「確保できた」という話と「現場に届く」という話は、まったく別の話だ。輸送コストの急騰は、やがて製品価格への転嫁として現場を直撃する。届くまでの時間とコストの問題は、報道が作り出したものではない。ホルムズ海峡を通れない以上、代替ルートは必ず時間とコストの増大を伴う。メディアが口を閉じても、タンカーの航路は変わらない。

 つまり、ナフサ騒動は、決してメディアが作り出した不安ではないということが言える。

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