- 2026/08/18 06:40 掲載
セイコーマートはなぜ11年満足度1位?100円台油そば・駐車場で売上2倍…社長語る秘密(2/3)
なぜ「北海道産」より「〇町産」なのか?地域を残す商品戦略
セコマでは近年の取り組みとして、まちづくり連携に関する協定などを通じて自治体と協力し、町自体をブランド化した商品を継続的に発売している。たとえば北海道滝上町の「ミント」シリーズ。2019年発売の「チョコミントアイスバー」から多くの商品が出ており、現在では(準)レギュラー商品になっているものがいくつもある。
筆者も「滝上町和ミントソーダ」を飲んだが、ハッカの風味が口から脳に強く広がり、かなりの新感覚でまた欲しくなった。
長期的なシリーズ化によって町とセコマ、双方にどんなメリットがあるのだろうか。
「町にとっては名前が出ることです。それをきっかけに問い合わせも増えていると聞いています。たとえば滝上町にハッカがありますが、生産量は長く減少傾向にありました。手前味噌ではありますが、当社で商品を出したことで、滝上町産のハッカが再注目されています」(赤尾社長)
なお、今は滝上町におけるハッカ生産量が限られているので、需要が増えて値段が上がり、農家にとっても大きなメリットになっているという。
「セイコーマートとしても、自分たちにしかできない商品が差別化になります。1~2万店あるチェーンだと原料が足りなくても、当社の規模なら全店に行き渡る原料を調達できる可能性は高くなりますし、場合によっては地域の店舗限定で販売することもあります。また、ただ『北海道産』と言うよりも、『〇〇町産』のように地名が小さくなるほど、商品がシャープになります」(赤尾社長)
そしてこのシリーズ化により、各自治体でセコマとの長期取引が実現している。長く取引を続けることで取引先にとってはプラスになり、地域の経済が維持されるという。
セイコーマートのトップ陣が近ごろ口にするのが、地域おこしならぬ“地域のこし”だ。「地域の基盤を守ることが、セイコーマートの商圏を維持することにつながる」という考え方で、自治体をブランド化するこの商品シリーズ展開にも、その一端が見てとれる。
あえてハセガワストアの看板で勝負…「セイコーマート化」しない理由
2025年10月、セイコーマートとそのグループ会社で函館の象徴であるコンビニ「ハセガワストア」のやきとり弁当などを扱うコラボ店舗がオープンした。赤尾社長いわく、普通の北海道のコンビニが1日50万円もいけば合格ラインとみられているところ、コラボ店舗は好調で、連休時期には日販300万円を記録するという。
「函館の方々に対するリスペクトがあるので、ハセガワストアの店名を先に付けて、『ハセガワストアとセイコーマート』という形にしました」(赤尾社長)
だが、そもそも子会社である「ハセガワストア」を「セイコーマート」にしなかったのはなぜなのか。
「ハセガワストアは『やきとり弁当』が店の柱です。函館の食文化として根付いているものを、あえてセイコーマートの名に変えるメリットはあまりない。仮に『セイコーマート』にして、やきとり弁当を扱う店と扱わない店が出てくるのも不自然です。それならハセガワストアのやきとり弁当として残しておく方がメリットは大きいと考えています」(赤尾社長)
続けて赤尾社長は、苦い過去も吐露した。
「一時期は、セイコーマートでもやきとり弁当の作り方を教えてもらい、提供していたことがありましたが、やめました。やきとり弁当は焼くのに熟練した技術が必要で、やっぱり経験を積んだ人がそろっているハセガワストアでトレーニングし、ハセガワストアの名前で出すべきだと考えています」(赤尾社長)
函館人は函館にプライドを持っており、ブランドを尊重する姿勢は地元客にも前向きに受け止められたはずだ。
この「無理にセイコーマート化しない」姿勢は、ハセガワストアだけに限らない。ハセガワストアのエリアフランチャイズ店である「タイエー」や、営業を終了した「北海道スパー」から派生したセコマ傘下のボランタリーチェーン「ハマナスクラブ」も、セイコーマートに同化させていない。 【次ページ】なぜ、駐車場を大きくしただけで「売り上げ2倍」?
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