- 2026/09/02 07:10 掲載
【全53社のデータ徹底比較】“今"サイゼリヤが「外食最強」と言えるほど強い理由(2/2)
餃子の王将は苦戦、日高屋は好調…この差はどこから?
値上げをすれば客数が減る、というのが普通なのであるが、値上げが始まったころ(2023年~2024年)には値上げをしても客数を減らさない、という人気チェーンもあり、たとえば、餃子の王将は何回か値上げを実施しても、客足が減らないロイヤルティが高い店として話題になっていた。しかし、いかにファンの支持が高い王将と言えども、2025年に入るとマイナスの月がかなり増えていることは先ほどの表でも分かるだろう。消費者の懐具合自体がかなり厳しくなったため、人気チェーンと言えどもその影響を免れなかった。
これも消費者全員が厳しくなったのではなく、二極化が進んだということを踏まえると、厳しくなった層が来店頻度を落としている(または低価格業態に移行している)ことの表れであろう。
ただ、先ほどの表を見ていると、同じ業態がすべてマイナスになるということでもなく、企業によって大きな差があることにも気づく。先ほどの餃子の王将は苦戦気味であるが、日高屋(ハイデイ日高)はマイナスだった月はわずか“ひと月”しかない。回転すしなら、スシロー(F&LC)は好調だが、くら寿司、カッパ・クリエイトはマイナスの月が多くなっている。この違いはどこにあるのだろうか。
ある指標で判明…客数伸ばす企業・落とす企業の“差”
黄色いコマが多い企業と少ない企業を抽出して比較をしてみると、ある違いが見てきた。原価上昇をなるべく価格に反映しないよう飲み込んで、その分をコスト削減でカバーしてキッチリ利益を確保できる企業が消費者の支持を得ている、という傾向が見えた。少し説明したい。
下図は主要上場外食企業のうち、既存店客数を増やしている銘柄と減らしている銘柄を抽出して、その原価率(1から粗利率を引いて計算した)と販管費率の、前期と直近期(四半期、半期も採用)を比較して増減を見たものである。
そのココロは、原材料高騰の折、価格転嫁を抑えれば原価率は上昇するのが当たり前だろう。しかし、十分に価格転嫁しなければ収益悪化は避けられないため、ほかのコスト削減(販管費率の削減)によって、原価率上昇をカバーする必要がある。
つまり、原価上昇分をフルに価格転嫁するのではなく、コスト削減により原価率の上昇をフルカバーできれば、メニューの値上げを最小限にできる、という考え方である。
実際、上図で確認してみると、客数を増やしている企業は、「原価率上昇<販管費率削減」であったが、減らしている企業は「原価率上昇≧販管費率削減」と逆になっていた。自助努力によるコスト削減によって、価格転嫁を最小限に抑えるチェーンが、消費者の支持を得ることができる、という現状が見えたのである。
サイゼリヤ“1割下落”の裏側…消費者と投資家、なぜ真逆?
サイゼリヤを見て思ったのは、原材料高騰で値上げをしなければ、原価率は上昇してしまうが、据え置かれた価格が消費者にアピールするため、来店客が増加して分母である売上を伸ばすことになるため、結果として販管費率は低下する。客離れを起こさず収益も確保するためには、やはり価格転嫁の前に、コストを抑えて耐える努力が重要なのだ、ということなのであろう。
値上げせず客数を増やす、という選択で頑張ってきたサイゼリヤは、2026年4月には、さらなる原材料価格高騰を踏まえて利益の下方修正を発表したところ、投資家の嫌気売りで株価は1割以上大きく下げた、という経緯もあった。当然、その際も増収基調だったし、客数プラスも維持していたが、市場は容赦なく売りに転じた。
その後、冒頭の値上げ検討の報道が出ると、一気に株価高騰というのが顛末であった。市場としては当たり前の反応なのではあろうが、消費者側の感覚からすればなんか違和感がある。
価格据え置きで頑張る姿勢こそ、消費者にとってありがたいのだけど、利益を抑えて据え置きを維持することは市場が許さない。それはそうなんだろうけど、改めて消費者と投資家の利益は相反している、ということを強く感じた。
やっぱり、日経平均株価が7万円超えを見据えて推移する株式市場の盛況と、一般消費者の景況感が一致しないのは、そういうことなんだろう、と思ったのである。
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