- 2026/11/05 06:10 掲載
なぜ優秀だった上司ほど「会議とハンコ」を増やす?元伊藤忠人事が語る“意外な原因”
VITAL DESIGN代表。Langara College(カナダ)、上智大学を経て豊田通商、伊藤忠商事にて合計13年にわたり人事・組織開発および新規事業開発を担当。米国公認会計士。ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会研究員。累計3万人規模の人事データを解析し、社員の潜在的ニーズを発掘、風土改革をリードするなど、企業の組織変革に実績を持つ。新規事業開発プロジェクトにおいては、豊田通商、伊藤忠商事の両社で全社横断型のリーダーとして100件以上の新規案件を審査・伴走。事業化を実現しつつ、人事データサイエンスの知見と経営的視点を掛け合わせ、組織風土改革をけん引。ReHacQ・PIVOT・TBS CROSS DIGなど各種メディアでの出演回は計72万回再生を突破。著書に『部下のやる気は仕組み化できる データサイエンスでわかった熱狂するチームのつくり方』(SBクリエイティブ)
1982年、横浜市生まれ。東京大学大学院教育学研究科修了。外資コンサルティングファーム勤務を経て組織開発コンサルタントとして独立。『働くということ 「能力主義」を超えて』(集英社)他著書多数。近著に『職場の違和感』(ダイヤモンド社)、『「頭がいい」とは何か』(祥伝社新書)、『ハラスメント最終報告』(晶文社)、『人生は逆算できるのか』(ちくまプリマー)などがある。2026年12月に『「努力は必ず報われる」は本当か』(SBクリエイティブ)が刊行予定
前編はこちら(この記事は後編です)
役員に昇進した人・部長止まりだった人、何が違った?
部下に厳しい目標を課し、少しのミスも見逃さず、仕事の進め方にも細かく口を出す。「責任感が強い」「成果にこだわっている」と見る人もいるだろうが、その行動を生んでいるのは、本人の「不安」かもしれない。
能力や経験、これまでの実績など、さまざまな要因が考えられるだろう。しかし、渡邉氏が分析の結果わかったのは意外にも「ストレス耐性」だった。渡邉氏によれば、その企業では、役員に昇進した高評価者に、ストレス耐性が低いという傾向が見られたという。もちろん、ある企業の分析結果だけで、すべての役員や管理職に同じ傾向があるとは言えない。それでも、「出世する人はプレッシャーに強い」という一般的なイメージとは対照的だ。
しかも、渡邉氏が注目するのは、ストレス耐性の低さそのものではない。プレーヤーとして高い評価を得る原動力となった「不安」が、管理職になった途端、部下の主体性を奪う原因になりかねないということだ。
なぜ、そのような逆転が起きてしまうのか。そして、部下が上司の顔色をうかがうのではなく、自ら考え、仕事に没頭できる組織を作るには何が必要なのか。
高評価「トップ5%」に見つかった意外な傾向
──役員に昇進した人ほどストレス耐性が低いというのは驚きです。渡邉氏:役員になるトップ5%の高評価者に見られた特徴として、ストレス耐性が非常に低いという結果が出たときは、私も意外に思いました。
そこで本人たちに話を聞いていくと、不安が強いからこそ、徹底的に準備しているという話が出てきたのです。失敗したくない、ミスをしたくない。だから、人一倍準備をする。その結果、プレーヤーとして高い評価を得ていたのではないかと考えました。これは分析結果を踏まえた私の解釈ですが、非常に納得感がありました。
特に大企業では、既存の仕組みの中でミスなく仕事をすることが評価される場面があります。減点されないように、きちんと準備して成果を出す。その仕組みでは、不安が強く、準備を惜しまない人が評価されることは十分考えられます。
ただ、問題は役員になった後です。そこで仕事のルールが変わりますから。
豊田通商、伊藤忠商事にて合計13年にわたり人事・組織開発および新規事業開発を担当。累計3万人規模の人事データを解析し、社員の潜在的ニーズを発掘、風土改革をリードするなど、企業の組織変革に実績を持つ。新規事業開発プロジェクトでは、豊田通商、伊藤忠商事の両社で全社横断型のリーダーとして100件以上の新規案件を審査・伴走。事業化を実現しつつ、人事データサイエンスの知見と経営的視点を掛け合わせ、組織風土改革をけん引。著書に『部下のやる気は仕組み化できる データサイエンスでわかった熱狂するチームのつくり方』(SBクリエイティブ)
勅使川原氏:面白いですね。重要なのは、ストレス耐性が低いという個人の特性だけを問題視しないことだと思います。
その人がどのような行動を取ると評価されるのか、組織の仕組みも併せて考える必要があります。ある立場で望ましいとされた行動が、別の立場でも望ましいとは限りません。プレーヤーとして高く評価された人が、マネージャーになっても同じやり方で成果を出せるとは限らないということですね。
1982年、横浜市生まれ。東京大学大学院教育学研究科修了。外資コンサルティングファーム勤務を経て組織開発コンサルタントとして独立。『働くということ 「能力主義」を超えて』(集英社)他著書多数。近著に『職場の違和感』(ダイヤモンド社)、『「頭がいい」とは何か』(祥伝社新書)、『ハラスメント最終報告』(晶文社)、『人生は逆算できるのか』(ちくまプリマー)などがある。2026年12月に『「努力は必ず報われる」は本当か』(SBクリエイティブ)が刊行予定
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