【大塚氏】
――続いて、現在取り組まれている主要なIT案件についておうかがいします。
【村山氏】現在は、勘定系システムの更改と統合CRMシステム構築に注力しています。その中で統合CRMシステムは、従来のお客さまへのアプローチでは把握しきれない営業機会を見いだすため、パッケージを導入する予定です。勘定系システムも実績のある大手ベンダーのパッケージを採用して、オープン化を実現すべく作業中です。
【大塚氏】
――それでは早速、統合CRMシステム構築プロジェクトの方から聞かせてください。金融機関で実際に統合的なCRMシステム構築の実装に着手した例はまだ少ないのではと思っており、興味深いところです。このプロジェクトでどういったことを実現しようとしているのですか。
【村山氏】インターネットバンキング、コールセンター、ATM、店頭など様々なチャネルを連携して個人・法人のお客さまの情報を管理する次世代CRMインフラを構築しようというのが大きな構想です。これまで支店、コールセンター、インターネットバンキングなどチャネルごとに活用してきたシステムだと、チャネル統合型の顧客一元管理がなされておらず、クロスセルやアップセルにつなげたり中長期的にお客さまのライフタイムバリューを高めていくような、本来わたしたちが目指す顧客管理体制(CRM)が可能な環境とは言えませんでした。東京スター銀行も次の10年を迎えるにあたって、お客さまとのよりよい関係を構築するために、現在稼働中の顧客管理システムを刷新、統合する方向です。
また、スマートフォンやタブレット等のモバイル端末に東京スター銀行のオリジナリティを加味したCRM機能を取り入れる予定です。いま考えているのは、お客さまが自分で操作する機能、当行の営業マンが操作する機能に加え、お客さまと当行の営業マンが共同で操作することでお客さまに先進的な金融サービスを体験していただくことを目指した、3つのコンセプトの提供です。
顧客情報漏えい対策として、最新技術によるセキュリティ環境の向上にも当然ながら注力します。さらに、M-CIF*を取り入れた統合マーケティングDBでデータ分析機能が強化され、データマイニングやデータベースマーケティングが格段に進歩することになります。