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  • 2013/06/07

O2Oのその先へ、誘導から購買へと結びつける4つのオムニチャネルリテーリング

【連載最終回】オムニチャネル時代を生き抜く

今や小売業界のトピックとして、その言葉を見ない日はないとさえ言える「O2O(オンライン・ツー・オフライン)」というキーワード。しかし現状をよくみると、具体的なO2O施策の多くが、オンラインからオフライン(リアル店舗)まで消費者を「誘導する・連れてくる」だけの施策に留まっている印象だ。連載の最終回となる今回は、あらゆるチャネルを行き交い重ね合わせながら買い物を行う消費者に対して、店舗への「誘導」に留まらず、実際の「購買」にまで結びつけるような施策(オムニチャネルリテーリング)を実現させるためのヒントを整理し、考えていくことにしたい。

アビームコンサルティング 竹井 昭人/中村 伸吾/桜井 純

アビームコンサルティング 竹井 昭人/中村 伸吾/桜井 純

アビームコンサルティング 製造/流通統括事業部 リテール/サービス セクター
アビームコンサルティングは、アジアを中心とした海外ネットワークを通じ、それぞれの国や地域に即したグローバル・サービスを提供している総合マネジメントコンサルティングファームである。小売/サービス分野では、外部環境変化に耐えられるよう、全社的観点で情報システムビジョンを策定・実現するサービスを提供している。

「誘導」と「購買」が必ずしも結びつかないO2O

 「O2O」という言葉が一般的になり、既に多くの小売業が「あるチャネル」から「あるチャネル」へ消費者を誘導・送客するようなアプローチの施策に取り組みはじめていることはご承知の通りだ。さまざまなメディアなどでも取り上げられている通り、ECサイトから実店舗への来店予約を可能とする施策や、SNSを通じて店頭で利用可能なクーポンを配布するような施策などである。

 しかし、これらO2O施策の多くは、いずれもスマホを持った消費者をリアル店舗まで「誘導する・連れてくるだけ」の施策に留まっているということもまた、多く方が気付き始めている事実であろう。

 店舗まで誘導した来店客たちのその後、つまり、入店後から購入に至るまでのプロセスに目を向けてみると、まだまだオムニチャネル時代ならではの取り組みというものを実践している企業は多くない印象だ。

 ゆえに、せっかくのO2O施策によって消費者を店頭まで連れてくることができてはいても、入店後の彼らに対して購入意欲を喚起させるような取り組みが旧来のものと大きく変わっておらず、結果、今もって消費者が「購入の決め手」としているのは価格であったり商品自体の魅力であったりとなっているのが現状である。

 そこで、今回は費者を店頭に誘導するまでではなく、来店した後の彼らに対してどのようなアプローチが取れるのか、あるいはどのような施策を取るべきなのかを「オムニチャネル時代ならでは」の観点で整理していきたい。

変化し続ける消費者の店内行動

 「来店後」の消費者にどのようなアプローチを取るべきかを考える上で、まずは彼らが、来店後にどのような行動をとっているのかを整理してみよう(図1)。

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図1 消費者の店内行動プロセス
(出典:アビームコンサルティング)


 旧来の一般的な消費者は来店後、まずは店内を回遊し、商品を見つけるプロセスを踏んでいた。そこでニーズにマッチした商品を見つけ出し、また他の候補もみつかればそれらを比較するプロセスに移り、購入対象商品を決定した後、実際の購入のためにレジへ向かう、というような行動をとっていた。またあるいは、複数の買い物があれば次の購入予定商品を探しに再度、店内の回遊を行いはじめていた。

 このようなプロセスを順に進んでいく姿は、かねてから「お買い物の基本的な流れ」と考えられており、そしてまた、この一連の行動は単一チャネル内で行われてもいたのである(図1-①旧来)。

 しかしご存知の通り、オムニチャネル時代の消費者たちがとる行動は必ずしもこのような流れとは一致していない。

 彼らは買い物に出る前、あるいは目的の店に向かう途中、または店内に入った後でさえも、スマートフォンをはじめとするモバイル機器を駆使して、他店の状況やその場に無い商品のスペックなど、あらゆる情報を即座に手に入れることができるようになっているからだ。

 その結果、たとえば、購買ニーズに見合う商品の候補は何と何なのか、どの店に行けばそれらを比較することができるのか、といった情報を既にオンラインを介して手にしている消費者は、入店後に店内を回遊したり商品をみつけたりといったプロセスを踏むことはほとんどしなくなっている。探索の必要がないからだ(図1-②オムニチャネル時代)。

 また同様に、オンライン上で商品の口コミ情報や評判を徹底的に調べつくし、購入候補商品を入店前に決めているような消費者は、入店後のあらゆるプロセスをスキップし、目的の商品を掴むとそのままレジへ直行するといった具合だ。あるいは逆に、入店後すぐに目的の(既に調べてある)商品を手に取ったはいいが事前のイメージと実物が異なっていたために購入意欲が萎み、他の商品を探しに改めて店内回遊をスタートさせる、というような消費者もいる。

 つまり、消費者たちの行動は従来の画一的な流れに沿ったものではなくなり、一見するとあらゆるパターン(あらゆる動線)が発生しうるようになっていると感じられるだろう。

店内行動プロセスは「線」か「点」か?

 このようなオムニチャネル時代特有の動きをみせる消費者たちは、「店内行動だけ」を観察すると実に不可解な動きをする来店客に見える。入店後にいきなり「会計」のプロセスに入ったかと思えば、突然「商品比較」のプロセスに移行するような来店客たちである。

 何の前触れもなく、あるプロセスの行動を起こしては、突然また別のプロセスの行動を行う、といった彼らの行動は、従来の購買行動(お買い物の流れ)が「線」なのに対して、まるで各プロセスを「点」として飛び交っているように見えるかもしれない。

 しかし、店内行動だけを見れば「点」を飛び交う彼らであるが、すべてのチャネルを跨いで捉えてみると、実は彼らの行動は「線」となっており、従来の買い物プロセスの通りに繋がっていることがわかってくる。

 たとえば、店頭では「回遊」プロセスの後に突然、「会計」プロセスに飛んでいるように見える行動も、「回遊」と「会計」の間に店内からスマートフォンを用いてオンラインチャネル上で「商品検索」、「商品検討」、「商品決定」を済ませているといったケースである(図2)。

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図2 チャネルをまたいでみた店内行動プロセス(例)
(出典:アビームコンサルティング)


 このように、店頭とオンラインという2つのチャネルを重ね合わせてみれば、それぞれのチャネルを行き来こそすれ、依然として彼らは従来と変わらない各購買プロセスに沿った形で買い物を行っているということが判るだろう。

 これを言い換えると、彼らオムニチャネル時代の消費者は複数のチャネルを跨ぎ、行き交いながら買い物を進めてはいるものの、購買プロセス、つまり購買動線自体は従来のそれと大きく異なっていることはない、ということが見えてくる筈だ。

 そしてこれは、彼らが店内でどの買い物プロセスにいる状態であっても、店内とは別のチャネルからの情報に対して「オープン」になっているということも意味している。

 つまり、彼らが店内でどの買い物プロセスにいようとも他のチャネルから「商品(購入)決定」に結びつくような適切な情報を提供できれば、彼らはそれを積極的に活用することが見込まれ、結果、購入プロセス(お買い物の流れ)を一気に先へ進めることができるともいえるのである。

【次ページ】誘導から購買へと結びつける

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