IDC Japanは12日、国内プライベートクラウド市場予測を発表した。発表によると2013年の国内プライベートクラウド市場は大幅に成長し、前年比43.9％増の4,627億円になる見込み。

　今後の国内プライベートクラウド市場も高い成長を維持する。なかでも、事業者データセンターを活用したプライベートクラウドが同市場の成長をけん引。国内プライベートクラウド市場は、2012年～2017年の年間平均成長率（CAGR：Compound Annual Growth Rate）は34.5％で推移し、2017年の市場規模は2012年比4.4倍の1兆4,129億円になるとIDCは予測した。


　現在、プライベートクラウドの導入形態は多様化が進んでいる。また、プライベートクラウドソリューションの仕様/機能は日進月歩で発展しており、ソリューションごとに特徴が異なる。

　これまでのプライベートクラウドソリューションでは、「インフラストラクチャの効率化」あるいは「産業特化型アプリケーション（共同センター型ソリューション）」が注目されてきたが、システム間連携、アプリケーション開発/運用の効率化、さらにはビッグデータへの対応をもたらすプラットフォームとして機能の拡充が進んでいる。

　多様化が進むプライベートクラウド市場において、オンプレミス型のプライベートクラウドでは「インテグレーテッドシステム（ハードウェアとソフトウェアの垂直統合型製品）」、ホスティング型プライベートクラウドでは「ディスクリートモデル（迅速性/拡張性に加え柔軟性を有した標準化したサービス）」の重要性が高まっている。

　また、「自治体クラウド」「農業クラウド」「ヘルスケアクラウド」に代表される業界クラウド（コミュニティクラウドサービス）は、ユーザー企業の「既存業務の効率化」から「IT（クラウド）を使った事業強化、新市場の創造」へと、サービス価値が変化していくとIDCはみているという。

　IDCは現在、経済のグローバル化、モビリティおよびソーシャルネットワークサービスの普及は、社会/企業/個人の活動に変化をもたらしており、企業のICTにも変革が求められていると指摘。

　同変革には、ソーシャル技術およびビッグデータの活用と、ICTの俊敏性強化が必要であり、サービス指向アーキテクチャ（SOA）をベースとした新しいICTプラットフォームの構築が重要となっているとしている。

「既存ITの効率化にのみ焦点を当てるのではなく、アーキテクチャの刷新を促すプライベートクラウドの導入が重要である。」（IDC Japan ITサービス リサーチマネージャー 松本 聡 氏）

　今回の発表はIDCが発行したレポート「国内プライベートクラウド市場 2012年の実績と2013年～2017年の予測」（J13280105）にその詳細が報告されている。本レポートでは、国内プライベートクラウド市場の概況や動向を分析し、配備モデルやセグメント別に2012年～2017年までの市場予測をまとめている。また、オンプレミスプライベートクラウドでは「インテグレーテッドシステム」、ホスティング型プライベートクラウド（デディケイテッドプライベートクラウドサービス）では「ディスクリートモデル」を、配備（構築）モデルオプションとして市場規模予測を行っている。