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  • 2013/11/08

「ビッグデータ活用と行政のクラウド化がカギ」 ITによる成長戦略を政府CIOが語る

“失われた20年”と呼ばれる長期景気低迷、新興国の急速な台頭、かつて日本は閉塞感に満ちていたが、これを打破するものとしてアベノミクスに期待が集まっている。中でも3本目の柱とされる「成長戦略」の突破口はITにあるのではないか。政府CIOの遠藤 紘一氏はそう強調する。6月に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」と、そこで示された3つのめざすべき姿・社会、そしてその具体的な活用事例について、陣頭指揮を執る遠藤氏自らが解説した。

閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」

photo
内閣官房
内閣情報通信政策監
(政府CIO)
情報通信技術(IT)
総合戦略室長
遠藤 紘一 氏
 2013年6月14日、閣議で「世界最先端IT国家創造宣言」が決定された。その宣言の冒頭には、「世界最高水準のIT社会をIT利活用においても実現することを目指し、早急に取組を開始するとともに、我が国が、課題解決の処方箋を世界に発信する課題解決先進国となり、IT利活用による課題解決の成功モデルを世界に提示し、国際展開することで、国際社会にも貢献していくこととする」とある。

 キーメッセージは「閉塞を打破し、再生する日本へ」。安倍政権は、日本が再び世界のトップへ返り咲くために三本の矢を用意した。アベノミクスとしてすでに放たれた「財政政策」「金融政策」に続く第三の矢が「成長戦略」で、この成長戦略の柱にITが不可欠だと判断されたのだ。

 CEATEC JAPAN 2013で10月4日に登壇した、内閣官房 内閣情報通信政策監(政府CIO) 情報通信技術(IT)総合戦略室長 遠藤 紘一氏は、民間企業の経営経験を生かしてこの取り組みを牽引する立場にある。政府CIOには、府省間の政策調整の実施や府省横断的な計画や経費の見積り方針を作成する大きな権限を持ち、これまで何かと障害となってきた省庁の縦割り行政を打破して、“横串”を通すことを期待されている。法的にも正式に位置づけられ、IT推進に関して同氏より上位の権限を持つのは内閣総理大臣のみ。省庁が動かなければ内閣総理大臣に直接報告することができる。

 閣議決定された世界最先端IT国家創造宣言では、以下の3つのめざすべき姿・社会が示されている。

(1)革新的な新産業・新サービスの創出及び全産業の成長を促進する社会
(2)健康で安心して快適に生活できる、世界一安全で災害に強い社会
(3)公共サービスがワンストップで誰でもどこでもいつでも受けられる社会

 現在、遠藤氏は精力的に各省庁とのヒヤリングを重ねており、その回数はすでに延べ50回にのぼった。概算要求を提出し終えた現在でもその活動は続いているというが、具体的なIT推進の内容は見えてきたという。

ビッグデータを活用した新たなサービスの創造

 遠藤氏が(1)の分野で例に挙げたのはビッグデータ活用とIT農業だ。

 ビッグデータ活用は新産業・新サービス創出のキーテクノロジーで、政府でも相当量のオープンデータを保有している。しかし、そのデータフォーマットが省庁ごとで異なり、民間活用の大きな壁となっていることから、標準化に向けて整理を進めている。2013年末には試行版を公開する予定だ。

 今年6月に英国で開催されたG8首脳会議では、「オープンデータ憲章」に合意、G8各国においては政府の持つデータは、公開可能な範囲で、かつある水準を持って公開していくことになった。ここで遅れをとらないためにも、日本のオープンデータ整備は急務となる。

 農業に関しては、農業人口の平均年齢が65歳を超えている現状やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の影響を鑑みて、ITによる強化をめざす。具体的には、各種センサーによるデータ収集とベテラン農家の暗黙知的ノウハウをつき合わせることによる若い世代へ技術伝承が重点項目に挙がっている。

 (2)の分野では、同氏はセンサーを使用した保全技術の推進を一例に挙げた。これは、2012年12月に起こった笹子トンネル天井板落下事故を契機に取り組みが活発化しているもの。もはやベテラン技術者の目視検査のみでは安全確保が難しくなってきたことから、センサーによる保全用データ収集に期待がかかっている。

 また、同じく社会の安全という面では、クルマの運転アシスト技術にも注目しているという。日本が超少子高齢化社会に突入する中で、高齢者が運転せざる得ない場面が増えている。交通事故の原因として今でもトップランクにあるのは、人とクルマとの出会い頭の衝突事故だが、これは運転者がいくら注意していても完全防止は難しく、ましてや運転者が反応の遅れがちな高齢者となればなおさらだ。この課題をクルマに搭載するIT技術でカバーしようというわけだ。

【次ページ】最先端IT国家実現へ、そのためのアクションとは

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