“分割前”の日本郵政がランキング1位
「Insurance(保険)」業界ランキングのトップは、日本の日本郵政(売上高1909億ドル)である。かんぽ生命保険に加えて日本郵便とゆうちょ銀行を傘下に持つ日本郵政は、基本的にドメスティックな企業でありながら、規模としては世界有数の巨大企業となっている。なお、将来的に日本郵政が分割されると、かんぽ生命保険単体ではランキングを下げることになりそうだ。
2007年10月に日本郵政公社が民営化されて誕生した日本郵政は、2015年春の株式上場を目指しているが、今後の戦略がまだ定まっておらず、株式上場計画が明らかになるのは今年4月以降とされている。なお、かんぽ生命保険については新学資保険の販売が認可されるなど、成長戦略につながる新しい動きも見られる。
一方で、分割されてもかんぽ生命の保険料収入は国内最大規模。日本郵政の業務拡大は民業圧迫になるとの批判が国内にあるほか、米国でも政府出資企業の業務拡大は公正な競争を阻害するとの不満の声が大きく、環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐる日米協議ではかんぽ生命保険の業務拡大が議題となっていた。
2013年7月に日本郵政がアメリカンファミリー生命保険(アフラック)のがん保険を販売することを発表してからは、米国側の不満は抑えられているようだが、日本郵政が完全民営化(株式上場)されるまでは、この問題はくすぶりそうである。
バフェット氏が率いる巨大保険会社
業界ランキング第2位に入っている米国のバークシャー・ハサウェイ(売上高1625億ドル)は、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる会社だ。
一般には単なる投資ファンドと見られがちな同社だが、中核ビジネスは保険業務。ガイコ、ジェネラル再保険といった保険会社を子会社としている(再保険とは損害保険の一種で保険会社のリスクを引き受ける保険)。ほかにもエネルギーや繊維、建材、小売といった分野に進出している。
グラフのように、バークシャー・ハサウェイの近年の売上高は順調に伸びている。もともとは紡績会社だったバークシャー・ハサウェイをバフェット氏が1962年に買収し、保険業務を中核とする巨大企業へと育て上げたのである。バフェット氏が経営権を握ってからの45年間で、同社の株価は約82万%の上昇をみせた。コカ・コーラ、アメリカン・エクスプレスの筆頭株主でもある。
このように保険とはちょっと異なる面が話題になりがちな企業が第1位と第2位を占める保険業界だが、第3位以下から保険専業で著名な企業が名を連ねることになる。以下が保険業界の世界ランキングだ。