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  • 2014/05/19 掲載

アクセンチュア 工藤卓哉氏らが語る、ビッグデータ活用を成功に導く組織づくり

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現在の企業にとって消費者を知り、顧客を知るために必要不可欠となったビッグデータの活用。そのビッグデータ活用を成功に導くためには、どのような人材が必要となるのか。またどのような体制づくりが必要なのか。アクセンチュア デジタルコンサルティング本部 アクセンチュア アナリティクス 日本統括の工藤卓哉氏、NTTドコモ 情報システム部 情報戦略担当 担当部長 白川貴久子氏、総務省 統計局総務課 調査官の上田聖氏、SAS Institute Japan マーケティング&ビジネス推進本部長の北川裕康氏の4名が、Analytics 2014 - SAS FORUM JAPANのパネルディスカッションで登壇した。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

専門性を持った人材の育成には、2~3年間の業務従事が必要

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アクセンチュア
デジタルコンサルティング本部
アクセンチュア アナリティクス
日本統括
工藤 卓哉 氏
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NTTドコモ
情報システム部
情報戦略担当
担当部長
白川 貴久子 氏
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総務省
統計局総務課
調査官
上田 聖 氏
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SAS Institute Japan
マーケティング&ビジネス推進本部長
北川 裕康 氏
 今回モデレータを務めた日経ビッグデータ 副編集長の市嶋洋平氏は冒頭、ビッグデータの活用に成功するためには、どんな人材や組織体制、あるいはどんな取り組みが必要かという問いを投げかけた。

 これを受けて、企業コンサルティングに携わり、ニューヨーク市で統計ディレクターを務めた経歴も持つアクセンチュアの工藤氏は、日米の違いについて言及した。

「米国の場合、各役職の職務内容を詳細に定義したジョブディスクリプション(職務記述書)に基づき、専門性を持った人材が採用される。また労働市場が非常に流動的で、企業と働き手双方のニーズをマッチングする仕組みがうまく機能しており、高い専門性を持った人が、特定のチームに空きが出た時に入りやすい環境が整っている」(工藤氏)。

 また米国ではチーム力を最大化するために、どういった“座組み”ができるのかを考えるのに対し、日本では各業界ともいまだに縦割のところが多く、優秀な人材はローテーションベースで人脈を構築していかざるを得ないケースが多いという。

「さらにエンジニアの処遇も決定的に異なり、我が国では残念ながら、理系の学生も含め、エンジニアは少し下に見られる傾向にある。また日本はリーダーシップも弱い。ビジネス成果を生む分析を行うためには、明確な目的とリーダーシップが一枚岩になっている必要がある」(工藤氏)。

 次にNTTドコモの情報システム部で情報戦略を担当する白川氏は、ユーザー企業のIT部門という立場から、ビジネス部門を支援していくための人材獲得、育成について、次のような見解を述べた。

「工藤さんが指摘されたように、ローテーションで人が動いていくという状況では、専門性を持った人材を育成することも難しい。私の感覚では、どんなに優秀な人でも2年、通常なら3年従事してようやく基礎ができる。実際に我々もできるだけそういう形が採れるように取り組んでいる」(白川氏)。

 また白川氏は、自社にはSEとして長いキャリアを積み、新たな分析のテクノロジーに抵抗のない人もいるとした上で、「そういう人たちがビジネスマインド、マーケティングマインドを持って分析に関わるという取り組みを今、推進している」と話す一方、「ビジネス部門のメンバーで、自分自身で分析する人が徐々に増えてきている。彼らが使いやすいシステムを作ることも、非常に重要なポイント」だと強調する。

 その際にIT部門が犯しやすい間違いとして、ユーザー部門の要望をどんどん採り入れて、結局は使いにくいシステムを作ってしまう恐れがあることを挙げた。

「システム構築時には、データ分析を活用してビジネス成果を挙げたいと真剣に考えているユーザーに話を聞くことが非常に重要で、彼らが求める仕様を志向する必要がある。また分析はしたいが、やり方が分からないというエンドユーザーに対して、我々はたとえばこんな分析のパターンがあるとか、それ以前のデータの定義やこの分析はどんな条件で行ったのかということを非常に丁寧に伝えていくという取り組みをしている」(白川氏)

 白川氏は以前マーケティング部門に所属しており、5年前に現在の情報システム部に配属されたという。

「私には使う側の立場として、“システムはこうあって欲しい”という思想があった。一方、情報システム部には技術を持っているメンバーがいる。その人たちにビジネスのマインドや課題を伝えるという意味で、いいタイミングで今のポジションに就かせてもらったと思っている」

外部の専門企業に支援を仰ぐなどして、自社の分析スキルを上げていく

 続いて中央官庁における人材獲得/育成への取り組みについて、総務省 統計局の上田氏は、次のように説明する。
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「少し前の役所では、エースといわれる人たちは法律関係のセクションに配属されていた。それがPCが1人1台になった頃から役人にもITスキルが求められるようになり、次は絶対にデータ解析の波がくると考えている。実際に今、非常にいい風が吹いていて、データ分析のできる人材を色んな部署が欲しがっている。我々としても統計スキルを持った人を積極的に雇っていきたい」

 しかし現状をいえば、相当程度、不足しているという。

「それというのも役所は過去に人員削減のため、システム部門をすべてアウトソーシングしてしまった。これによってIT活用、データ活用は大きな遅れを取ってしまった。まさに今、その遅れを取り返すべき時代に来ていると思う」。

 今回のイベントを主催したSAS Institute Japanでは、ビジネスパーソンのデータ分析スキルを証明する「SASグローバル認定プログラム」という資格制度を提供しているが、同社の北川氏は、今の日本企業のデータ分析に足りない要素として、次のような点を挙げた。

「外資系企業では、工藤さんのお話されたジョブディスクリプションやチーム力などに加えて、パフォーマンス管理が徹底されているが、日本企業ではあまり見受けられない。しかしきちんとしたパフォーマンス管理を行わなければ、“分析文化”も企業にはなかなか根付かないと思う。たとえばアクセンチュアやSASのような会社にサポートを依頼し、まずはできるところからプロジェクトを始めていく。足りない人材は外から雇い入れながら、自社の分析スキルを上げていくしかない」。

【次ページ】データ活用は成果を挙げてこそ

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