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  • 2018/12/11 掲載

13歳が癌の治療法を開発、AIは異分野間の“サイロ”を破壊する救世主に

連載:中西 崇文のAI未来論

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私は仕事柄、「人工知能はどういうところに使われるのですか」という質問を受けることがある。その答えは「あらゆる分野」だ。今や人工知能は“民主化”し、だれもが使うツールとなった。これまで不可能だったことが、人工知能によって実現した事例は、枚挙にいとまがない。さらにいえば、人工知能を活用すれば、特定分野の専門家以外でも、新たな発見をすることができるのだ。そう、われわれは人工知能によって、新たな科学の幕開けを見ているのだ。

武蔵野大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科長 准教授 中西 崇文

武蔵野大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科長 准教授 中西 崇文

武蔵野大学 准教授、国際大学GLOCOM主任研究員
1978年、三重県伊勢市生まれ。2006年3月、筑波大学大学院システム情報工学研究科にて博士(工学)の学位取得。2006年より情報通信研究機構研究員。ナレッジクラスタシステムの研究開発、大規模データ分析・可視化手法に関する研究開発等に従事。2014年より国際大学GLOCOM准教授・主任研究員。データマイニング、ビッグデータ分析、分脈構造化分析の研究に従事。2019年から武蔵野大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科長 准教授。国際大学GLOCOM主任研究員、デジタルハリウッド大学大学院客員教授。専門は、データマイニング、ビッグデータ分析システム、統合データベース、感性情報処理、メディアコンテンツ分析など。

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13歳の少年がAIによる癌の治療法を開発した
(出典:Discovery Education、Charmion Kinder)

13歳の少年が膵臓癌の治療法を開発

 最近興味深いニュースが飛び込んできた。13歳の少年が膵臓癌の治療法を開発したというのだ。

 そもそも膵臓癌は見つけることも難しく、末期になってから見つかることがほとんどのようだ。膵臓癌の5年生存率は9%、10年生存率は1%と言われており、この数値が過去40年間であまり進歩がない。また、それを治療するための方法も、画期的なものが見つかっているわけではない。

 13歳の少年(名前はRishab Jainクンという)は、これらの事実を知ってこの問題を解決しよう取り組んだのだ。元々Jainクンはプログラマーで人工知能(AI)も大好きであったため、この問題をAIとどのように組み合わせられるかを考えたようである。その結果、膵臓癌の放射線治療中に、膵臓の位置を正確に見つけるためのAIベースのツール「PCDLS Net」を開発したのだ。

 膵臓は胃や肝臓に囲まれ、肺のすぐ下に位置している。身体の内部中央にあることや、治療中に少し位置が動いたりすることで、手術や検査の際に膵臓がどこにあるのかを探し出すのが難しい。そのような状態で放射線医が患者に対し放射線治療を施すことになるため、何百万の健康な細胞に影響を及ぼす可能性がある。

放射線による人体への影響を減らす


 こうした課題に対し、彼が開発したPCDLS Netを用いることで、CTまたはMRIスライスデータから膵臓がどこにあるかを特定することが可能となるのだ。これにより、これまで放射線を当てる範囲として患部以外に7ミリ必要だったのに対し、その範囲を4ミリ程度まで減らすことができるようになった。

 Jainクンはこの開発・検証のために253人以上の医師にコンタクトを取り、がんセンターや世界中の専門機関の専門家から30程度の回答を得たという。

 今後5年で有効性を検証するために、世界的な化学・電気素材メーカーである3Mだけでなく、病院とも連携し、臨床実験を行っていくとし、アメリカ食品医薬品局と治験審査委員会の承認を得たいと話している。

 ちなみに、彼は3Mの主催する「2018 Discovery Education 3M Young Scientist Challenge」で受賞し、2万5000ドルを手にしている。

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3Mの主催するイベントで成果を認められた
(出典:Discovery Education、Charmion Kinder)

【次ページ】AIは新たな科学の転換を生み出す

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