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  • 2019/11/01

【図解】「データ分析プラットフォーム」とは? 導入を加速する“4つのアイデア”

第5回:現場から見たPoCの理想と現実

工場の製造現場で収集したデータやITシステムに格納されたデータを一元的に集約し、横断的に分析することで新たな知見を得たり、製品の品質向上に役立てたりといった“機運”は高まっています。しかし、実際にデータ分析プラットフォームの構築を計画しても、机上だけでとん挫してしまうことも少なくありません。それはなぜなのでしょうか。今回は、製造業のQC(品質管理)領域に焦点を当て、データ分析プラットフォームの在り方について考えてみましょう。

執筆:三菱電機インフォメーションシステムズ 小林 敦 / 中谷 壮志

執筆:三菱電機インフォメーションシステムズ 小林 敦 / 中谷 壮志

小林 敦
三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)産業・サービス事業本部。
三菱電機に入社し、コンピュータシステム製作所、情報通信システム開発センターなどのSEを経て現在、分社化された三菱電機インフォメーションシステムズの営業部長。
国際海底ケーブル網監視システム、携帯電話向け映像ストリーミング配信システム、グローバルWebプラットフォームなど通信・放送・Webメディア分野を担当する中で、オープンソースソフトウェアの導入促進に取り組み、最近はIoT/ビッグデータ/AI領域で新たなビジネス創出に挑む。
OSSコンソーシアムでは副会長(分散コンピューティング部会担当)を務める。

中谷 壮志
1990年に三菱電機入社。
以降一貫して製造業向けソリューションのプリセールス及びシステム構築に従事。
機械系CADの販売支援、PDM/PLMシステムの構築に従事後、2012年より中国の日系製造業が現場で直面している課題に対し、FA-IT連携によるトレーサビリティ・工程管理・在庫管理・出荷管理等のトータルソリューションを提供。2019年からは、IoTを活用した製造業向けソリューション全般の販売支援に従事している。

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工場の自動化やIoT化の必要性が叫ばれて久しいが……
(Photo/Getty Images)

データ分析プラットフォームのポジションとは

 本連載の第2回で「ビッグデータ分析は繰り返し系であり、分析と実装(応用)を継続するための仕組み、すなわちプラットフォームの構築を指向する必要がある」ことをお伝えしました。

 製造業のQC(品質管理)領域では、モノ作りが絶え間なく続く中で、製造データの分析とその結果を工程に反映する、継続的なサイクルを組織や運用の中に組み込んでゆく必要があります。同時に、継続的なサイクルをITで支える「プラットフォーム」を構築する必要があります。

 しかし、データ分析を目的としたプラットフォームの企画・構想では、机上の検討で中断するケースが多くみられます。実際、著名な製造業向けIoTプラットフォームも、特定の工程や業務への局所的な試行導入にとどまっているケースが多いようです。

 では、製造業のQC領域におけるデータ分析プラットフォームとは、どのようなものでしょうか。

 下の図を見てください。これは、製造ビッグデータ分析プラットフォームの位置付けを示したものです。本連載の第3回で述べたERP-MES-FA間の垂直統合モデルとの関連性では、データの源泉となる設備(PLCや各種センサー類)もデータ収集の仕組みも同じです。

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製造ビッグデータ分析プラットフォームの位置付け

 しかし、所定の加工を経て定型業務にデータを利用するのがERP-MES-FA間の垂直統合モデルなのに対し、ビッグデータ分析プラットフォームは、多種多様なデータを対話的・多面的に分析し、非定型な意思決定に活用します。

 そのため、ビッグデータ分析プラットフォームでは、各設備が出力した独自フォーマットのままの数値データや正規化されていないログデータ、さらには映像や音声といった非構造化データなどを扱う場合もあります。


FA領域の役割、IT領域の得意分野

 次に、FA領域とIT領域の違いを見ていきましょう。データ分析プラットフォームでは下図のように、FA領域とIT領域を使い分けます。

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FA領域とIT領域の使い分け

 FA領域では、製造設備の制御を最優先としながら、エッジコンピュータ(産業用PC)で一部データの可視化(見える化)やデータ分析を担います。数台の統轄PLCを収容する範囲であれば、FA領域だけでデータを集積・分析することも可能です。しかし、それ以上のデータ規模となり容量や処理能力が不十分となる場合には、上位のITに処理を委ねることになります。

 データを収集する範囲は、「(1)単一工程」、「(2)拠点内(工程横断)」、「(3)全社規模」、の3段階に大別できます。(1)の単一工程はFA領域で完結します。しかし、工場建屋や製造拠点をまたぐ(2)と(3)では、データを蓄積・分析するのは、IT領域となります。最近はデータレイクと称して、全社規模の大きなプラットフォームの企画・構想を多く見かけます。

 下の図は、拠点・工程横断の視点から見た分析の意義をまとめたものです。

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拠点・工程横断視点での分析意義

 FA領域とIT領域では、データ容量や処理能力の違いだけでなく、分析業務の位置づけそのものにも違いがあります。

 FA領域の分析は、目の前の製造ラインで起こっている突発的な事象に対する、リアルタイムの見える化や即時の対処を目的としています。分析を実施するのは、工場の生産技術部門や製造部門の担当者です。

 一方、IT領域では、ある程度の長期間に亘って蓄積したデータを必要なときに(バッチ処理のように)取り出して分析します。その目的は、品質向上や設備の稼働率向上、匠の技の継承、製造トレーサビリティの確保、さらには生産の最適化など多岐に渡ります。こちらの分析を担当するのは、本社の生産技術スタッフや研究開発部門に所属するデータサイエンティストです。

【次ページ】データ収集・蓄積の仕組みを理解する。データ分析プラットフォームの本格導入に向けた“4つのアイデア”

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