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  • 2014/11/25

MITメディアラボ所長 伊藤穰一氏が語るイノベーション「アートや科学に機能を重ねる」

ミクロの遺伝子レベルからマクロの都市レベルまで、すべてのスケールにおいて複雑性と関係性があり、裏でつながるようになっている――。日本人として初めてMITメディアラボの所長に就任した伊藤 穰一氏は、都市とライフスタイルの未来を議論する国際会議として開催されたイベント「Innovative City Forum2014」に登壇。インターネットを凌駕する勢いで進化するバイオテクノロジーなどの先端技術について、MITメディアラボの取り組みを挙げて紹介した。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

中国の経済特区、深セン市で起こるイノベーション

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MITメディアラボ所長
伊藤 穰一氏
 MITメディアラボは、米国マサチューセッツ工科大学建築・計画スクール内に設置された研究所である。伊藤 穰一氏は日本人として初めて、このメディアラボの所長に就任した人物だ。

 同氏は今の時代について「インターネットが普及し、モノを中心に経済がゆっくり動いていた時代が終焉を迎え、先の予測がつかないカオスの時代に入ってきた」と語る。

 “先の予測がつかないカオスの時代”とはどういうことか。それは、ミクロの遺伝子レベルからマクロの都市レベルまで、すべてのスケールにおいて複雑性と関係性があり、裏でつながっているということ。伊藤氏は「都市設計も従来のように見えるものだけの事象を追うのではなく、ソーシャルメディアなども含めた、見えない事象も考えていかなければならない」と語る。

「インターネットが浸透して通信コストが下がり、流通やコラボレーション、コミュニケーションなどのコストが抑えられるようになった。そうなると、イノベーションを創出するコストも下がる。いま日常的に使われているヤフーやグーグル、フェイスブックといったサービスは、最初は学生がコストをかけずにビジネスモデルもないまま構築したものだった」(伊藤氏)

 この現象は、すでにモノづくりの製造現場にも波及している。3Dプリンターが登場し、どんなプロトタイプも、誰でも手軽につくれる時代がやってきた。べンチャーが製造を担え、学生自身が大量にモノをつくり出せるようになった。

 伊藤氏は、いまマニファクチャリングが大変盛んだという中国の経済特区、深センの事例を挙げた。

「深センでは工場長もマネージャーも従業員も現場に住み込みで熱心に働き、技術を集中的に磨いている。戦後の日本のような活気を彷彿させるが、それ以上に多くの人材ネットワークがあり、独自のエコシステムが働いている」(伊藤氏)

 深センでは、MP3プレイヤー、Bluetooth、GMSなどの基本機能が盛り込まれた携帯電話が約900円で売られているそうだ。

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深センで約900円で売られている携帯電話。MP3プレイヤー、Bluetooth、GMSなどの基本機能が盛り込まれている

 実際に組み立てを簡素化するために、ネジレス設計の工夫も凝らしている。単に低コストで製造できるだけではなく、そのノウハウを持つ優秀な技術者がいるという証明だ。伊藤氏は「このようにイノベーション・コストはどんどん下がり、誰でも実現できる時代が到来している。これからはハードウェア技術者が全体のプロジェクトをマネジメントすることになるだろう」と予測を述べる。

【次ページ】ムーアの法則を凌駕する「シンセティックバイオロジー」の進歩

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