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- 2015/11/13 掲載
カップルに着目し急成長するクローズドSNS「Between」、CEOに聞く成長の要因
起業は「クレイジー」と言われた
──韓国と言えば、SamsungやHyundaiといった世界的大企業が非常に強く、優秀な学生がなだれ込むイメージがあります。そうした中で、ベンチャーを起業したきっかけは何だったのですか?
パク氏:もともと社会に価値貢献したいと考えており、その手段としてはITが一番よいと思っていました。もちろん自身がディシジョン・メーカーになり、その領域で活躍したいという思いもありました。
実は2年半ほど、兵役制度の一貫としてITベンダーで働き(注1)、就労後に大学にいったん戻って在学中に起業したのですが、当時は今よりもっとベンチャーに対する風当たりは強く、SamsungやHyundaiのような大企業に入ったり、大学教授になるのが人気でした。私の選択は「クレイジーだ」と言われたものです(笑)。しかし、学生団体に属して若い起業家に出会う中でさまざまな刺激を受け、起業を決意したのです。
注1: 韓国男性は2年間の徴兵が課されるが、精鋭エンジニアは軍隊への兵役の代わりに、中小IT企業への代理兵役奉仕が可能
パク氏:ありがとうございます。事業ドメインはソーシャルメディアになりますが、従来と異なる点はプライベートな「クローズドSNS」で勝負していることです。
この領域には、すでに複数のプレイヤーが参入しています。たとえば家族や大学生限定のコミュニティーなどが増えています。我々は、カップルを対象とし、ITの豊かな表現によって「Emotional Service」を提供することで、オフラインの関係性や距離を短くするという理念で運営しています。
──なぜカップルに着目されたのでしょう。
パク氏:カップルのSNSを作ろうと考えたのは、どんな関係性よりも深く、距離が近いものなので、その密なコミュニケーションという点にビッグマーケットの萌芽を感じたからです。
カップルの距離をより縮める大幅アップデートを実施
──Betweenの具体的なサービス内容について教えてください。パク氏:具体的な機能として、まずカップルのリアルタイムにコミュニケーションを円滑にするチャット機能があります。次にカップルが自分たちの思い出を簡単に振り返られるように、アルバム機能を提供しています。写真を投稿すると日別にソーティングされ、簡単に探せるようになっています。
カップルの今後に関しては、カレンダー機能を提供しています。デートの予定を立てる際に互いの都合を把握でき、また2人のイベントもプランニングして共有できます。
日本ではダブルデートで旅行に行くこともありますが、そういう機能には対応していません。というのも、カップルがBetweenを使ってくれる理由は、あくまでプライベート空間に価値を見出しているからです。複数のカップルまでつなげてしまうと、2人だけの特別感という価値が失われてしまうという懸念があります。ただし別アプリに切り分けて、カップル同士の情報交換ができるサービスも検討しているところです。
──今回、大型アップデートをされたようですが、追加された新機能について教えてください。
パク氏:新バージョンのBetween3.0では、カップルの距離をより縮めるために、イメージを刷新しました。従来は日付部分がデフォルト設定で、カスタマイズできませんでした。今回からデコフレーム形式になり、複数のデザインでユーザー好みのホーム画面に対応できます。遠距離恋愛カップルのために互いが住む場所の天気も一目で分かるようになりました。大事な記念日を忘れないように、ホームに表示される仕掛けもあります。
今回のリニューアルではホームにカップルの関係性が集約され、2人の関係のサマリーが現れます。いまカップルの関係性がどういう状況なのか、分かりやすいメトリクスになっています。またアルバムに保存された写真の一部がホームに現れたり、タイムマシン機能が追加され、1年前、1か月前に何をしたのかも出るようになりました。アクティビティも正確に分かり、メッセージを何通送ったのか、写真を何枚アップしたかも分かります。
カレンダーも大幅にアップデートしました。従来のイベントと今後のイベントを、日をまたいで簡単に確認できます。日付を遡っているときに、その日付にヒモづいたアルバムや写真があれば、バナーが出てきます。それをクリックすれば、すぐに写真にアクセスできます。またユーザーの皆さんから人気のカップル向け絵文字スタンプも増やしました。
──Betweenに溜まったビッグデータを分析をすると、カップルの状態に仮説が立てられそうですね。こうした行動を取ると、別れが近いとか(笑)。
パク氏:おっしゃる通りです(笑)。まじめな話、データ解析については、さらに今後やっていかなければいけない分野だと考えています。実際にいくつかの機能を実装しています。我々のツールのどういう機能を使っていると、カップルの関係が長くなるのかという点を分析し、より豊かな関係性を築けるように、ユーザーにレコメンデーションする目的があります。
【次ページ】 マネタイズ方法は広告、スタンプ、ECの3本柱 新市場への考慮も
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