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  • 2016/02/22 掲載

フィンテック(FinTech)の捉え方、日本の金融機関は世界企業と何が違うのか?

日米のガートナーのコンサルタントが解説

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日本においても多くの金融機関がITを活用した成長戦略を描き、ファイナンシャルサービスのデジタル化に踏み出そうとしている。そうした中で俄然注目を浴び始めたのがフィンテック(FinTech)である。しかし、フィンテックに対しては、依然として多くの誤解や思い込みが横行しているのが現実だ。また、既存のファイナンシャルサービスの拡充にとどまらず、自らの変革のための触媒として、スタートアップとの連携を深めているが、やみくもにスタートアップと手を組むだけではフィンテックの勝者になることはできない。日本の金融機関がデジタル時代に生き残るために必要なフィンテックに対する正しい理解、戦略、そしてマネジメントのあり方を、日米のガートナーのコンサルタントらの見解から考察する。
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急速に注目を集めるフィンテックだが、日米での「捉え方」は大きく異なる

日本のフィンテックと欧米で進むフィンテックには大きな違いがある

 2016年に入り、フィンテックに対する熱気はますます高まる一方だ。金融庁がIT投資のTGR(Transformation/Grow/Run)に着目して関連法整備に着手し、経済産業省がフィンテック研究会を立ち上げるなど、政府も後押しを始めた。

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 ただ、日本の金融機関を中心に議論されるフィンテックと、北米やヨーロッパで進んでいるフィンテックでは、“捉えどころ”が少々違っているようだ。

 周知のとおりフィンテックとは、ファイナンス(金融)とテクノロジー(技術)を掛け合わせた造語であるが、この考え方自体は特に目新しいものではない。インターネットバンキングやネットトレードに象徴されるように、すでに2000年頃からさまざまな金融サービスがIT上で実現されている。

 さらに、2009年にクレジットカード決済のペイパルがWeb APIを公開したのを皮切りに、Googleウォレット(2011年)やApple Pay(2014年)が決済サービスを開始するといったように、IT企業が相次いで金融に乗り出している。

 こうした狭義の“金融IT”が、多くの日本企業がイメージしているフィンテックだ。

 これに対して欧米では、フィンテックをどのように捉えているのだろうか。ガートナー コンサルティング シニア・マネージング・パートナーの宮本認氏は「彼らが注視しているのは、“産業の新しい流れ”そのものにある」と語る。

 たとえば、送金・決済サービスの分野にフォーカスしても、Dwolla、Stripe、Squareなど、多数のスタートアップが登場している。

 狭義の金融ITがどれだけ進んでも、銀行法などの法令で規定・保護された既存の金融機関の業務や役割が大きく変わるわけではない。フィンテックの本質は、その外側(アンバンキング)の領域で、かつてない価値を提供するプレイヤーが続々と参入しているダイナミズムにある。「このコンテキストの中でフィンテックを正しく理解し、戦略を立て、新しいビジネスモデルを創造していくことが重要」と、宮本氏は説く。

伝統的な金融機関にも大きなチャンスをもたらす

 世界に目を向けると、フィンテックの潮流の中でファイナンシャルサービスのオープン化の動きが加速している。

 ガートナー コンサルティング バイスプレジデントのジェームス・プラス氏は、「企業が保有するデータやビジネスプロセスを、自分たちで活用することはもちろん、ビジネスパートナーや顧客にも開放することで、新たな価値を生み出すことができる」と言う。

 たとえば、コンピュータアルゴリズムをベースに投資やポートフォリオのリバランスを助言する「ロボアドバイザー」という資産管理サービスは、米国の若い世代を中心に絶大な人気を集めている。

 この主要なプレイヤーであるBetterment、Wealthfront、Personal Capitalといったスタートアップは、すでに数千億円単位での運用資産を集めることに成功したと見られており、「ロボアドバイザーは、アルゴリズム経済の中心的な役割を果たしていくことになるだろう」と、プラス氏も今後の動向を注目している。

【次ページ】スタートアップと組むだけでは勝者になることはできない

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