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  • 2016/05/19

三田佐代子氏インタビュー:躍進するプロレス業界に学ぶマネジメントやリーダーシップ

プロレスは今、「新たな黄金期」と呼ばれるほど盛り上がりを見せており、専門媒体以外からも関心を集めている。三田佐代子氏の『プロレスという生き方――平成のリングの主役たち』(中公新書ラクレ)は、棚橋弘至、中邑真輔、飯伏幸太といった脚光を浴びる選手だけでなく、現在のNOAHを支える丸藤正道や、女子プロレスラーの里村明衣子やさくらえみ、レフェリーの和田京平など、「現在のプロレス界」の立役者たちにスポットライトを当てた一冊だ。タイトルの通り、プロレスが生き方であるとするならば、そこにはどんな人生があるのだろうか? そして、活況を呈するプロレス界から何を学べるのだろうか?

またプロレスが輝かしい時代が来たことを知って欲しかったんです

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三田佐代子氏

──プロレス・格闘技専門チャンネル「FIGHTING TV サムライ」のキャスターを約20年務めている三田さんが、この本を書こうと思った動機をうかがわせてください。

三田氏:私がプロレスの仕事を始めたのが1996年です。この20年の間にプロレスというジャンルが本当に厳しかった時期もありましたが、現在は「新たな黄金期」と呼ばれるくらいお客さんも増えて、プロレス専門の媒体以外からも注目されるようになりました。

 そんな中、昭和のプロレスを振り返る書籍はたくさん出版されていますが、「今が面白い」ことを解説する本は少ないと感じていました。もちろんあの時代も良かったと思うのですが、今のプロレス界の人たちが頑張って、また違ったかたちで輝かしい時代が来たことを知って欲しかったんです。

──本書は、中邑真輔や棚橋弘至、飯伏幸太といったスター選手はもちろんのこと、仙台で若手を育成している里村明衣子、タイで団体を立ち上げたさくらえみなどの女性選手、そしてプロレス団体の社長やレフェリーといったプロレス界を支えるさまざまな方が登場しています。

三田氏:今のプロレスの面白さを伝えるときに、「団体がいくつあって……」と状況を書いていくよりは、もともと私が話を聞くことが好きなのもあって人に焦点を当てた方が今のプロレス界が見えてくるのでは? と考えました。

 そのため、なるべく幅の広い人選を心がけてもいます。メジャー団体だけでなくインディー団体、女子プロレス、スタッフ、若手レスラーのすべてが今のプロレスの「豊かさ」を象徴していると思うんです。

──現在のプロレスが盛り上がっているのは、メジャー団体である新日本プロレスの再興はもちろんのこと、DDTなどのインディー団体の躍進があってのことですよね。

三田氏:DDTや大日本プロレスはインディーと呼ばれる団体ですが、メジャー団体にひけをとらない人気とクオリティがあるじゃないですか。メジャーだから安穏としているわけでもなく、インディーだから卑屈になっていたわけでもない。皆がそれぞれできることを努力し、お互いを認め合っているのです。いい時代になったなと思います。

「知られていないのは存在しないのと同じこと」

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『プロレスという生き方』
──三田さんがプロレスの仕事を始められた90年代後半は、プロレスが総合格闘技の人気に押されていたこともあり、厳しい時代だったと聞いています。その危機感によってプロレス界はどう変化し、いかに再興したのでしょうか。

三田氏:昔はゴールデンタイムにプロレスのTV放送もあって、「プロレスラーは試合を頑張っていればいい」という雰囲気が濃厚でした。でも、その後ゴールデンタイムの放送がなくなって冬の時代が来ると、良い試合をやってさえいればお客さんが来るという考え方は、ある種の「言い訳」になってしまったんです。

 これは棚橋選手の話なんですが、プロレスが厳しかった時期に先輩たちが「今はゴールデンタイムのプロレス放送がないから苦しい」とぼやくのが嫌で、積極的にメディアに出たり、ファンサービスをしたといいます。良いものを生み出し、後はただ待ち続けるような姿勢では、なかなか難しい時代になってしまったと感じます。

──本書でも、さくらえみ選手の言葉で「知られていないのは存在しないのと同じこと」とありますよね。

三田氏:そうなんです。彼女は既存の団体を離れた後に子どもたちやOLさんたちに女子プロレスを教え、彼女たちをプロレスラーとしてデビューさせた。ただ、活動内容からしてプロレスメディアはなかなか取り上げてくれない、そこでインターネットやとSNSを使ってファンに知ってもらう努力をしていました。そういった活動が注目され、タイで「我闘雲舞(ガトームーブ)」という女子プロレス団体を立ち上げるという道もひらけたのです。世間に知られる努力、ファンを満足させる努力をした人たちが、結果を出しているんだと思います。

──やはり本書で取り上げられているDDTの高木社長は、レスラーと団体社長を兼任していますし、大日本プロレスの登坂社長もずっと会場でスタッフとして現場に立っていると書かれているように、マルチタスクな方が多いですね。

三田氏:登坂さんも「レスラーにはプロレスだけに集中させてあげたいという志はあった」とおっしゃっていますが、ご自身もマルチタスクで活動されているように、現実はやはりそうはいかないじゃないですか。「若手のお仕事」の項目で、大日本プロレスの橋本和樹という若手選手に1日密着していますが、本当にいろんなことをやっています。しかしそれが団体の絆や選手の成長に繋がることもあるんです。誰かが何かをやってくれるのを待っているだけじゃあ何も起きないというのはプロレスに限らずどこもそうなのではないでしょうか。

──三沢光晴選手の逝去がきっかけで、丸藤正道選手もNOAHの副社長に就任するという経緯がありました。

三田氏:そうですね。24時間自分が強くなることばかりを考えている人が必ずしも良いレスラーになれるとは限らないんですよ。里村明衣子選手のように15歳で長与千種選手の立ち上げたGAEA JAPANの入門テストにダントツの成績で合格し、華々しくデビューしたものの団体が解散し、仙台で「センダイガールズプロレスリング」という団体を旗揚げしたという人もいます。かつては自身がトップに立つことに専念し、周りに対して「なんでこんなこともできないんだ」と憤っていた人が、今は女子選手を預かり、指導をする立場になり、自分の時間がないと本人はおっしゃるんですが、あの頃とは違う魅力が出てきたんです。

【次ページ】 プロレスを支える人、プロレスにたどり着いた人

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