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  • 2016/07/01 掲載

「プラットフォーム」と「ビジネスモデル」を制する者が「IoT」を制す

ダッソー・システムズが指南

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インダストリー4.0への注目がグローバルにおいて高まっている。こうした中で、フランスにおける製造業の変革を担う主要プレーヤーとしても知られるのが仏ダッソー・システムズだ。加熱する変化の激しい世の中において、企業は従来のビジネスモデルでは戦えない時代を迎えており、Airbnb、Uber、Alibabaのようにプラットフォームを持ち、継続してエクスペリエンス(体験)を提供していかねばならないのだ。ダッソーシステムズの鍛冶屋 清二氏と、仏ダッソー・システムズのモニカ・メンギニ氏が、製造業に求められる変革について解説した。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

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製造業もプラットフォーマーにならなければいけない

製造業も「プラットフォーム」を持たなければ勝てない時代

 ダッソーシステムズ(以下、ダッソー)の「3DEXPERIENCE FORUM Japan 2016」に登場した鍛冶屋 清二氏は、同社が現在注力している「3Dエクスペリエンス・プラットフォーム」について紹介した。

 3Dエクスペリエンス・プラットフォームは、3次元CADの「CATIA」や、グローバルPLMソリューションの「ENOVIA」など、同社のすべてのブランド製品を内包し、クラウド上で利用できるプラットフォームである。

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ダッソー・システムズ
代表取締役社長
鍛冶屋 清二氏
 鍛冶屋氏は「2012年に3Dエクスペリエンス・プラットフォームをローンチしたが、多くのユーザーからダッソーは一体どこに行くのか? という疑問が投げかけられた。しかし、現在ではエクスペリエンスというキーワードで、多くのビジネスが展開されるようになった。我々は、このエクスペリエンスにより自社の事業を発展させている企業を支援している」と強調した。

 例えば、太陽電池だけで世界一周を目指すスイスの有人飛行機「ソーラーインパルス2」(注1)は、アラブ首長国連邦を起点にユーラシア大陸に渡り、太平洋を経由してサンフランシスコまで行き着いた。今後のエコモデルを示す飛行機として注目を浴びているが、機体は3Dエクスペリエンス・プラットフォームを使って設計されたものだ。

(注1)同機は6月11日、米ニューヨークに着陸し、アメリカ横断区間を無事に完了した。次の目的地は、フランス、スペイン、モロッコのいずれかになるという。

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太陽電池で世界一周を目指す有人飛行機や、数万円程度の原材料費で製作できる義手が、ダッソーの3Dエクスペリエンス・プラットフォームを使って設計された

 また日本国内では、ベンチャーのexiiiが、ダッソーのハイエンド3次元CADソフトウェア・CATIAを導入し、新しい義手を開発。3Dプリンタと3Dエクスペリエンス・プラットフォームを活用することで、わずか数万円程度の原材料費で作った義手を届けている。しかもオープンソースで設計データを公開し、世界中で作れるようになった。

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exiiiは、3Dプリンタと3Dエクスペリエンス・プラットフォームを活用し、安価な義手を開発。オープンソースで、この設計データを公開し、世界中の国で同じ義手が作れるようになった

 ダッソーでは、パリに「3DEXPERIENCE Lab」を立ち上げ、ユーザーなら誰でも使える環境を提供し、世界中の企業家やメーカーズを支援している。日本ではexiiiが、この3DEXPERIENCE Labの初のメンバーとなって活躍しているそうだ。

「世の中を変えたり、社会貢献をするであろうシステムや、アイデアを持った企業家たちを支援していくために、我々は惜しみない投資をしている」(鍛冶屋氏)

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 Airbnb、Uber、Alibabaのような企業はなぜ成功しているのか。共通点は、いずれの企業もプラットフォーマーであることだ。実はダッソーが関わる製造業にも大きな変化が起きているという。マニファクチャリングの世界でも、こういったプラットフォームを有する企業が成功する可能性が高いと鍛冶屋氏は指摘する。

「我々はプラットフォームについて真剣に考えている。次世代プラットフォームにより、世界中の企業や取引先とつなぎ、社内の設計と生産環境をつないでいく。リアルとバーチャルを、すべて同じ3Dエクスペリエンス・プラットフォーム上でコネクトし、監視・診断・予測できるデジタルモデル『バーチャル・ツイン』も開発中だ。これによって、たとえ設計変更が起きて、各部門に影響を与える場合でも、うまく同期をとって生産を進められるだろう」(鍛冶屋氏)

【次ページ】テスラの持つ「プラットフォーム」と「ビジネスモデル」

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