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  • 2016/09/14 掲載

DeNA南場智子氏が若手スタートアップ起業家に問う「あなたに愛国心はあるか?」

#tiatokyo2016

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高校卒業後、単身でシリコンバレーに乗り込み、現在アントレプレナーとして活躍している戸村光氏。彼は22歳という若さでHackJPNを設立した注目の若手起業家だ。一方、ヘクトの小島舞子氏は、早稲田大学時代にプライムアゲインを共同で設立し、現在は単身で新しいアプリケーションの開発に奮闘している。DeNAの南場智子氏が、20代の若手起業家の奮闘を紹介した。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

photo
DeNA
取締役 会長
南場智子 氏

日本の難関大学に行かず、シリコンバレーで「HACKJPN」を起業

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HackJPN
CEO
戸村光 氏
 HackJPNの戸村氏は、同級生のほとんどが東大・京大に行く超進学校に通っていたが、日本の大学には進学せず、米国の大学に行くことを決意。しかし両親から反対され、学費を出してもらえなかったという。そこで高校卒業後、大学に行くまでのギャップイヤーを活かし、シェアハウスの運営やフィリピンで語学学校の立ち上げなどを行うことで、渡米への軍資金を集めたそうだ。

 その後、念願のシリコンバレーに渡り、2014年12月に現在のHACKJPN,INCを創業。日本人留学生がシリコンバレーの一流企業でインターン先を見つけられるプラットフォーム「シリバレシップ」と、シリコンバレーのトレンド情報を日本へ最速で提供する「Hack Letter」、シリコンバレーで活躍する企業の市場調査を代行する「シリバレレポート」を柱とした事業を展開中だ。

 テックインアジア東京2016に登壇したDeNAの南場氏は「なぜ日本の大学に行かず、シリコンバレーで起業するに至ったのか?」と、これまでの経緯について戸村氏に質問した。

画像
DeNAの南場智子氏が、20代の若手起業家の奮闘を紹介

「経営者の息子として生まれたのですが、新興国で安い製品がつくられ、市場を奪われていくことを、家庭の中で目の当たりにしてきました。そのような状況で日本企業が生き残るには、グローバルで市場を取りに行かなければ絶対ダメだと感じていました」(戸村氏)

 同氏は「友人が有名大学から大企業に入っても、自分の選んだ道については後悔していません。むしろ何度でもシリコンバレーで働きたいと思っているぐらいです」と語る。

 彼がシリコンバレーに行ったのは、世界で最も自分が成長できる環境だったという理由もある。優秀な技術者はもちろん、投資家や起業家が各国から集まり、そこで切磋琢磨しながら、自分を成長させられるからだ。

南場氏が問う「あなたには愛国心があるか?」

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 南場氏は、HackJPNの事業領域についても戸村氏に質問した。HackJPNの企業理念は、周りの身近な人たちを幸せにするということだ。「シリコンバレーには世界から優秀な留学生がやってきます。しかし何もできずに、そのまま自国に帰ってしまうことも多い。そこでインターンシップが活発になるように、企業と人材をマッチングさせて、彼らが即戦力として使えるようにしてあげたかったのです」(戸村氏)。

 その一方で、シリコンバレー発の企業に関するトレンドを発信したり、市場調査を代行するビジネス領域の事業も展開している。

「日本では大企業とスタートアップがつながる機会がほとんどありません。しかしシリコンバレーでは、コワーキングスペースで同じ場所にオフィスがあったり、ミートアップで大企業とつながる場所があります。そこで日本企業と出会い、お付き合いが始まりました。いずれにしても身近な人を幸せにするという発想から始まっています」(戸村氏)

 ここで南場氏は「シリコンバレーで事業を始めるにあたり、どうやって人材を集めていったのだろうか?」と戸村氏に質問した。戸村氏は「HackJPNの場合は、シリバレシップにインターン希望者が自然に集まるので、そこから優秀な人材をリクルーティングできた」と返答した。現在同社では、15名のメンバーが集まっているそうだ。またインターンシップのマッチングサイトには、マネタイズの仕組みが組み込まれているため、資金調達の苦労もなかったという。

 南場氏は、今後の人生のゴールや目標についても問うた。戸村氏は「僕は最初に南場さんに会ったときに、あなたには愛国心があるの? と聞かれたことが印象的でした。まったくその通りで、日本を良くしたい、救いたいという気持ちで、いまの会社を立ち上げました。もちろん経営者として成功するだけでなく、いつか政治の世界にも挑戦していきたいと考えています」と力強く語った。

日本語にあったチャットボットを単身で開発する「ヘクト」

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ヘクト
CEO
小島舞子 氏
 一方、ヘクトの小島舞子 氏も、大学時代に起業した若き女性起業家のひとりだ。自然消滅系動画共有アプリ「winker」や写真デコレーションアプリ「DecoAlbum」で知られるプライムアゲインで従事したのち、再び新しい事業を起こした。

 南場氏は「大学生から起業して、不安や迷いはなかったのか?」と小島氏に問いかけた。

 小島氏は「学生時代はとにかく夢中で、このサービスが絶対に成功すると思ったら、それ以外には何も見えませんでした。年に数日ほど会社を休むぐらいで、あとはずっと仕事に熱中していました」と当時を振り返る。

 その後、新たなサービスをつくりたいと思いたち、プライムアゲインを退社。現在は、人間と話をするようにプログラミングされたチャットボットを提供するスタートアップにおいて、AI関連のサービスを準備中だ。

 南場氏は、新サービスを開始するにあたり、事業領域のターゲットについて問いかけた。

「私の理念は、多くの人にサービスを使ってもらうこと。最近いくつかのチャットボットが登場していますが、まだ十分に使えるものがありません。そこで自然言語処理やAIを活用したサービスをつくろうと考えました」(小島氏)

 AI分野は現在、画像処理系は進んでいるものの、まだ自然言語処理系に関しては、これからというところだ。特に日本語での自然言語処理は開発が難しいという。

「例えば日本語では、会話中に主語や述語が隠れてしまうことがあります。1つ前に来たメッセージだけでは、AI側で内容を理解できないことも多いのです。そこで全体の対話や指示代名詞もしっかり読み取る必要があります。自然言語処理よりも、自然言語理解のほうを先にやって、ユーザーの満足度を上げていこうと考えています」(小島氏)

【次ページ】日本の優秀な人材に対する南場氏の助言

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