- 会員限定
- 2017/04/18 掲載
子どもの「なんで?」の疑問に注目すると「有能」なプロジェクトマネージャーになれる
子育てを通じて「プロマネ」の仕事に変化が
私はこれまで、さまざまなプロジェクトのプロジェクトマネージャー(以下、プロマネ)をしてきました。
しかし、企業規模、コスト、商習慣、商材がB2BかB2Cかなど、環境はプロジェクトごとにバラバラ。さらに、ユーザー(購入者)や仕事をするメンバーが変わり、業務を進めるためのさまざまな手続きも違いますから、言い方は悪いですが、つねに「行き当たりばったり」な現場でもがき続けてきました。
そんな私がプロマネとして6年目を迎えるころ、娘が生まれました。
娘と相対するようになってからは、その成長、発達段階で見せる情報処理の仕方、理解や思考の仕方、自分の伝えたいことを「表現」する手法、遊びのルールのつくり方、問題解決の方法などに驚く毎日でした。
私は「なぜそのようなことができるのか?」ということを知りたくて、それらに関する書籍や研究資料などを読みあさりました。こうして得た知識やアイデアを、再び子育ての実生活で確認・実践する中で、プロジェクトを進める上でも役に立つ内容がたくさんあったのです。
今回は実際にあった娘とのエピソードなどを交えて紹介していきます。
プロジェクトという「未知」に対応する力とは
娘とのエピソードの前に、前提として「プロジェクトとは何か」を定義しておきます。ここでいう「プロジェクト」は、情報システム開発やプラント開発といった狭義のものだけでなく、新規事業や保護者による保育園のお祭り企画、家づくりといったものも含めた広義のものです。
あらゆるプロジェクトには、その内容、規模の大小に関わらず共通するさまざまな特徴があります。
そのひとつが、「プロジェクトとは、その多くが未知である」ということ。そのため、プロジェクトを進めていくには、プロマネはもちろんチームメンバーにも次のようなスキル、心構え、態度が求められると考えるようになりました。
・自分の特殊な経験を疑う。
・バラした問題を、段階的に並べ替えたり、関係づけることができる。
・遭遇する事象を、機会と捉えることができる。
・プロジェクトは単線で進むとは思わない。
・現場でリアルタイムの創出ができる。
・メタ的視点を持つことができる。
・行ったこと、それへの反応を、簡潔に、正しく記述、記録できる。
・記録、体験したモノから脱学習をかけることができる。
・無限定な状態に、新しい限定された状態を作ることができる。
・仮説を場の状況に合わせてツジツマを合わせることができる。
・プロトタイプをさっさとつくることができる。
しかし、こうした教訓は、あくまで私個人の特殊な経験から導かれたもの。私は「果たしてこれが、普遍性を持つものと言えるのだろうか?」と感じていました。
「子ども」と「プロジェクト」にある共通点
話はもどりますが、娘は3歳ごろから、日々の暮らしの会話や問答、ママゴトや公園、ブロックやお絵かきなどの「遊び」など、さまざまな場面で見せ始めた事象への関わり方、情報の受け止め方、理解の仕方、ルールのつくり方などに驚き、疑問を持つようになっていきます。そして、それがなぜそのようになっているのかを調べ、生活の中で再確認・再実践するうちに、「子ども」と「プロジェクト」にあるいくつかの共通点を見出しました。それらから、プロジェクトの進め方や、プロマネとしての振る舞いに応用できるモノ(共通点)がたくさんあることを発見しました。
私が娘の言動をみて気付いたことの一つが、「子どもは、体験することすべてが未知である」ということです。
このような(大人からみて)困難と思われる環境・条件の中で、子どもはいったいどのように問題を解決し、成長しているのか? プロジェクトという未知のものに日々頭を悩ませていた私は「子どもの未知への対応」に注目しました。
【次ページ】子どもにできて大人にできない「未知」への対処
関連コンテンツ
PR
PR
PR