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  • 2017/08/25

オムニチャネルが失敗した「3つの誤解」、このままでは小売はアマゾンに敗北する

小売各社において、最近オムニチャネルへの取り組みが下火になり、「売上が伸びない」「採算が合わない」と言われ、失敗事例として語られることが増えてきた。一方で、アマゾンがAmazon Goの実験店舗を展開したり、大手小売のホールフーズを買収、楽天が楽天カフェを展開するなど、ネットプレイヤーがリアルへの攻勢を強めている。その中で、小売はリアル店舗とECを組み合わせた「オムニチャネル」をどう捉え、どう活用していくべきなのか。特に小売各社のオムニチャネルへの取り組みに対する「3つの誤解」を解いていくことで、成功に向けた新たな取り組みの指針を示していこう。

イグニション・ポイント パートナー 野上 隆徳

イグニション・ポイント パートナー 野上 隆徳

外資系コンサルティングファームの戦略グループを経て現職。製造業・サービス業を中心に、コンサルティング、クリエイティブ、デジタルを組み合わせ、新たな顧客体験(UX)を創造するビジネスデザインとデリバリーを幅広く手がける。オープンイノベーション支援にも注力しており、大企業とベンチャーを組み合わせた新規事業創出も支援している。

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オムニチャネルはなぜ「失敗」したのか
(© Andrey Popov – Fotolia)


小売はオムニチャネル化に失敗、EC勢は攻勢

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 最近、オムニチャネルに取り組んでいる小売各社において、「ECをやっているけど売上が上がらない」「ネットスーパーは採算が合わない」といった話をよく耳にする。

 アマゾンをはじめとするECの急速な拡大に伴って、ヤマト運輸が抜本的な宅配サービス見直しを進めており、宅配コストはさらに高騰し、収益が圧迫されていく中で、今後オムニチャネルビジネスはさらに厳しい状況になっていくことが予測される。

 一方で、アマゾンによる「Amazon Go」の実験店舗やホールフーズ買収、楽天による楽天カフェの展開、オイシックスによるShop in Shop形態の店舗拡大など、ネットプレイヤーがリアル店舗に進出する動きが拡大しており、リアル店舗とネットを組み合わせた競争は今後さらに激化していくことが予想される。

 こうした状況下において、小売各社はオムニチャネルに取り組むべきなのだろうか。また、取り組むとしたらどうすれば成功できるのだろうか。本稿ではこの2点について考えてみたい。

オムニチャネルに対する3つの誤解

 オムニチャネルが失敗事例として語られる原因として、3つの誤解があると考えている。それぞれの誤解について、事例を交えて正しい捉え方を解説していくことで、今後の取り組みに対する指針を明らかにしていく。

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オムニチャネルに対する3つの誤解

誤解1
誤:オムニチャネルとは、ECと同じように新たに生まれるチャネルである
正:オムニチャネルとは、ネットを活用したリアル店舗の変化を意味する

 eMarketerが2016年8月に発表した「Retail Ecommerce Sales Worldwide, 2015-2020」によると、グローバルでのEC比率は、2015年時点で7.4%に過ぎないが、2020年には14.6%まで増加すると予測されている。急速に成長するECチャネルだが、2020年でもおよそ85%はリアル店舗での売上であり、十分に大きな市場として存在している。

 ただし、リアル店舗での売上のうち、スマホをはじめとするネットを通じた影響が大きく拡大していくことになりそうだ。

 デロイトのレポート「Navigating the new digital divide: Capitalizing on digital influence in retail」によると、2020年にはリアル店舗の売上のうち、90%がネットから影響を受けたものになると予測している。

 オムニチャネルの本質は、顧客のネット活用が変化し、リアル店舗の売上に対するネットの影響が拡大する中で、いかに自社に有利な形で取り組むかという点にあると言えよう。

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EC化率の変化などから推計したオムニチャネル市場の変化
(出典:eMarketerおよびデロイトの調査レポートをもとにイグニション・ポイントが推計)


 オムニチャネルを、「ネットで注文する」「家に配達する」といった既存のプロセスの一部をネットに置き換えたものと狭く捉えると、顧客の変化の本質を見誤る可能性が高い。そのため、もっと広い視野で、ネットとリアルを連携して、店舗の魅力をどう高めていくかを考えることが求められる。

 小売各社にとって、ECチャネルの成長は確かに脅威ではあるが、EC対リアル店舗として分かりやすい構造で捉えることができた。一方で、これから本格化するオムニチャネルの変化は、顧客のネット活用に基づく「店舗体験の質的変化」である。そのため、顧客の変化に対応できなければ、ネットを有利に活用する他社が徐々に顧客を奪っていく“ゆでガエル”状態となり、「気が付くと立ち行かなくなっていた」という状況に陥ってしまう可能性が高い。

【次ページ】オムニチャネルを成功に導く3つの「問い」

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