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  • 2018/02/01 掲載

制度だけでは限界、9割がつまづく働き方改革の「ボトルネック」--IDCが調査

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2018年1月、IDC Japanは国内働き方改革ICT市場の年間平均成長率(2017年~2021年)は約8%の見通しと発表した。中でも、ITサービス/ビジネスサービス分野は年間平均成長率約20%と高い値を取る。しかしその一方で、働き方改革ICTの企業への導入はあまり進んでいないことが調査で判明した。IDC Japan市川和子氏はこの状況を踏まえ「働き方改革はIT革命の“踏み絵”」と語る。

ITライター 柳谷 智宣

ITライター 柳谷 智宣

ITとビジネスを専門にしているライター。コンシューマからエンタープライズまで、ハードウェアからソフトウェア、クラウドまで多数の記事を手がけている。難しいことをわかりやすく書くのが得意で、大手企業のウェブサイトやプレスリリースの作成なども手がける。執筆業以外に「原価BAR」を運営する株式会社ハイテンションの経営も行っている。

photo
IDC Japan
PC・携帯端末&クライアントソリューション・グループマネージャー
市川和子氏


国内働き方改革ICT市場の規模は2021年、2兆円6,000億円規模に

 国内働き方改革ICT市場を予測するにあたり、まずは市場を定義することが必要になる。IDC Japanでは、対象とする活動を、以下のように定義する。

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国内働き方改革ICT市場の定義
(出典:IDC Japan 報道発表より)


 さらに、国内働き方改革ICT市場をハードウェア・ソフトウェア・ITサービス/ビジネスサービス・通信サービス4つの分野に分類。IDC Japanが個々に市場予測しているこれらのデータから、働き方改革に寄与する結果を抽出した。

 その結果、国内働き方改革ICT市場の予測として、2016年の1兆8,210億円から、年間平均成長率7.9%で順調に成長し、2021年には2兆6,622億円に達するという。「働き方改革ICT」は、5年で1兆円近い上積みが見込まれている市場というわけだ。

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国内働き方改革ICT市場の、2016年から2021年までの予測データ
(出典:IDC Japan 報道発表より)


年間成長率20%の、ITサービス/ビジネスサービス市場

 さらにその内訳について市川氏は説明する。IDCは、国内の働き方改革に関するハードウェア市場は、2018年に1兆円を突破すると予測。しかし、将来はPCが停滞すると見ており、2019年をピークに2021年まで若干規模が縮小するという。だがそれでもなお、2021年の予測で1兆円規模の市場であることに変わりはない。

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国内働き方改革ハードウェア市場予測
(出典:IDC Japan 報道発表より)


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 ここでいう「ハードウェア」ではモビリティを重視し、デスクトップPCやデスクトップ型のシンクライアントは除外している。とはいえ働き方改革に伴ってオフィスのフリーアドレス化が進められており、その流れの中で新たにプリンターやディスプレイを設置することもある。

 IDC Japanでは、全体の市場規模の中から働き方改革に寄与する割合を算出して加え、予測の精度を高めている。プリンターやディスプレイは「その他のハードウェア」にカテゴライズされており、AR/VRのヘッドセットやウェアラブル機器もこのカテゴリに含まれている。

「2016年、2017年時点の国内働き方改革ICT市場のデータを見ると、ハードウェアが占める割合が非常に高いことがわかります。2016年の時点で47%程度ですが、2021年に向かいハードウェアの構成比は39%程度まで下がっていきます。その代わりに拡大するのがソフトウェアとITサービス/ビジネスサービスです」(市川氏)

 ソフトウェア市場は2018年には5,000億円を突破、それ以降も順調に拡大し、2021年には7,000億円を超えると予測されている。2016年から2021年までの年間平均成長率は11.9%ということで、高成長が期待されている市場だ。

画像
国内働き方改革ソフトウェア市場予測
(出典:IDC Japan 報道発表より)


 ソフトウェアに関しては、市場がかなり細分化されており、中でも構成比が向上しているのが、クライアント仮想化ソリューションと「プロダクティビティ―その他」のふたつ。「プロダクティビティ―その他」には、文書作成や表計算、プレゼン、マルチメディアの作成、AI、ファイル共有といったソフトウェアが含まれている

 今注目の、RPA(Robotic Process Automation、ロボットによる業務自動化)の市場は全体の中での割合は小さいものの、こちらも高い成長率が見込まれている。2016年の売り上げ規模は約100億円で、2021年には340億円、年間成長率は28%と予測されている。

「ITサービス/ビジネスサービスはかなり顕著な成長率を示しており、4分野の中では最も伸び率が高いと予測しています。通信サービスはほぼフラットで推移すると見ていますが、2016年と2021年を比較すると、2.6%成長すると予測しています」(市川氏)

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国内働き方改革ITサービス/ビジネスサービス、通信サービス市場予測
(出典:IDC Japan 報道発表より)


 ソフトウェアの年間平均成長率は11.9%と高い数字だが、ITサービス/ビジネスサービスは19.8%とさらに高い値を取る。構成比も増えており、ソフトウェアは2016年が22%から2021年には26%、ITサービス/ビジネスサービスは2016年が12%から2021年が20%に拡大すると予測している。

 働き方改革ICT市場と、働き方改革に制限されない一般的なICT市場の年間成長率を比較すると、4分野すべてで働き方改革ICT市場の方が成長率が高くなり、その中でも伸び率としてはITサービス/ビジネスサービスが抜きん出ていることが発表された。

 次ページでは、調査結果により明らかになった、働き方改革推進のボトルネックについて記す。

【次ページ】働き方改革は「踏み絵」。数値化できないものに投資できるか

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