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  • 2018/12/25

SBI 北尾吉孝 社長に聞く、なぜ経営者は「若者」と「古典」に学ぶべきなのか

SBIグループを1999年に立ち上げた当初から、インターネット時代の競争はそれまでとはまったく別のものになると見抜いていた北尾吉孝氏。そこでは「仕組の差別化」が勝敗を分けると考え、「企業生態系」「複雑系の科学」の概念に基づいた組織作りを推進した。なぜこのように新しいビジネス領域をいち早く立ち上げることができるのか。それは、常に最新技術を追いかけ、若者からも貪欲に学ぶ同氏特有のビジネス姿勢にあった。

聞き手:ビジネス+IT編集部 松尾慎司、谷本 菜々

聞き手:ビジネス+IT編集部 松尾慎司、谷本 菜々

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SBIホールディングス 代表取締役社長 北尾 吉孝 氏

インターネット時代の勝敗は「仕組の差別化」で決まる

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 私が代表を務めるSBIグループでは、1999年に証券事業から金融サービス事業をスタートして以降、2007年に銀行事業、2008年に損害保険事業、2015年には生命保険事業をそれぞれ開始しました。

 こうした主な金融サービス事業に参入するとともに、決済や送金といった分野にも進出し、インターネットをメインチャネルとした金融サービス・グループを構築していきました、こうして「フィンテック1.0」に相当するSBIグループの「金融生態系」(金融エコシステム)を、2015年には完成させました。

 「フィンテック1.0」はいわば、既存の金融サービスのネット化と、それに伴うワンストップ化です。お客さまからしてみれば銀行や証券会社、保険会社の窓口にそれぞれ出向くよりもワンストップで利用できるのが一番都合よいのは当然でしょう。


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 「金融生態系」という考え方は、米ハーバード大学の研究員などを務めたジェームズ・F・ムーア氏が提唱した「企業生態系」という概念をベースにしています。その内容は「『生物の生態系の特長である、自律した生物が協調と競争を繰り返しながら構成している 』という点はビジネス領域にも応用できる」というものです。

 「企業生態系」は、互いに作用しあう組織や個人の基盤によって支えられた経済共同体であり、そこでは、1つひとつの企業は単一産業の構成員としてではなく、多様な産業にまたがる「企業生態系」の一員という位置づけです。それによって、相乗効果と相互成長が実現できます。

 この「企業生態系」に加えて、もう1つ、私の組織づくりに影響を与えた考え方が「複雑系の科学」です。「複雑系の科学」とは、1990年代に、物理学、経済学、社会学、生物学、数学といったさまざまな領域を横断する形で発展した学問です。

 この中で私は「全体は部分の総和以上である」「全体には部分に見られない新しい性質がある」という2点に注目しました。

 簡単に言うと、全体は単に部分を集積したものではなく、全体はプラスαを生み出すことができることを表現しています。私は、SBIグループを立ち上げた当初から、インターネット時代の競争は、それまでのものとはまったく異質なものになると考えていました。企業同士の競争ではなく、ネットワーク対ネットワークの競争になると想定していたのです。

 その際、重要になるのは「仕組の差別化」であり、具体的には、顧客満足度と競争優位性を高め、圧倒的な顧客基盤を築いていくことだと考えていました。それを実現するために、「企業生態系」と「複雑系の科学」の概念を用いた組織をつくろうと決めたのです。

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ひたすら技術を追いかける

 拙著『これから仮想通貨の大躍進が始まる!』でも書きましたが、仮想通貨関連事業においても、このSBIグループの基本戦略である「企業生態系」の構築に基づいて、2016年からデジタルアセットを基盤とする企業生態系の形成を進めています。

 この生態系はさまざまな仮想通貨関連の事業セグメントで構成されており、仮想通貨の取引所からウォレット等のセキュリティ、機関投資家向けのサービス、情報提供、トークン発行、それから米国リップル社の送金ソリューションなど、この生態系内での各企業間の相互シナジーと、さらにインターネット金融をベースとする既存の金融生態系とのシナジーを生み出していきます。

 また、仮想通貨の「マイニング」にも注力をしていきます。「マイニング」は、ビットコインおよびビットコインキャッシュの取引を承認する作業です。取引データの改ざんを防ぐことが目的で、ブロックチェーンを維持するためには不可欠な作業です。これは、主に海外で行っています。

 そのほか、仮想通貨マーケットの健全な発展に向けて、関連する新たなビジネスへの投資も継続していきます。

 私がなぜこのようにいち早く新しいトレンドに気づくことができるのか。それはやはり常に新しい技術を追い求めているからです。そもそも、私の出身である証券会社というのは、銀行や保険と比較して、新規上場会社を輩出する役割を担っており、サニーサイド(陽の当たる場所)を追う金融事業者です。私は野村證券で21年働き、そうした文化を体得しました。そして縁あってソフトバンクへ移り、金融とインターネットの親和性の強さを再認識しました。

 私はベンチャー企業に投資をする際、世界中の最先端の技術を持っているさまざまな企業の話を聞き、そこから学ぶようにしています。投資をするということは、その前に研究しないと投資できませんから。そして投資先の技術の一部はグループの中に導入し、検証を行い、外部に拡散していくというような作業を繰り返してきました。ある意味、こういう仕事術が強みとなっているところはあるかもしれません。

 BSフジで放送中の「この国の行く末2」という番組では私がナビゲーターを務め、製造・医療・エネルギー・AI・ロボティクス・農業・サービスの先端テクノロジーについて各分野のトップランナー達と対談を行っています。このように、常に最先端のトレンドを追っている訳です。

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