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  • 2019/04/10 掲載

チーフ「ロボット」オフィサー(CRO)が企業に不可欠になってきた事情

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ロボティクス、AIなどが業務に導入されるにしたがって、CRO(Chief Robotics Officer)というポジションを設置する企業が増えてきた。CROは業務のオートメーション化全般に責任を持つ一方、オートメーションに必要な資金管理も担当する。つまり、どの業務にどのようなロボットやAIを導入し、それをどう使いこなすのかもCROの裁量に関わる。米国ではCROサミットという会議も開かれており、CROのさまざまな課題や今後が熱心に議論されている。

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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現在は自動車以外の業界でも、ロボット導入が急速に進みつつある。それとともに、CRO(Chief Robotics Officer)の役割に注目が集まっている。

ロボット導入の最新動向と課題

 業務のオートメーションやロボットによる作業というと、まずは自動車業界が挙げられる。事実、これまでは自動車業界がロボット導入を牽引してきたが、自動車以外の業界でも、ロボット導入は盛んになりつつある。

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製造業向けロボットの世界市場
(出典:富士経済)


 ロボティクス・インダストリー・アソシエーションによると、米国内での自動車業界のロボット購入件数は、2010年は4622件だったが2017年には1万8490件に増加した。一方、非自動車業界は2010年が5006件で、2017年には8804件となっている。ただし、2018年の上半期の数字を見ると、自動車業界の1万1830件に対し、非自動車が1万878件とその差は急速に縮まっている。

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 企業がロボットを導入する理由として挙げられるのは、生産性の向上、品質向上、利益マージンの増大、企業の競争力アップ、労働者の不足などの問題への対処、より多くの受注、社内での才能発掘、ビジネスのスケールアップなどだ。実際、マサチューセッツ工科大学(MIT)が行った調査研究では、「コボット」と呼ばれる人とロボットとの共同作業を採用すると、作業効率は85%向上するという。

 一方、現場の作業者からは、ロボット導入に際して「トップマネジメントからの十分なサポートがない」「チームリーダーとしてロボット導入を推進する人材に欠ける」といった声が挙がっているという。そこで浮上するのが、CRO(Chief Robotics Officer)という役職の重要性である。

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産業用及び非産業用ロボットの合計収益(世界市場):2017-2025
(出典:Tractica)

CROとは何か? CROに求められる役割とは?

 ただし、多くの企業では、いまだCROの位置付けには曖昧な部分が残っている。技術面で指導できる、プロジェクトマネージャーとして全体を見られる、あるいは人事面に強い、将来設計ができるなど、さまざまなアプローチがありうるが、たとえばCTOのサポートなのか、CFOのように独立した存在なのかなど定義は曖昧だ。

 こうした状況を受けて、産業用ロボットを販売するユニバーサル・ロボットでは、ロボットの導入に求められる手順として、以下を挙げている。

・ロボットの購入コストをいかに早く効率的に回収するか(ROIの実現)
・3D作業をどれだけロボットに置換できるか(3Dは日本の3Kに相当する言葉で、Dirty、Dull、Dangerousの略称)
・現在の生産ラインにいかにうまくロボットを組み込むか
・ロボットの購入から稼働までをいかに短縮するか
・ロボットの利用方法を、将来、異なる業務にアレンジできるか

 つまり、CROとはこうした手順をリーダーとして実現する存在ということになる。

 経営面では以上のような取り組みが必要となる一方、現場作業員に対しては、人事面でのケアが必要になる。具体的には、次のようなことを現場に理解してもらうことが重要になる。

・ロボットはツールであり武器ではない(人がロボットにより職を失うわけではない)
・ロボットはより仕事を求める人に対し、機会を与えるものである
・フロア全体でのロボットと人とのパートナーシップが成功の鍵
・ロボットは従業員にテクノロジーというパワーを与える存在である

【次ページ】ロボット導入で重要性が増す「ソフトウェアエンジニア」の役割

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