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  • 2020/10/02 掲載

「強いAI」「弱いAI」「汎用AI」「特化AI」とは?違いをスッキリ解説

連載:図でわかる3分間AIキソ講座

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人工知能(AI)研究は簡単な道のりではありませんでした。当然、研究を進めていく間にさまざまな課題が浮上しました。たとえば、「“知能”と“人間の振る舞い”の間には、どのような関係があるのか」、「そもそもAIは人間と同等の知能を本当に得られるのか」など──。疑問が増えるにつれ、機械と知性の関係をハッキリさせる必要がでてきたのです。歴史の中で2つの関係が整理されていく過程を学べば、「強いAI」「弱いAI」「汎用AI」「特化AI」の違いについて、スッキリ理解できるかもしれません。
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AIの得意なコト・苦手なコトの境界線はどこにあるのでしょうか(後ほど詳しく解説します)


AIの苦手がワカル?「モラベックのパラドックス」とは

 はじめて人工知能(AI)が登場したとき、数学上の難問や難しいパズルをたやすく解く様子を見て、多くの人々が「AIはすぐに人間より賢くなる」と考えました。

 しかし、その後のAIは十分な成果を出せず、多くの研究者や出資者を失望させることになります。AI研究者のハンス・モラベックやマービン・ミンスキーらは、AIが期待されたほど進歩しなかった原因を「人間には簡単な感覚的に動くことが、機械にとっては非常に難しいからだ」と説明しました。このAIの特性を「モラベックのパラドックス」と呼びます。

 AIが得意とする論理的思考は非常に高度なタスクの1つです。多くの事象から共通する法則を見つけ、結論を導き出すというこの能力は多くの動物にはなく、知性のある人間にしかできないことでした。この能力は学習と鍛錬によって養われ、人間にとっても簡単なことではありません。生物にとって論理的思考は非常に難しいスキルなのです。

 ところが、AIにとってこれは非常に簡単なことでした。思考回路そのものが数学の理論で動いている「推論装置」ですから、AIにとって物事を論理的に考え、複雑な問題を解くことはまったく苦にならないのです。

 一方、論理的思考力を問わない感覚的な問題に対し、論理的なアプローチは遠回りなものとなりました。人間や動物が長い年月をかけて習得した感覚的な能力の多くは経験的に得られたものであり、論理的思考によって得られるものではなかったのです。

 AIにとっては人の顔を見分ける「顔認識」をはじめ、言葉を聞き分ける「音声認識」、コミュニケーションの「言語能力」、歩く/走るといった「運動能力」など、子どもでも当たり前のようにできることが非常に難しい課題となるのです。

 人間に簡単にできることが機械にはできず、機械に簡単にできることが人間には難しい。それが事実だとすれば、チューリング・テストに基づき「人間にできることができれば、AIに知能がある」と判断して良いのでしょうか。また、チェスや囲碁で人間に勝つなど、「人間の知能ではできないことができたら、AIに知能がある」と言えるのでしょうか。

 このように色々な知能のあり方が存在するため、1つの基準でAIを語るのは難しいのかもしれません。

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人間は論理的思考が苦手だが、AIは簡単に対処できる。一方、人間は「顔認識」や「音声認識」など感覚的なことは簡単にできるが、AIにとっては非常に難しい
(Photo/Getty Images)
 

“人並み”に達する理想的なAI:「強いAI」「汎用AI」

 そこで、AIをいくつかのタイプに分けて考えるアプローチが現れました。それが、「強いAI/弱いAI」「汎用AI/特化AI」という考え方です。AIの振る舞いや知能のあり方を人間と比較し、AIを定義したのです。

 まず、理想のAIは「人間並みの知能を持つプログラム」です。この理想の形については研究者ごとに微妙な違いはあっても大まかな方向性は同じです。その上で、振る舞いだけではなく人間のように意識を持ち、言葉の意味を理解し、人間と同等に思考するAIを「強いAI」としました。

 ただし、知能や意識のような定義も定まっていないような概念を含めて人間と同レベルかどうかを判断するのは難しいことです。そこで、あくまでAIの振る舞いだけに着目し、人間と同等のタスクをこなせるAIを「汎用型人工知能(AGI:Artificial General Intelligence)/汎用AI」と呼ぶようになりました。

 「強いAI」がAIの“思考(仕組み)”についても人間と同等レベルを求めているのに対して「汎用AI」は“振る舞いだけ”を求めています。そのため、裏側がどんな仕組みで動いていても人間にできることがすべてできれば汎用AIとなります。

【次ページ】現実世界のAI:「弱いAI」「特化AI」

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