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  • 2020/10/08

【事例】auカブコム証券に聞く、API連携と金融サービス高度化を実現したシステム全貌

auカブコム証券は三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券会社として、約117万の口座と2兆2687億円の預り資産を誇る(2020年6月末現在)。大手ネット証券で唯一、システムのほぼすべてを自社開発する同社は、顧客の取引ニーズに応えるべくAPIによる協業を深め、セキュアな取引環境を実現している。そんな同社の新基盤を支えるシステムは、どのようなコンセプトのもと構築されたのだろうか。同社の成功事例を紹介する。

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auカブコム証券
システム技術部 基盤G
新貝 興 氏

なぜAPI連携を進めたのか

 auカブコム証券は、個人投資家の「リスク管理追求」を掲げ、顧客の投資成績を重視した経営と、利便性・安定性を徹底的に追求した独自サービスを提供することで、業界をリードしているインターネット証券だ。同社は「カブコム2.0」を標榜し、「先進性」「多様性」「効率性」でNo.1を目指している。これらの目標を実現するために、同社は4つの戦略を立案している。

 auカブコム証券 システム技術部 基盤Gの新貝興氏は「まず先進性の点では、DX戦略を推し進め、お客さまの投資成績を向上させるサービスを提供します。多様性の点では、APIエコノミーの確立と異業種協業の強化、デジタルマーケティングを推進することで、B2B2Cの収益を拡大・多様化していく方針です。また効率性では、デジタルイノベーションを取り込み業務の飛躍的な向上を目指すほか、ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)といった観点から、内部管理体制を高度化していきます」と語る。

 このカブコム2.0の戦略のもとで、提供しているサービスが「kabu.com API」だ。これにより、同社は2019年に、情報セキュリティ管理策における国際標準規格をベースとした「ISMSクラウドセキュリティ認証」を国内の金融機関ではじめて取得している。

 「kabu.com API」を開発したことにより、サービスの質を大幅に向上させた同社だが、実際にどのような変化があったのだろうか。そして、高速かつ高度な取引を支える証券サービスの基盤となるシステムには、高いセキュリティと拡張性が不可欠となるが、いかにそれを実現したのだろうか。

各種サービスとの連携を可能にする「kabu.com API」とは

 auカブコム証券の開発したkabu.com APIを利用すると、自動売買システム、投資助言などの独自開発ツールなどをWebサービス形式に組み込んで、auカブコム証券のサーバや取引所との連携を簡単に実現できる。

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kabu.com APIを利用することで、自動売買システム、投資助言などの独自開発ツールなどを容易に利用できるようになる
(出典:auカブコム証券)
 

 たとえば、kabu.com APIだけで、売買の発注から注文、残高照会、リアルタイム時価配信など、取引に求められる情報を迅速に取得することができ、スピーディな板乗り(証券会社に注文し、それが取引所の注文に乗ること)や、約定(株式取引の売買成立)が行える。

 ほかにも認証、発注可能額、顧客属性といった発注に関わるチェック機能もサポ―トしており、ユーザー側で複雑なロジックを組まずに手軽に利用できる点は非常に便利だ。

 新貝氏は「株式、先物・オプション、投資信託の3つの取引に対応しているのは、我々auカブコム証券のAPIだけです」と同社の先進性を強調する。

 そのため、すでにオートマチックトレード社、ゲイターズ社、マルチウェーブ社など、多くの企業のオンライン取引システムが、kabu.com APIを経由して証券サービスを提供している。これにより「発注ミスがなくなり、機関投資家のように、ミリ秒での高速取引が行えるようになった」と評判も上々だ。

いかに「セキュリティ」と「拡張性」を両立したか

 このような高度な取引サービスを陰で支える同社のオンプレミスのシステム基盤は、一体どのようなコンセプトで開発されているのだろうか。

 新貝氏は「お客さまが安心してサービスを利用するためには、まずオンライン証券会社として“セキュリティ”と“拡張性”という異なる要素を追求していく必要があります。そこで導入したのが、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)でした」と打ち明ける。

 auカブコム証券は、業界標準のHCIとして、Nutanix社の『NX-1000シリーズ』を採用した。これはサーバとストレージを結合し、ハイパーバイザーをバンドルした仮想化基盤プラットフォームだ。

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Nutanix社のHCIを中心としたオンプレミスのシステム基盤を構築することで、カブコム2.0のセキュリティと可用性を担保した
(出典:auカブコム証券)

 この仮想化環境で、F5ネットワークス社の仮想アプライアンス『BIG-IPシリーズ』を導入し、ロードバランサーやファイアウォールなどの機能も冗長化。また全体システムではArista社のGbEスイッチで高速通信を行い、EMCの「DataDomain」でデータバックアップをスケジュールにしたがって実行する。


 同社では、これらを専用ラックに集約し、一元管理している。この基盤により、株取引の絶対要件であるミッションクリティカルな可用性と冗長化、セキュリティを確保した。

【次ページ】システム拡張性とコスト削減、同時に実現できた理由

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